【世界一周】#06 Sahainan滞在記[1/3]<タイ編06>
世界一周の記録について
私は2018年11月から2019年8月の約10か月間、世界一周の旅に出た。ずっとずっと旅のことを綴ろうと思っていたけど、気づけば旅を始めた頃から5年が経過。私の人生の中で大きなターニングポイントとなった、この旅。少しずつ振り返っていきたいと思う。
(当時インスタグラムやXで毎日更新していたものを再編集したものです)
世界一周で訪問した国は13か国
タイ
ラオス
アメリカ
メキシコ
ケニア
タンザニア
スペイン
イギリス
ポルトガル
クロアチア
ドイツ
フィンランド
シンガポール
世界一周に至るまでの経緯
今回の投稿では
「1.タイ編」をお送りします。
チェンマイから次の目的地へ
Mindful farmでの5日間の滞在を経て、次に向かうのはタイのNan県にある、SahainanというPurmaculture Farm。チェンマイからバスで8時間、313バーツ。(2018年当時で約1100円)
乗っている人数は少なかったので、2つの席を占領した。バスの休憩時間が少なくて、トイレに行くのをめちゃくちゃ我慢していたのを覚えている。(運転手の人に言えばよかったのに、と今になって思う。笑)
その日はオーナー家族にバス停まで迎えに来てもらって、もう夜も遅かったので寝床を案内してもらって就寝。Sahainanは巨大な森の中にあるので、夜は真っ暗!ここで見た星空が、私の人生で見た星空の中で一番綺麗だった。
Sahainanとは
タイ人のSandotとマレーシア人のShenが始めたOrganic Permaculture Farm。もともとSandotは電気系のエンジニアで、アブダビなど世界中で仕事をしていたそう。忙しい日々の中で、故郷タイの田舎暮らしこそが自分にとっての幸せだと気付き、故郷の暮らしへ戻ることに。故郷はチェンマイの近くにあるPaiという場所。生家をTacomepaiと名付け、Purmacultureに即した暮らしを始めたんだとか。(もともとPurmacultureという概念を知っていたわけでなく、元々の故郷の暮らしがPurmacultureに似ていた、とのこと。)
ただPaiは年々ヒッピーの聖地として有名になってきたこともあり、Sandotは新たな土地を探すことに。(当時ボランティアしていた方のたばこの不始末でキッチンが燃えたり、大変なことも増えたそう。)当時第一子を妊娠中だったパートナーのShenと共に、バイクに必要なものを詰め込んで、北へ北へと旅をしたらしい。そこで見つけたのが、今の場所、Sahainan。
ちなみに、Shenはマレーシア出身の私と同世代の女の子。もともと食や自然に興味があり、大学ではあえて自分の理想とする自然な生き方とはかけ離れた食品加工の勉強をすることに。学生時代には、タイのOrganic Farmへボランティアに行き、そこでSandotと出会い、今の生活に進むきっかけとなった。
Shenが故郷で第一子を出産している間に、Sandotは一人森に入り、トイレや寝床など、住むために必要なものを少しずつ作り上げていったそう。Shenが戻ってからはボランティアを募って、追加の寝床や、畑の開墾、集会所など、少しずつ森の中の暮らしを広げていった。そうこうしているうちにShenは第二子を妊娠。第二子はここ、Sahainanで出産したそう。す、すごい!
そんなこんなで、私は開墾して4年目のSahainanに訪れることになった。
Purmaculture Design Certificate Courseとは
Purmacultureとはオーストラリア人のビル・モリソンが提唱している、人と自然が共存する社会をつくるためのデザイン手法。パーマネント(永続性)、農業(アグリカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた造語で、それぞれが持続可能な社会システムをデザインしていく考え方だ。
Purmaculture Design Certificate Courseというのは、その考え方について基本的な理解、情報、アイデアを伝え、参加者自身がパーマカルチャー的な暮らしをデザインできるようになる、というもの。Sahainanでは実際に実践しているPermacultureの暮らし方を共に経験することで、より実践的なスキルを身につけることができる。
コースは14日間。コース料金・食費・宿泊込みで、16,600バーツ。(私が行った2018年当時はもっと安かった気がするけど、正確な金額を忘れた…。)
Sahainan1日目
今回のコースには、ベネズエラ人、オーストラリア人、コスタリカ人が参加。
ブラジル人、イギリス人、フランス人はボランティアで滞在中。
この日はIntroductionということで、Purmacultureとはなんぞや?という説明や、Sahainanという場所の紹介もしてもらった。
その後、近くで開催されているサタデーマーケットへ。ここで、晩御飯の買い出しをして、夜はSandot&Shenの知り合いのおうちで、食べることに。
1日目は、講座というより、この土地の紹介や参加者とのコミュニケーションが中心だった。少人数だし、みんなとても良い人で、楽しい!
