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Stella Cadenza Vol.1全曲歌詞&解説2「Maria ~羊飼いマリアの冒険~」

Title: Maria ~羊飼いマリアの冒険~
Title (Streaming): 羊飼いマリアの冒険
Key: D minor
BPM: 141

<旅するように生きていたい!羊飼い歴2年目のマリアちゃん大脱出>

===あらすじ===

 マリアは田舎育ちの女の子。親の計らいで、去年から広い牧場で羊飼いとして働いている。牧場の主人はとても親切で、清潔な宿やお風呂、おいしい食事も用意してくれる。不自由のないファーマーズライフを送る彼女だが、心の奥では牧場の内側だけの生活に退屈していたのだった。
 ある日彼女が計画したのは、羊たちを連れての牧場脱出。本で読んだあの遊牧民のように旅したいと、強く憧れていた。そして作戦当日。草木も眠る頃、マリアは羊たちを連れて、主人に内緒で牧場の出口へと向かうのだった…

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 大好きなドイツの音楽ユニット「Dschinghis Khan(ジンギスカン)」みたいな曲を作りたいという思いから制作しました。「ジンギスカン」「ハッチ大作戦」などを聴きこんで、日本人にも親しみやすいメロディや特徴的なベースパターンを参考にして、実直に取り入れていきました。上記2曲とはテンポが141で同じです。
 この曲の主人公がマリアというのもいろいろ意味があり、

Dschinghis Khan→ジンギスカン→羊肉→羊→メリーさんの羊
Dschinghis Khan→チンギス・ハン→モンゴル→遊牧

 とこんな連想ゲームの末に、曲の内容を「マリア」(メリーのドイツ語名)が、家畜とともに移動しながら生きる遊牧生活に憧れる物語にしようと決めました。偉人や歴史上の出来事をストーリーテリングするジンギスカンよろしく、キャッチーなポップ感を失わずにストーリーを当てています。「Los! Los! Maria!」はドイツ語で「ゆけ!ゆけ!マリア!」です。
 また、「マリア」は新約聖書の「聖母マリア」「マグダラのマリア」などにも掛かると気付いて、イエス・キリストの有名な”たとえ”から「羊飼いは迷い出た たった一匹も見捨てはしない」という言葉を登場人物に言わせました。牧場の主人は迷った大事な一人の羊飼いを探すために、危険もコストも顧みずに動いたのです。”たとえ”のようにマリアは羊を見失ったわけではありませんが、そのくらい羊を大切にしてほしいというメッセージだととらえています。

 これまでダンスミュージック方面ばかりやっていたのが影響して、この手の楽器構成に慣れておらず、ギター・ドラム・ストリングス・ホーンまでNative Instruments社の「KONTAKT」にあったライブラリに任せるのが精一杯でした。民族的な響きの弦楽器はイランやアゼルバイジャンに伝わる「タール(Tar)」のフリー音源なのですが、雰囲気だけで弦の数などを意識していないので、果たして再現できるのかは分かりません。でもベースはサビで「タータタ タータタ」(8分音符)と譜割りするだけで「ジンギスカン」らしさが出て喜びました。
 ジンギスカンにはボーカルが本来5~6人ほどいるところ、ここでは男・女・男(低音)の3人に振り分け、自分1人でやりました。音域の広さ”だけ”はそこそこ自信のある自分にとっても限界で、記号で書くとA2~F5まで2オクターブ半以上出しています。本当は男女混合でハーモニーしたいと陰ながら思っています

 社会人生活を経験したからか、この頃には「束縛・支配からの脱出」「自分と周りの認識のズレ」、「大きな憧れ」というテーマが根底にある詞が目立つ気がしています。この歌の主人公・マリアも「牧場での生活(労働者としての本分)に退屈して、いつか見た憧れの世界へ旅立つ」という野心で行動します。でも彼女は知る由もありませんでした。どういう地域・環境で遊牧が行われるのかを。なぜ彼らは移動しなければいけないのかを。だから闇雲に駆け出したところで何もわからず、頑張っても策はなく、結局手詰まり。飢え死にこそしなかったものの、強制送還の末にバッドエンドを迎えてしまいました。
 ただ”憧れ”だけで動いてもどうしようもない。そんなことをマリアは学んだかもしれません。浅はかな行いだったと反省するかもしれません。でもこれを「束縛・支配からの脱出」に失敗したと表現したら、大変な絶望感が残ります――労働者的な意味で――だから一度失敗しても、彼女にはまだまだ未来があると付け足します。彼女はまだ「新天地を決してあきらめない」でしょう。

===試聴===

個人的にこのリリースで一番気に入っている曲なので、だいぶ長くなってしまいましたが、同じように歌詞を載せます。

===歌詞===

マリア…マリア 羊飼いになりもう2年目
牧場の主人にずっと世話をしてもらってきた
羊…100匹 みんなと仲良くなれたけれど
狭い生活にずっと退屈していた

ある日、本で読んだ
遊牧民の暮らし 憧れて
真夜中羊たちを連れて 作戦開始
広い大地へ抜け出そう(Hey Hey)

★Los! Los! Maria!(ロス!ロス!マリア!) いざ大移動
旅するように生きてゆくため
暗い闇夜も野犬の群れも
恐れず進む 仲間と共に
Los! Los! Maria!(ロス!ロス!マリア!) 世界は広い
雄大な人生 憧れて
「羊飼いは 夢に見た 新天地を決してあきらめない」(Hey)


牧場…牧場 遠くあとにしてもう3日目
生い茂る山の中を彷徨い歩いている
砂漠…平原 どれだけ行けども見つからない
疲労と空腹 体力を奪ってゆく

ある日、本で読んだ
遊牧民の暮らし 今いずこ
兄弟よ一緒に頑張ろう 力合わせて
望む未来は、きっとある(Hey Hey)



大自然に寄り添う生き様 素晴らしいけれども
閉じる瞼に浮かぶ景色 あの牧場恋しくて

ああ、憧れは霞んでゆき
そして気が付く
ここがどこだか分からない

Los! Los! Maria! 夢は破れて
旅するように生きていたかった
連れ戻しにやって来た主人に
烈火のごとくに ひどく叱られ
Los! Los! Maria! 最後に彼は
強く抱きしめ こう言った
「羊飼いは 迷い出た たった一匹も見捨てはしない」
「羊飼いは 迷い出た たった一匹も見捨てはしない」(Hey)

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