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【2570字】2024.06.07(金)|ノーヒットノーランの大瀬良大地、風呂を張り忘れる僕

我らが広島東洋カープのエース大瀬良大地がノーヒットノーランを達成した。カープの選手だと前田健太以来、マツダスタジアムでの達成となると初めての出来事だったらしい。僕はプレーボールからゲームセットまで熱視線を送り続けていた。快挙の瞬間に立ち会えたことを嬉しく思う。おめでとうございます。

大瀬良大地の奥さんである浅田真由さんの手記も読んでいて微笑ましい気分になった。ノーヒットノーランに関する記事が紙面を賑わせているが、その中でも必見と言えよう。

「結婚記念日の1月29日と一緒の(球数が)129球だったことも喜んでいます!」

本文より一部引用

1月29球と129球。なるほど、9回2アウトから、二者連続のフォアボールで球数がかさんだのは、そういう伏線があったのか…。いやいや、そんなわけはあるまいて。そんな余裕はあるまいて。けれども、カープファンに軽口を叩かせてくれる、粋なコメントだ。女房役の會澤翼に負けず劣らずのナイスリードである。

・・・で。

普段、僕は、ナイトゲームのプロ野球中継を見終えたら、お風呂の「お湯を張ります」のスイッチを押す。その後、カープ関連の記事に目を通す。一通り見終えた頃には、浴槽に湯が張り終えた状態になっているので、その流れのまま、お風呂へと入る。そういう一連のルーティンがあるのだ。

・・・そう。

もう何となくお察しの方も居るかもしれない。僕は今日、「大瀬良がノーノーやったぜ〜!バンザ〜イ!バンザ〜イ!」と有頂天になっていた。ゲームセット後も、ヒーローインタビュー、ハイライトシーンなど、中継が終了するまでずっと、ルンルン気分で過ごしていた。中継が終了してからも、夢見心地のまま、カープの記事に目を通していた。似たようなタイトルが付いた記事も、一つ残さず目を通した。同じような話であったとしても、何度だって読みたい。読み飽きるはずがないだろう。なかなかお目にかかれないんだぞ。ノーノーってさ。やっぱりカープがナンバーワン!

・・・で。

興奮冷めやらぬまま、僕は、お風呂へと向かっていった。「グレ〜〜、ゴ〜リ〜、グレ〜〜、ゴ〜リ〜、グレーゴリーホームラン!グレーゴリーホームラン!!」。ラストバッター、グレゴリー・ポランコの応援歌が脳内再生される。「やれやれ、熱狂的なロッテファンに、完璧に毒されててしまったな…」。しかし試合は大瀬良大地が完璧に抑え切ってのノーノーだ。僕は身体を洗いながら、心の中で、エヘンとなる。まるで自分が快挙を成し遂げたかのように誇らしい気持ちだ。これも野球ファンあるあるなのかしら?

「そういえば、ポランコが打席に立った時、極端な守備シフトを敷いて、網にかけたようなアウトを取ってたけど、空いたところを狙って、 ちょこんと打たれたりしたら、H(ヒット)のランプがついた可能性もあったと思うけどなぁ…。」

おっと、カープファンでありながら、ついつい、無粋なことが頭によぎってしまった。ただ、ノーヒットノーランが起きた時、必ずと言って良いほど聞かれる話でもある。「やられた側も『何が何でも!』という意地が見えてこないのがね…」と。

「意地」とは、別に何も、精神論に限った話ではない。ヒットに出来ないならば、とにかく球数を投げさせて疲れさせようと、カットに徹してファウルを連発する、それも立派な戦術の一つだ。僕が挙げた、シフトの裏をかくことでノーノーピッチを止めて、試合の流れを変えようとする、それも戦術の一つ。また、たとえ決まらなくとも、セーフティバントをガンガン仕掛けて、少しでもピッチャーに揺さぶりを与える、足を動かせてピッチングのリズムを崩させる、そんな戦術もあるはずだ。

「これも時代の流れと言えるのかねぇ…。」

詳しいことは分からないし、昔のプロ野球のこともよく分からない。ただ、一つ言えるのは、現代社会は、瞬く間に情報が拡散される時代、いわゆる“情報社会”であることだ。もしかすると、「姑息な手段を使って大瀬良のノーヒットノーラン達成を妨げた〜」などといった苦言が呈されるかもしれない。そうなると、その苦言に対する反論の声も出ることだろう。「勝負事なんだから相手が嫌がることをやって勝利に近付けようとするのは当然だろう」などと。そして、反論を重ね合う展開になるかもしれない。売り言葉に買い言葉。以下、堂々巡り…。

「まぁ、何はともあれ、大瀬良、良い笑顔してたなぁ…。ホントに笑顔が似合うよなぁ…。『聖人君子なんて人間は実在しない』が口癖の一つである僕だけども、『しかし大瀬良大地ならば…。』と思わせるぐらいの笑顔だったよなぁ…。」

最終的に笑顔に帰結するのが「笑顔フェチ」を自称している僕であるゆえんだ。大瀬良大地の笑顔は世界平和の架け橋になれるぐらいのパワーがある。ヒーローインタビューの際、テンパッたインタビュアーに対して、優しく微笑みかける姿は、まさに“聖人君子”のそれだった。家に帰ると、真由夫人と愛息が、笑顔で、“ヒーロー”の帰還を迎え入れることだろう。みんな笑顔。みんなハッピー。スマイル0円。お金で買えない価値がある。買えるものはマスターカードで。

「さて、そろそろ湯船に浸かるとするか…。」

僕はお風呂のフタをガラガラと開けた。

「・・・・・・」

・・・が、しかし、そこには、カラの浴槽が、ポツンとあるだけだった。

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・大瀬良大地のノーヒットノーランで有頂天になって、押し忘れたか…。」

僕は、一気に、現実世界に引き戻された。終始、ニヤケ気味だった表情はいずこへ、顔をこわばらせたまま、お風呂場を後にしたのだった…。

Fin. 〜終わり悪ければ全て悪し〜


【P.S.】

千葉ロッテマリーンズ、グレゴリー・ポランコ選手の応援歌の件なんですけど、

【前奏】〜♪ オイ!オイ!オイ!オイ!……
エルコーヒー エルコーヒー
エルコーヒーホームラン
エルコーヒーホームラン

グレゴリー・ポランコの応援歌詞

だったみたいです。間違えて覚えていました。「エルコーヒー」を、名前の「グレゴリー」と聞き間違えていました。すいませんでした。

(それにしても・・・)
(なんでエルコーヒーなんだ・・・?)

「エルコーヒー」と思いながら聞いても「グレゴリー」にしか聞こえません。ロッテファンの皆様、誠に申し訳ございません。

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