#29【夢日記】〈悲報〉プロ野球選手のワイ、大物OB諸氏を知らんぷりする
こんな夢を見た。
なんと、僕はプロ野球選手になっていた。それも、僕が贔屓にしているチーム、広島東洋カープの選手の一員らしい。
自他共に認める野球好きであることは疑いようのない事実と言えるが、まともに野球経験が無い、ちょろっと草野球を嗜む程度の癖に、まったくもって、良いご身分を与えられたものだ。
ちなみに僕は左投げ左打ちである。それに加えて、パッと見た感じ、ある程度は動けそうな風貌をしているからか、割と良い打順を任されたりもする。
調子に乗った僕は「わ〜い、近本光司だぞ〜」「どうだ、大島洋平だ〜」などと、左投げ左打ち&センターの名手である二人を思い浮かべながらプレーしたりもする。
しかし、現実はそう甘くはない。大島洋平の爪の垢を煎じて飲んだ結果、ミート力だけ少し手に入れたバッティングに加え、ディフェンスに至っては、ポジションと利き腕以外、何ら共通点はなく、しまいにはバンザイをする始末。
なお、“ミート力だけ少し手に入れた”と前述したが、実際は、バットには当たるけれど、打球は上がらず、球足が速めの打球を内野の守備範囲内に転がすだけ。
つまりは、ランナーが居る場面で打順が巡って来ると、ゲッツーマシーンと化すわけだ。余計にタチが悪い。それならばバットに当たらない方が幾分マシじゃないか。
失礼。話が脱線してしまった。僕は、隙あらば自分語り、隙あらば自虐トークをする悪癖がある。
さて、本題に戻ろう。
そんなわけで、プロ野球選手になった僕は、いっちょまえにユニフォームを着て、何かしらの関係者であろうか、誰かと楽しそうに会話をしている。どうやら、食事の帰りのようだ。
いやちょっと待て、プロ野球選手と言えども、プライベートな時間帯もユニフォーム姿で動くことはないだろう、と物言いを入れたくもなるが、そこは夢の世界ということで、どうか大目に見ていただきたい。
で。
ここまでは良かった。まさに夢物語。文字通り。しかし、ここまでだった。僕がニヤニヤしながら夢を楽しむことが出来たのは。
そう。現れただけで、背筋がピンと張るだけでなく、張り詰めた空気にもなるような、並み居る大物OBの方々が、僕のもとに集結したのだ。
いや、僕に会うために集結したわけではない、と思うのだけど、とにかく、メチャクチャ居た。僕の記憶の外に行ってしまった大物OBも居るかもしれない、と思う程度には、居た。
以下、名前を列挙する。
※梶谷隆幸氏は2023年現在、読売ジャイアンツで現役選手としてプレーしておりますが、便宜上、“大物OB諸氏”で、一括りにさせていただきました。「もう引退したようなもんやろ梶谷はw」「井納といい巨人に行ったのが運の尽きよw」などといった意向(煽り)は一切御座いませんので、予めご了承下さい。
これは推測になるのだけど、おそらく、近くの店で会食を楽しんでいたのではないだろうか。そこでたまたま鉢合わせしてしまった、そんな感じじゃないかと思われる。
兎にも角にも、自分にとって雲の上と言うべき存在の方がズラリと並んでいる光景を目にして、僕は、気が動転して、何が何やら、ワケが分からなくなってしまったのだ。
普通に考えれば「お疲れ様です!」「奇遇ですね!」「僕も近くの店で飲んでたんです!」などと言えば済む話だ。
だけど、思いもよらない状況で、思いもよらない人と遭遇してしまうと、人間というものは、いや、とりわけ、僕という人間は、ドギマギしてしまうものだ。
その結果、あろうことか、“何とか見つからずにこの場を立ち去れないか”という、馬鹿げた考えが、ポッと頭に浮かんでしまった。
言われてみれば、現実世界もそうだ。特にアポイントメントを取っていない状態で知り合いと顔を合わすことを、僕は毛嫌いするところがある。
ひどい場合は、相手の呼びかけが聞こえているにも関わらず、聞こえないフリをして、そのまま立ち去り、後日、その旨を聞かされて、気付かなかったとしらばっくれることもあるぐらいだ。
ちなみに、こういった愚行は、その後“カルマ”として、自分の心に刻み込まれることとなり、その人と顔を合わせるたびに、「あの時はすみませんでした・・・」と、心の中で懺悔をすることになる。そう。その場凌ぎは後々に皺寄せが来るのだ。嗚呼、人生というのは良く出来ている。
というわけで、本題に戻ろうか。
僕は、プロ野球ファンであれば、9人の名前を肴にしてハシゴ酒が出来そうな、そんなビッグネーム揃いのメンバーに対して、あろうことか、ガン無視を決め込んでしまったわけだ。
縦社会的な考えも根強いプロ野球界において、こんな行動が許されるはずもない。ましてや僕は気が動転していた。当然、即座に見つかった。具体的に言うと、金本知憲氏から、面と向かって「おい」と言われた。ニュアンス的には「オマエ挨拶はどうしたんや?」といったところだろうか。
そんな声掛けに対しても、愚かな僕は正気を取り戻すことなく、愚行を繰り返してしまった。気付かれていることを悟りながらも、素通りし続けた。背中越しに、ドスの利いた声を受けながら。
・・・なお、前田智徳氏のみ、第三者的ポジションで、僕と大物OB諸氏のやり取りを観察することに徹しており、ニヤニヤ笑いながらその様子を眺めていたのだが、あれはどういう意味を指しているのだろうかと、起きてからずっと悶々としており、小骨が喉に刺さったような心持ちになっている僕が居るのだが、それは置いといて・・・。
そんなわけで、散々逃げ惑った僕は、最後、梶谷隆幸氏とバッタリ目が合ったことで、遂に観念して、「ちわっす!」と、半ば自棄(ヤケ)になったような、無駄に威勢の良い挨拶を行なった。
どうやら梶谷氏は前述した8人とは別グループで行動していたらしい。なので、「おう」と、普通に返事をかえしてくれた。
その“普通さ”が凄く胸に沁みた。なぜなら、自分の後方に居るであろう大物OB諸氏は、普通に、挨拶をかえしてはくれないだろうから・・・。
無論、全ては自分が蒔いた種である。情状酌量の余地は無い。はじめから「ちわっす!」と言っておけば良かった話だ。そんな自責の念にも駆られながら、僕は、恐る恐る、後ろを振り返った・・・。
・・・ここで、目が覚めた。
事なきを得た、と表現するのは、いささか都合が良すぎるだろう。夢で良かった、と言うべきだろうか。
今日の夢を見て「いざという時に人間の本性が出るものだな」というのを、改めて考えさせられる機会を得ることが出来た。
僕の場合、目の前の大き過ぎる課題に直面した際、それに立ち向かって行く気力・精神力が無いあまりに、何かと誤魔化そうとして、その場を上手くやり過ごせないか、といった、悪知恵ばかりが働いてしまう、ということだ。
夢の内容のアップダウンが激しかっただけに、起きた直後は「プロ野球選手になった夢ならもっと夢のある内容を見せてくれよ・・・」と悪態もついてしまったが、自らを戒める警告夢として受け取り、現実世界の立ち居振る舞いに活かしていきたいと思う。
“活かしていきたいと思う”といった言葉を発して満足するのではなく、具体的な行動の変化に繋げることをココに誓う、という念押しをして、今日の話は閉めさせてもらおう。