巨人・ウォーカーの〝泣けた〟捕殺 亀井コーチとの絆「喜ばせることができてうれしい」
アダム・ウォーカー。
来日当初の守備を見た時の衝撃は今も鮮明に思い出せる。彼には申し訳ないけれども、悪い意味での、衝撃を覚えた。
誇張しているつもりはないが、ボールの追いかけ方がスローモーションに見えた。その旨を同じ野球好きの父に伝えると「(ウォーカーとポランコの)両翼ザルやな」という、関西人の阪神ファンらしい答えがかえってきたのも良く覚えている。
僕自身、あんまり選手を貶めるような発言がしたいタイプじゃないのだけど、「これはまあ言われても仕方がないのかな・・・」と、思わざるを得なかった。
記事にもあるように、送球も、まるで試合中とは思えないようなフワッとした投げ方で、中継プレーをしている様子が見受けられた。
「外国人選手は地肩が強い」という先入観も働いているのか、どうしても「緩慢プレー」に見えてしまった。打つことにしか関心がないプレイヤーなのかなぁ・・・と。
このように、ウォーカーに対する第一印象は、かなり酷いものだったと記憶している。おそらく、多くのプロ野球ファンの方も、似たような印象を持ったのではないだろうか。
そんな負のイメージは、一気に覆されることになる。
程なくして「守備には興味がない」のではなく「守備の指導を受けて来なかった」ことが分かった。
そして、現役時代は外野の名手として鳴らしていた亀井コーチが、熱心に守備指導をしている話も耳にした。
・・・あとは、皆さんがご存知の通り(笑)
蓋を開けてみれば、(コロナ陽性者による代替選手とはいえ)来日初年度でオールスターに選ばれるなど、巨人ファンだけでなく、多くの野球ファンに認知されるほどの活躍を魅せた。
最近だと、秋季キャンプに異例の参加で、巨人ファンを喜ばせたのが記憶に新しい。
最初のイメージが悪かったからこそ、シーズンが進むにつれ、ウォーカーの守備力がメキメキと向上していくさまに、大きな驚きと感動を覚えたものだ。
守備のイロハをイチから叩き込んだ亀井コーチの懇切丁寧な指導もさることながら、それにプレーで応えたウォーカーの努力と熱意。これが本当に素晴らしくて。
カープファンである僕にとって、目下のライバルではあるのだけど、どうしても心のどこかで応援している自分が居た。
ついでに外見にも言及しておくと、最初に彼を見た時、ドレッドヘアーで身体もガッシリしていて、凄く怖いイメージがあったんだよね。
だけど、プレーを見ていると、喜怒哀楽をありのままに表現する子どもらしい一面を持っていることが分かって。
ホームランを打ってベンチに帰ってきて、選手からの少々手荒い祝福に対しても、屈託の無い笑みを浮かべていた。そんな光景を見て、一種の「ギャップ萌え」みたいなものを感じていたのもある。
というわけで、シーズン終了後には、すっかり好きな選手の一人となってしまった(笑)
最後に、カープファンから見たウォーカーとして、頭に浮かんでくるものを書き出しておこうと思う。
やはり1番の魅力は打撃だろう。
外国人選手らしい、パワーが物凄い、というよりかは、バットの芯に当てるのが上手い、そんなイメージの方が強い。
遠藤淳志が低めに制球良く投じたチェンジアップを、掬い上げるように打ったかと思えば、そのまま東京ドームのスタンドに突き刺した。あのスイングは未だに脳裏に焼き付いている。
それも、ギリギリ入ったホームランではなく、マツダスタジアムでも確実に入ったであろう、スタンド中段ぐらいにまで飛ばしていた。まさに圧巻のホームランだった。
次に僕が目を引いたのは走塁。
もうね、とにかくアグレッシブ。高い身体能力、長い手足を活かして、ガンガン攻めて来る。持ち前の長打力も相まって、二塁打を量産出来る能力があるのも彼の魅力の一つだろう。
中には、素人目に見ても、試合状況が頭に入っていないような、無謀とも思えるボーンヘッドを行う時だってあったけれど。それも攻めた結果。彼なら失敗を糧にして成長に繋げるだろう。そう思わせるだけのモノを魅せているからね。
・・・何より、カープの伝統的な機動力野球が大好きな僕なので、走塁意欲が人一倍強いウォーカーの積極果敢なプレーは、好きにならざるを得ないのだ(笑)