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【エッセイ】CRAFT BOSS 甘くないイタリアーノ(なお甘い模様)

僕は甘党ではない。

コーヒーで言うならば、ブラックコーヒーも普通に飲むけれども、コーヒーフレッシュのみを加えるか、あるいは、ミルクを少し入れて飲むことが、一番多いかと思われる。

砂糖が加えられたコーヒーも、まぁ、特段、飲めないことはないのだけど、「あ、甘いな」と、気になるレベルではある。とはいえ、不快な表情を出さない範囲内だ。(と、自分では思っている)

僕の場合、人工的な甘さを感じる飲み物は、年々、苦手になっている。コーヒーから外れてしまうが、ジュース系の炭酸飲料は、その最たる例だ。

好きな人には大変申し訳ないのだけれど、アラサーと呼ぶ年齢ぐらいにもなってくると、正直、砂糖水を飲んでいるような心持ちになってしまう。

一つ、ミニエピソードがある。マクドナルドに行った時のことだ。何気無くドリンク欄を眺めると「スプライト」と書かれていた。僕は本能的に「うわあ、懐かしい。ちょっと飲みたくなってきたな」と感じ、いつものコーヒーではなく、スプライトを注文したのだ。

結果、僕の直感的な選択は、大失敗に終わった。一口飲んだ瞬間「えっ、こんな甘いっけ・・・?」と困惑し、数秒間、時が止まったような心持ちになったものだ。

※繰り返しになるが、ジュース系炭酸飲料を好んで飲んでおられる方にとって、大変不快な文章を記してしまったことを、深くお詫び申し上げる。「あくまでも個人の味覚の話ですよ!」と、この場を借りて強調しておきたい。

閑話休題。

そんな僕にとって「甘くない」と、大々的に、商品名に書き記しているこの商品は、CMを見て存在を知ってからというもの、密かに気になっていたわけだ。

で、ちょっと休憩がてらコーヒーでも買おうかな、と立ち寄ったスーパーに、デンと、上述した商品「CRAFT BOSS 甘くないイタリアーノ」を発見し、CMの内容を想起した僕は、迷うことなく、今日はこれにするか、と即決したのだ。

店を出て、車に乗り、んじゃあ一息つきますか、どんな味だろうなあ、家で飲むミルクコーヒー(無糖)よりも美味しいといいなあ、などと考えながら、コクっと、一口、飲んでみた。

・・・。

「あれ・・・?」

「ねぇ、これ、甘くない・・・?」

おかしい。なにかがおかしい。なんで甘いんだ。それもこの甘さはミルクじゃない。人工的な甘さだ。そう。つまり、砂糖が使用されている。これは砂糖の甘さだ。違いない。

「なぜだ?」

「甘くないイタリアーノと銘打っているのに?」

「なぜ、砂糖の甘味があるんだ・・・?」

僕は混乱した。違う。こういう味を期待していたわけじゃない。僕は、自然な甘味、つまり、ミルク本来の甘味を楽しめるミルクコーヒーを所望していたはずなのに・・・。

なんだろう。この気持ち。突然、ハシゴを外されたような。突拍子もないタイミングで、サラッと裏切られたような。そんな心持ちになってしまった・・・。

失意の念に駆られながら、僕は、うつろな目で、成分表をチェックしようとした。もうこの時点で、僕は、自分が重大なミスを犯していることに気付いていた。

そういえば、成分表を確認していなかったな、と。商品名の「甘くない」という謳い文句に引っ張られて「甘くない = 砂糖不使用」と、勝手に決め付けてしまっていたな、と。

一口飲んだと思ったら、たちまち「違うこれじゃない!この甘さは求めてない!」と、散々憤ったわけだが、蓋を開けてみれば、なんてことはない、自分の確認不足に過ぎなかったのだ。

「砂糖は一切使っていません!」という但し書きが書かれているわけではない。にもかかわらず、ミルクだけの甘さなんだろう、と思い込んでしまった。商品にはなんの落ち度もない。悪いのは早合点をしてレジに持って行った自分なのだ。

そうやって、自らの至らなさを責めて、軽い自己嫌悪に苛まれながらも、成分表に目を走らせていると、案の定、と言うべきか「砂糖」の文言を見つけることが出来た。

嗚呼、商品を購入する前に、事前に成分表をチェックした上で、買うか否かを判断する、という作業を行なっていれば、勝手に期待して勝手に落胆する、などといった、無駄な労力を消費せずに済んだというのに・・・。

僕は、徒労してしまったエネルギーを惜しみつつも、やってしまったものは仕方ないだろう、と、リセットして、再び「甘くないイタリアーノ(なお甘い模様)」を、二口、三口、飲んだ。

・・・。

「これ、あれだな、甘くない、と思って飲むから、『いや甘いやん!』とツッコミを入れたくなるだけで、甘い、と思って飲むと、甘さ控えめで、スッキリとした味わいじゃないか・・・」

【結論】

普通に美味しかったです!(^^)

Fin. 〜平和な世界エンド〜

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