ちなみにFarmでのご飯は毎回手作り。キッチンは半屋外、薪で火おこし、冷蔵庫はなし。農園でとれた野菜やもち米が中心のヴィーガン食。卵は、近所の方からもらった時だけありがたく頂く。(小麦粉はマーケットで買っていた。欧米人の来客が多いので、パンやケーキを作ることが多いのだそう。)
サタデーマーケットは毎週土曜日に開催されているらしい。結局毎週土曜日は毎回来ることになるんだけど、森の中の生活から離れて、こうやって街を散歩したり、お買い物をしたりするのは、立派な息抜きになる。
ちなみに前回のMindful Farmを旅立った後に、全身がむずむずと痒くなっていった。お腹も足も手も痒い。何かの草に負けたのか、食事なのか、原因はわからないけど、とにかく痒い。腫れるし、赤みが出るし、痒い、痒い、痒い。
Sandotに相談して、ターメリックと謎の草(名前忘れた…)で治療を試みることに。
結局、何日かすると痒みが引いて良くなった。(何が効いたのかはわからない!笑)
こういう症状は日本で出たことがなかったし、ちょっと不安だったけど、良くなって良かった。
Sahainan2日目
今日は、Purmacultureの倫理や原則についての座学。
講義の開催場所は屋根があるだけのほぼ野外!
ちなみに座学は基本的にShenが担当。理論的に話してくれるので、とても聞きやすい。(とはいえ全て英語なのでついていくのに必死だけれど。)
逆にSandotは感覚の人なので、数十年の農的生活で培った感覚で、実践を交えつつ教えてくれる。2人とも優しいし、良いコンビ。
ここSahainanはFood Forestというだけあって、たくさんの野菜や果物がある。カシューナッツ、ランブータン、アボカド、バナナ、パパイヤ、マンゴーなどなど。
そんな中でもめっちゃ美味しかったのが、バナナ!
日本では木の上で完熟したバナナを食べる機会が皆無なので、こーーーーんんなに甘くて濃厚なバナナを食べるのは初めて。
(バナナのみならず、トマトもイチゴも木の上で熟したものは格別だ、と田舎に暮らして、初めて知った。自然の力は凄い!)
日本で売っているバナナより小ぶりなサイズなので、1日3~4本食べることも。。
これは生きている間にもう一度食べたい!と強く思えるフルーツだった。
Sahainan3日目
朝はニワトリの鳴き声で起床。 6時過ぎから畑で収穫したり、畑を耕したり。 8時から朝ご飯、9時から授業。 12時に昼ご飯、14時まで休憩。 14時から17時まで授業。17時半に夜ご飯。 19時過ぎから、ランプを灯しながらみんなでカードゲーム。22時に就寝。
17時半だけど、もう真っ暗。 パパイヤサラダ、スティッキーライス、バナナフラワーパンケーキ、ターメリックライス、焼き芋。デザートは、 バナナチョコレートケーキ。今日も美味しかった。
ここでの生活はとても楽しい。 朝起きたら畑で野菜を採って、朝ご飯を作ったり、竹を切って食器を作ったり。 街灯などない森の中なので、日が落ちたら、満点の星空を見ながらさっさと寝る。
Mindful Farmに滞在した時と比べて少人数だし、みんな同じ目的で来ている(Permacultureを学びたい)ので、必然的に仲良くなるスピードが速くてとても嬉しかった。
でもやっぱり、お化粧して、可愛いワンピース着て、街のカフェで友だちとぺちゃくちゃおしゃべりするのも好き。 都会と田舎の良い塩梅を探す日々。
Sahainan4日目
この日の午前は、実践編。Sahainanの土地の一角を耕した。
Sandotの息子は当時3歳ぐらいだったけど、すでに誰よりも上手に鍬を使って土を耕していた。これぞ、英才教育。
私は少し鍬を使っただけでへとへと。これぞ、ひ弱な現代人。
水やりはホースを竹にくっつけて、上部に穴の開いたペットボトルをつけ、即席のスプリンクラーを。
午前の作業が終わったら、お待ちかねのランチタイム。その辺の小枝を集めて火をつけ、お湯を沸かす。簡単なようで、なかなか火がつかない。お湯さえも沸かすことができない自分を目の当たりにして、いかに自然とかけ離れた生活をしていたか痛感した。(この当時は薪ストーブがある家で暮らすなんて、想像もしてなかったなぁ。おかげで少しずつ火付け作業も慣れてきた。)
午後はブレイクタイム!ということで、近所の川へ。川で泳いだり、泥を身体中に塗りたくって、天然のクレイパックだ!と笑いあったり。童心に返る、とはまさにこのこと。むしろ、ずっとずっと童心のままでいたい。
夜は竹炭作り。火加減を見ながら、その隣で野外ディナー。
Sahainan5日目
朝は野菜を採りに。
大体6時頃起きてくるのは私だけなので、Sandotと3歳の息子と畑に野菜を取りに行く。3歳といえど、侮るなかれ。私より知識や経験が豊富で、教えてもらうことばかり。
ここでの生活は、こうゆう行動1つ1つが自分の食事に直結している。 自分が採った野菜が、その日の食卓に。 自然の恵みのおかげで、自分は生かされてるんだ、と強く感じる。 シンプルだけど自然に寄り添うディープな暮らし。
この日は森のお散歩。木に赤い印がされているので、それを頼りに歩く。
午後は、自分の寝床でのんびり外を眺める。寝床は屋根があるだけの半野外。そこに固いベットと蚊帳があるので、私は蚊帳の中に潜り込んで、持参したモンベルの寝袋で寝ていた。12月は一番涼しい季節。夜は15℃ぐらいまで冷えることもあるので、寝袋に助けられた。
続く。