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HARD&SOFT全曲解説5「TAKANAWA GATEWAY」

Key: Am
Artist: Ryusei
Arrange: Shimashima Islands
BPM: 117

<高輪ゲートウェイ駅非公式応援ソング Part.1+Part.2~間奏と〆>

「TAKANAWA GATEWAY」は去年の3月、JR山手線・京浜東北線高輪ゲートウェイ駅の開業を記念し、YouTubeにてショートバージョン2種類を公開した曲です。

この2バージョンを繋げてフルバージョンを作る計画は当時からあって、「HARD&SOFT」に合わせて満を持してのお目見えと相成りました。加えて、「HARD&SOFT」で唯一RIZARDIの要素が入っていない曲でもあります。アレンジを担当したShimashima Islandsは両バージョンの統合+新パートの追加にいくらか難儀していたそうですが、最後はバランス感覚でもってカチッとまとめてもらいました。


「TAKANAWA GATEWAY」が生まれた経緯についてはショートバージョン公開当時の記事をご覧ください。↓


ロング化

曲そのものについては上の記事に書いてあるので、ここではロング化構想を中心に書きます。

Shimashima Islandsと相談の上、まずは私が間奏とCメロ(Dメロ・大サビとも呼ばれます)の原型を用意しました。間奏は珍しくオルガンソロ(ピアノロール上)に挑戦し、8小節のメロディに後でコードを付けた形です。

この部分のコードは以下の通りです。
| Am7 | B7 | Dm7 | Am7/G  F#m7 (♭5) |
| FM7 | Em7 | FM7 | E7 |

何となく雰囲気は変えていこうと思いつつ、ふと置いたB7=VII7の響きにグッときてこうなりました。VIm→IImと見せかけて裏切る形をとったと思います。

公募して 競争して もうどうして?
共謀して 暴投して 答えはどこかに?
公募して 競争して 功を奏して!
協同して 公共の交通機関に捧げよ…Love!
(公募して 競争して もうどうして?)
Oh…Love!(共謀して 暴投して 答えはどこかに?)
公募して 競争して 功を奏して!
この場所から日本の明日を紡いでく
マイルストーンとなれ!

Cメロの歌詞は以上の通りで、次に1番(Part.1)と2番(Part.2)を振り返ります。

1番(Part.1)

皆の衆Deep sigh...
約半世紀ぶりのこんな幕開けに
納得できるのかい?

2番(Part.2)

未来変える英断か
多数決では辿り着けない答え
期待するもありさ

この曲の要は、1番で”高輪ゲートウェイ”に反対する意見を述べ、2番で賛成する意見を歌うという構成にあります。そこから間奏明けで「Oh Love!」かまして、賛成とか反対とかどうでもいい!仲良くしようぜ!…からの大団円って算段です。今後駅ビルでも建ったらさらに面白くなりそうな気がします。

思えばこの辺りをエディットしていた頃、Ryuseiの作風に大きく影響を及ぼした岡崎体育の「Natural Lips」にコード進行が似てきたなと思いました。「日本語を英語っぽい発音で歌う」という切り口だけ見れば桑田佳祐やマキシマム ザ ホルモンも実現しているところ、岡崎体育はそのギミックを貫きつつもファンクへと昇華させています。しかもカッティングギターを「ゴーストバスターズ」主題歌でおなじみレイ・パーカーJr.が担当したことが明らかになっていますし、アレンジャーのシライシ紗トリのこだわりもあってか、ファンクという音楽としての強度はホンモノなんです。余談でした。

サビ末尾 込めた想いをもう一度

「TAKANAWA GATEWAY」はフルバージョンになると、サビを歌うパートが合計4か所も出てくる構成になります。とにかく「高輪ゲートウェイ」という言葉を繰り返すわけですが、3か所目と4か所目は締め方がちょっとずつ違っていて、末尾に1文チョロリと足しています。

3か所目/2番サビ最終行

新駅の名前 それは遥かThe Hard Way…

YouTubeのショートバージョンも同じ締め方です。侃侃諤諤とした一連の騒動を見ていて、”新駅の名前を決めるのって大変だわ”と思わずにはいられませんでした。

4か所目/ラストサビ最終行

新駅騒ぎの宴も酣ゲートウェイ
Thank You

マイナス5ポイント!(某ネタ)
宴もたけなわゲートウェイなんてフレーズは、恐らくウン百万人が見たり聞いたりしたのではないでしょうか。それ込みでも、私個人としてこの歌の温度感を考慮した時、どうしてもここ以上の良い着地点は見出せませんでした。つまり、「エッチとエロがありゃHERO」(M-1 阿婆擦戦隊ビッチマン)とか「おそロシア」(M-2 レイワ・イポーニャ)とか口走っていた温度感です。

そしてこのひとボケを受ける「Thank You」は、「もうええわ」「やめさせてもらうわ」の優しめな表現だと考えて頂ければちょうどいいです。

昔は宴も酣”プリンスホテル”という言い回しもあったそうですが、ゲートウェイに取って代わる転換点になってくるのかなと思います。

時事ソングの宿命

この歌は大きく括れば、政治および社会の問題について歌う「時事ネタ」ソングといえるのかもしれません。しかし「時事ネタ」は鮮度が命…高輪ゲートウェイ駅の存在が当たり前になれば、過去に思いを馳せる歌になるのでしょうか?

「TAKANAWA GATEWAY」について、私はそうとは限らないと思っています。1年半も前の2020年3月14日、高輪ゲートウェイ駅は完成したばかりでした。ストーリーはあそこで完結したのではなく、ようやく始まったのです。新しい駅が生まれることに対し、賛成でも反対でも風刺でもアジテーションでもレジスタンスでもなく、「新しい今を楽しもう」という思いを込めています。

この場所から日本の明日を紡いでくマイルストーンとなれ!

余談
乗り換えるわけでもなし、あれから私に降り立つ機会がないのがちょっと悲しいです…

次はアゲにアゲたリミックス作品「小休憩 -RIZARDI Future'n'Footwork Remix-」をお届けします!

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