Stella Cadenza Vol.2全曲歌詞&解説4「凡穂蔵之介の歌」
Key: Am
BPM: 185
読み:ぼんぼくらのすけのうた
<その名も、凡穂蔵之介>
凡穂蔵之介とは誰なのか?……この曲をコツコツ作ること自体がそれを探す旅でした。そこで、まずはこれまで私の通ってきた仮説を一つ一つ紐解いていきます。
仮説① 凡穂蔵之介は古風な男である
「プロ」「チャクラ」をはじめとしたカタカナ語が全部平仮名で、アナクロ的な感覚を表現している印象を受けます。「こみにけえしょん」もちょっと訛ってます。
仮説② 凡穂蔵之介は幕末のサムライである
心・技・体を高める鍛錬の日々を過ごし、”力”を得るために決して努力を怠らない凡穂蔵之介。帯刀しているとみられる節もあり、「貴様は錆になる」…つまり「お前を刀で斬るぞ」という過激な表現もしています。そして「散切り頭と新時代」からは”文明開化”、ひいては幕末~明治時代の武士が想像できます。師と仰ぐ人物がロシアに引っ越したという言及も、ありえない話ではないでしょう。
仮説③ 凡穂蔵之介は祖師ヶ谷大蔵出身である
”てええむしい”はテレビ番組などの撮影所として使われるTMC(東京メディアシティ)。お笑いコンビ・とんねるずの木梨憲武の実家として有名な自転車店「木梨サイクル」。そして「ウルトラマン商店街」。これらは歌っているとおり、小田急電鉄「祖師ヶ谷大蔵(そしがやおおくら)」駅周辺に実在します。実は小田急線は前曲「Interlude ~北千住デビルズジャンクション~」にも登場していて、リリース当初の想定を超えた繋ぎが実現しています。
仮説④ 凡穂蔵之介はタイムトラベラーである
ところがここで重大な矛盾が発生します。「幕末の武士」ならば、「マインドフルネス」「バイブス」「祖師ヶ谷大蔵」などの言葉を知っているのは変です。特に「令和元年」は2019年4月1日までこの世に流通していなかった新しい言葉です。そこから「現代から幕末へタイムスリップした男」だったという仮説を導き出しました。その根拠は他にも、歌詞を読んでいくと「”こみにけえしょん”で生む疎外」「自然の摂理 我が身と相容れぬ」とありますが、これは昔の人とのコミュニケーションに順応できない様子だと推測できます。結果それが、”エラー”だったり話の通じないという意味で”ボンクラ”という表現にも繋がっているのだと推測しています。「現代から幕末へタイムスリップ」というストーリーは、TBS系ドラマ「JIN-仁-」にもありましたね。
以上、考察でした。ここからはネタバラシ。
この歌がダンス系のビート+「Bombo Claat!(ボンボクラー)」なポップでなければいけなかったのは、電気グルーヴ「富士山(Techno Disco Fujisan)」を聴いた時に着想してしまったのが原因です。ボンボクラなら「ぼんぼ・くらのすけ」という核まで、死ぬほど適当に命名してます。ボンボクラーはレゲエ方面の言葉でなにやら侮蔑的な意味になるという旨の情報を聞いていますが、それは良しとして「くらのすけぇ~(アイッ!)」なんて、大石内蔵助とか浜口庫之助とか佐々木蔵之介とか”くらのすけ”のお歴々にホント顔向けできません。
私としては、歌もベースもここまでミニマルにループする構成はあまりなく、個人的にはその分歌詞でいろんなワードを散らしたので逆にワクワクする感じだと思っています。考察だのなんだの色々書きましたが、煎じ詰めて言えばこの歌に大した謎などなく、リズムに乗って頭カラで楽しんでもらえればすごく喜ばしいです。サビに至っては「嗚呼(ああ)」しかないので、歌って楽しむのも限界まで楽になっています。曲終盤でちょっとだけ4つ打ちが顔をのぞかせますが、このテンポでの4つ打ちはかなり速く、自分が一番盛り上がっちゃいます。
バスドラとスネアの「ドッタドッドタン」というビートパターンとブリブリのベースラインは、インドネシア発のダンスミュージック「FUNKOT(ファンコット)」からのインスパイアです。もっとそれっぽくする方針も無くはなかった訳ですが、その必要性が特にないので断念。そもそもこのパターンは汎用性が高いので、生ドラムでロックっぽいビートにするとまた違った力強さが出るかもとも夢想しました。要は日本なんだかロシアなんだかインドネシアなんだかジャマイカなんだかよく分からない、その名も「凡穂蔵之介の歌」。
===試聴===
===歌詞===
その名も凡穂蔵之介(Bombo claat)
蔵の字、”ばいぶす”は如何ばかりか
”こみにけえしょん”で生む疎外
根明よりむしろ根暗にて御免
言うなれば凡穂<暗>之介
我が師の情けは海より深い
とても足向けちゃ眠れない
”ろしあ”に越したと手紙届いた
こりゃつまり<北枕>之介(Bombo claat)
「今日から貴様は錆になるのだ」
台詞の通り切り捨てりゃいい
斬れぬなら刀を切り捨てりゃいい
お陀仏だよ<なまくら>之介
力を望みて鍛錬の日々
たゆまぬ努力と心技体
禅の教えか”まいんどふるねす”
開眼を待つ<”ちゃくら”>之介(Bombo claat)
嗚呼 嗚呼 嗚呼
嗚呼 嗚呼 嗚呼
嗚呼 嗚呼 嗚呼
嗚呼 嗚呼 嗚呼
あれよあれよと誘われた故に
不味い飯を美味しいと言い
嘘八百に客は群がった
ご愁傷様<サクラ>之介
平凡な稲穂を蔵に入れる
どうせなら優秀な穂がいい
自然の摂理我が身と相容れぬ
強いて言えば<ボンクラ>之介(Bom-claat)
かつて円谷”ぷろ”のお膝元
”うるとらまん”商店街
”てええむしい”から木梨”さいくる”
ここ<祖師ヶ谷大蔵>之介
慶応元年 令和元年
散切り頭と新時代
文化の黎明 唯一の”えらあ”
その名も凡穂蔵之介(Bombo claat)
嗚呼 嗚呼 嗚呼
嗚呼 嗚呼 嗚呼
嗚呼 嗚呼 嗚呼
嗚呼 嗚呼 嗚呼
嗚呼 嗚呼 嗚呼
嗚呼 嗚呼 嗚呼
嗚呼 嗚呼 嗚呼
嗚呼 嗚呼
その名も凡穂蔵之介(Bombo claat)