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投資必勝法はないが・・・勝つ確率を上げるために「型」を持て 〜2022実践編(2/2)

注:少し説明不足なところがあったので、2022/3/23に少しリライトしました。

前回は、闇雲に投資をするのでなく、どうエントリーして、どうなったらイグジットするのか、投資の型をイメージし、自分なりのスタイルを持つことが重要だと書きました。

投資必勝法はないが・・・勝つ確率を上げるために「型」を持て 〜序章(1/2)

今回は、具体的にどのような技法があるのか、5つの「型」を具体的にご紹介します。

あくまで、ある個人のまだまだ改善の余地のある不完全な「型」ですが、いちおうコンスタントに投資で利益を得ているトレーダーがどのようなアプローチで取り組んでいるのか、少しでも、ご参考になれば嬉しいです。

1)ほったらかし投資=ドルコスト平均法による積み立て

レベル: 初級
メリット:かなりの確率で利益が得られる
デメリット:時間が掛かる、劇的な利益にはなりにくい

投資初心者の方にまずお勧めするのは、水瀬ケンイチさんや山崎元さんその他の「ほったらかし投資」の本でも知られる、ドルコスト平均法による積み立てです。

これは毎月の1日の朝9時とか、毎月第2、第4金曜の10時とか、決まったタイミングで、決まった金額の同じ対象をコツコツと買い続けて積み立てていくと言う方法です。

この要点は、決まったタイミング、決まった金額で積み立てるということです。

毎回、値段は異なるので、ある種のランダムな選択となり、それで買値をバラけさせることになります。

やや邪道ですが、個人的には後述のような、安値時に多めに買うという戦術と併用してもいいとは思います。

たとえば外貨預金を積み立てるとして、毎月2万円分の豪ドルを買うとして、豪ドルが高めで90円の時は、2万÷90円で222ドル買うことになります。

あるいは豪ドルが70円に下がっていれば、286ドル買うことになります。

対象となる資産が高い時は少なめに、安い時は多めに買うことで、長期的には保有ポジションの平均値が低くなり、少しずつ利益が増えてくる、と言うアプローチです。

この対象にはお勧めがあり、前述のほったらかし投資を始め、多くの本では世界株のインデックス、米国株のインデックス、また日本株のインデックスファンド(全世界、米国、日本のそれぞれの代表的な株価指数、日本であれば日経平均とか東証株価指数と同じ動きをするよう組成された投資信託)を海外7割、国内3割で買うとよい、とされています。

上下に蛇行しつつも、歴史的には世界経済はじわじわと拡大しているからです。以下のグローバルインデックスETF(1550)の10年グラフを見ても分かりますが、多少の凸凹はありつつも少しずつ成長しています。

スクリーンショット 2022-03-13 8.29.23

今は日本経済だけ1人負けで全然成長していないので、人によっては海外8割とか、いっそ全部海外、とか海外比率をもっと増やすべき、という意見もあります。

ちなみに私もリーマンショックの少し前に、当時の会社の401K(企業の年金代わりに積み立て投資する制度)で積み立て投資を始めましたが、そういう安い時に開始したというタイミングの良さもあったとはいえ、10年ちょっとで掛け金の倍以上になっています。時間の力は大きいです。

NISAなど非課税の仕組みを活用してやれば、税金も掛からずさらに最強です。

「ほったらかし」といいますが、私の考えでは、景気が加熱気味、バブルと言われているタイミングで一部を利確した方が良いかと思います。

神様でない人の身で、完璧に最高値を捉えるのは無理なので、そこそこ高いところで売れればOKと思うべきです。

売った後にもっと上がると悔しいものですが、その場合は4〜5回くらいに分けて売るとかすればいいのです。

全額売らずに、一部を利確でそれが十分に利益になっていればいいのです。

増えた分の現金を軍資金にして、また(まさに今回のコロナ禍のような)世界レベルでの暴落が来たタイミングで、値下がりした世界株インデックス等の銘柄を買い増しするとよいかと思います。

とはいえ、ほうっておいてもプラスになる確率は高いので、必須ではありません。あくまで応用編ということで。

リーマンショックの際は一気に含み損が増えて、ちょっと怖くなりましたが、実は買い時で、その際に安く買ったことが、最終的に大きく増えるための仕込みになっていたことが分かります。

