仮想通貨のかんたん積立をやらないことにした理由

こんにちは。投資家で物書きの渡邊龍之介です。

今日、友人からチャットが来て、某大手暗号資産取引業者(複数)が暗号資産の積み立て投資のキャンペーンをやっているがどう思うか、と相談されました。

以前から、水瀬ケンイチさんと山崎元さんの「ほったらかし投資」の著作などで説明されているように、ドルコスト平均法、つまり毎月とか毎週の決まった日の決まった時刻に、定額で投資するというのは、長期投資の、かなり確度の高い投資法と言われています。

投資経験のない人でも勝つ見込みのある、もっとも難易度の低い必勝法と言っていいでしょう。

ドルコスト平均法というのは、決まったタイミングで定額で何かを買い続ける投資法です。たとえば月に1万円でコツコツ積み立てる場合、ドル円が下がって100円の時は、100 ドルを買うことになります。

逆に急に値が上がって120円の場合は、83ドルしか買わないことになります。

安い時に多めに買い、上がったときは少ししか買わない、ということで、長期間掛けて、少しずつ保有資産の平均値を下げていくことで、いずれ上がった時に十分な利益が出るようになる、という考え方です。

また原資産(買う対象。この例だと米ドル)についても、倒産して無価値になるリスクのある株や手数料負けしてしまうようなアクティブファンドではなく、全世界の株式に連動した世界株インデックス7割に、日経やTOPIXに連動した日本のインデックス株3割一択で、今後ともじわじわと成長する世界経済と一緒に自分の金融資産を増やす、という考え方が一般的です。

最近では、労働市場改革や規制改革が進まず、今後の成長も見込めない日本経済は見ないで、世界株インデックス一択という考え方もあるようですが。

これをビットコインでやるのが暗号資産積み立てということになります。

世界経済がアップダウンはあるものの長い目で見れば成長しているように、ビットコインの価値も少しずつ上昇しており、エコノミストや仮想通貨の専門家からは、1千万円を超えるとか3千万円くらいまで行くのではないかとか言われています。
長期で取り組めば、高い確率でプラスになるであろう投資法です。

ところがスプレッドを調べてみると

今回のキャンペーンでは、積み立て投資を開始し、3ヶ月間続ければ、ある会社では1千円、別の会社では何と積み立て金額が2万円以上という条件があるものの、2千円がキャッシュバックされるというものです。

6万円払って、2千円得られるなら、利率にして3.3%、年率換算すると13%という破格の条件です。

ところが、FXや仮想通貨を買うときは、スプレッド=売値と買値の差を見ないといけません。

FXでは取引手数料は無料という証券会社が多いですが、買いたいには少し高値で売り、逆に持っている外貨を売りたい人には少し安値で買う、言い換えれば買い叩くことで、少しずつ利益を抜いているわけです。

たとえば、ドル円が110円の時、買いたい人には110.02円で売り、売りたい人のドル円は109.98円で引き取る、ということで、それぞれから2銭ずつ手数料をいただいています。

今回キャンペーン対象となっている暗号資産の積み立ては、暗号資産の「販売所」で買うものです。ここが重要なポイントです。

実際の市場に近いメカニズムでビットコインを売りたい人と買いたい人がやり取りする「取引所」に対し、「販売所」ではその暗号資産交換業者がちょうど店のように、どこかで調達してきたコインを売ったり引き取ったりしているものであり、どうしても業者に有利な値付けになっています。

ちなみに、友人からチャットが来た時点のその業者さんの販売所の価格ですが、売値が518万、買値が488万、つまり30万円≒6%程度の価格差があり、もし2万円で積み立てた場合、いきなり1,200円も自分の資産が減ってしまう訳です。

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そしてキャンペーンの条件が3ヶ月ですから、毎月やったとして、3,600円払って2,000円もらったとしても、トータルで1,600円払うことになり、全然資産は増えていません、というか減っています

もちろん暗号資産を売ってもらい、またシステムで定期的に買い付けてもらうというサービスを受けている訳ですから、多少の手数料を払うのは当然ですが。

でも、一方の取引所では、1万円程度のスプレッド、つまり0.2%程度の手数料で売買できる場所がある訳ですから、あえて割高な商品を買うのは、投資家としては褒められたものではないと考えます。

さらに、将来値上がりして利確する時にも同じ手数料が掛かるので、往復12%の手数料を支払うことになります。

暗号資産の売買、特に暗号資産FXで自動売買をする場合、国内で年利にして15%、海外だと25%とか普通に掛かりますので、年利で40%以上のパフォーマンスが出ないと全然利益になりません

結論としては、投資をする際は、スプレッドと手数料を払っても、まだ十分利益になるか確認しましょう、という当然だけど大事なお話でした。

追伸、作成中の自動売買の解説も、もうすぐアップしますね。

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