日本一の旦那と言われた個人投資家・竹田和平さんによると、株は「安い時は安く買えるから良い、高い時は手持ちの株が利益になるから良い」とのことですが、そのようなスタンスでじっくり取り組みたい手法です。

2)うねり取り

レベル: 初級〜中級
メリット: 数週間から数ヶ月で結果が出るので励みになる
デメリット: 予期しない動きへの対応が難しい

これは筆者自身が、勝てない投資家から勝てる投資家になる転機になったアプローチです。

昭和の相場師であり、投資家教育にも情熱を注がれた林輝太郎先生の著作で、昔の相場師、つまり相場で生計を立てて資産を築いたプロの土台となるアプローチとして、繰り返し説明されています。

【書評】うねり取り入門 〜基本を学べる古典的名著

日足(ひあし)、つまり大企業の株やFXなどの日々の値動きのグラフを見ると、一方的に上がったり下がったりするわけでなく、数週間から数ヶ月程度の周期で上がったり下がったりを繰り返し、たまに急に上がったり、ドーンと暴落したりしつつも、2〜5年くらいのスパンで見ると、全体として上下動をしていることが分かります。

もちろん、いい材料が出て急に上がったり、世界的な経済危機で一気にこれまでにない水準にまで下がったり、逆に金融緩和で一方的に値上がりして行ったり、という不規則な動きもあるので、正弦波のような綺麗な波形を描くわけではありません。

それでも、一方向に動くということはなく、60〜90日程度で上がったり下がったりするので、下がった時に買い、もっと下がったらナンピンし、資金計画を含めて想定より下がったら一部損切りしつつ戻りを待つ、ということで、利益を得ていきます。

この図を例に取ると、もしロング(買い)を中心にやる場合、過去のグラフを見て、安値圏(オレンジのゾーン)に来たら買いを入れる、もし高値圏(水色のゾーン)に来たら利確する、もし過去のレンジより下がるようであれば(黄色のゾーン)、ナンピンして手持ちのポジションの平均値を下げ、また水色のゾーンに上がってきたら売る、という流れになります。

ここで、買ったポジション(買い玉)はそのまま残し、高値圏で今度は逆に売りを入れて、もっと高くなったらさらに売りポジションを増やして、今度は下がるのを待つ「ツナギ」という手法もありますが、それは応用編なので、当分は買いを中心にやるのが良いかと思います。

ちなみに上記の林先生の著作では、値動きの安定した東証一部の大企業の株や、これも値幅がある程度は決まっている商品のうねり取りをする相場師の例がいろいろと紹介されていますが、実は先進国の通貨であればある程度値動きの範囲があるレンジになっていること(=上下動が見やすい)、また待っている間にスワップポイントによる収益が得られることから、私はFXの買いによるうねり取りをメインにしています。

その考え方ややり方については、以前にブログに書きましたので、もう少し知りたい方はぜひご一読ください。

地道なうねり取りの基礎練習のやり方 〜FXで実践してみた

好材料が出て早いタイミングで上がってしまったり、あるいは逆に悪いニュースで過去のパターンを下回る方向で下がったりと、簡単でない時もあります。

うねり取りの極意は、まず特定の銘柄に狙いを絞り(1本でも可、多くても3本くらい。銘柄固定と言います)、グラフをよく見て安値圏で買うこと、また一度に一気に買わず、何度かに分けて買う分割売買が極意かと思っています。

想定より下がって仕方なくナンピンするのではなく、どうせ未来は分からない以上、最安値をぴたりと当てるのは無理なので、下がることを前提に刻んで買っていこうというスタンスです。

また、グラフを頻繁に、しっかりと見るのは特に重要です。実は方眼紙で手描きで書くのが良いとされています。アナログですが、ぜひお試しを。

もし無理でも、とにかく自分が売買する銘柄のグラフを決まった期間でよく見るようにして、値動きに慣れ親しんでください。私は半年と2年のグラフを中心に、自分が対象としている株とFXの日足や月足を頻繁に見ています。

上述の林先生の本でも、やってみれば意外に出来るとありますが、グラフを毎日見て値動きに馴染むこと、十分に安値圏に入ったら買うこと、そして想定より下がるリスクに備えて何度かに分けて買うこと(分割売買)の2つを徹底すれば、かなり勝率は上がってきます。

3)暴落デイ・キャッチ

レベル: 中級
メリット: 大きな暴落の後はリバウンドがあるので、高い確率で利益になる、うねり取りの考えと組み合わせればさらに勝率は上がる
デメリット: 典型的な逆張りであり、強いメンタルが必要

これは典型的な逆張りであり、株やFXがこれでもかと下がっているタイミングで買いを入れるのはかなりメンタルに負担が掛かりますが、たとえば日経平均が1日に800円とか1,000円くらい下がる日に、買いを入れる方法です。

大きく下がる日の翌日には3〜5割くらい戻ることが多いので、その戻りを取るわけです。

特に、ボリンジャーバンドという、日々の値動きを標準偏差で集計した指標を使い、通常だと発生可能性の低い-2σ(シグマ)や-3σ、つまりいつもの動きの2〜3倍以上の幅で暴落したところで拾うのも、1つの判断材料になります。

あるいは上記のうねり取りと組み合わせて、じわじわとポジションを増やしつつ保有の平均値を下げて、数週間後から数ヶ月後に来る大きな戻りでしっかり利確する、ということも可能な技法です。

たとえば以下の2020年3月の全世界のコロナ・ショックの時のように、一気に大幅に株やFXなどの大暴落が起きる時があります(左下の長い下ヒゲ)。

これは米ドルの動きですが、もし最安値の103円でなくても、104円くらいで1万ドル買っていれば、その後116円まで上がっているので、今頃12万円の利益になっています。

あるいはうねり取りの技法である分割売買をして、105円、104円、103円で刻んで買えば、やはり平均104円で保有しているので、上記の利益が得られます。

短期的な下落幅の半分程度の利益を取る、または中長期的にポジションを育てていって、大きく成長を待つなど、それなりの利益が期待できるやり方です。

4)ビットコインの買い持ち

レベル: 初級〜中級
方法: 安いときにビットコイン現物を買う
メリット: 安いときに買えば、変動が大きいので、2倍以上の利益が得られる
デメリット: 仮想通貨特有の激しい動きで強いメンタルが必要、税制上の優遇措置がない

いわゆる仮想通貨トレーダーから、「ガチホ」と呼ばれている手法です。

「ガチ」、つまり本気で、とかしっかりと「ホールド」(保持)するという意味です。

手法というか、比較的安い時にビットコインを買っておき、ちょっとやそっとで売らずに、ひたすら持ち続けるだけです。

今のところビットコインは、時折噴いたり(急騰)、急落したりしつつも、じわじわと値段が上がっています。

グラフの左下の2017年12月に200万を超えて、アップダウンを繰り返しつつも、グラフの右上にあるように2021年11月には780万円を記録しています。

ビットコインの過去4年の値動き(月足)

もちろん、先のことは分かりませんし、投資ファンドの人であればもっと多くの人に買ってもらって値段を上げたいというインセンティブもあり、少しは割り引いて聞く必要もありますが、一部の専門家の意見では1千万円を超えるだろうという説があったり、人によっては3千万円にいくのではないか、という人もいます。

まずはこのグラフの安いところを狙って、少しずつ買い貯めていくと良いかと思います。

実際に2021年の1年間の動きを見ても、安い時は320万円近くまで下がり、上がる時は780万円をマークしており、倍以上の激しい値動きが見られます。

前述のやり方の強みや特長を組み合わせて、3)の暴落デイ・キャッチのやり方で最初のポジションを経て、それから2)のうねり取りのやり方で、戻ってきたところで利確し、その利益分も再投資して、また次の暴落で買って、少しずつ手持ちのポジションの平均値を下げていく、というやり方も考えられます。

また1)の中長期の積み立てを投資信託やドル円でなく、ビットコインでやる、というアプローチも考えられます。

ただし、NISAやiDeCoでは節税できること、また株やFXなどのデリバティブでも、分離課税でメインの収入とは関係なく20%ちょっとの税金で済むなど
税制面で有利になりますが、仮想通貨は今のところ優遇措置はなく、所得税と合算で税額が増えてしまいます。

たとえば、年収500万円の人が500万円の利益を得ると、株やFX(デリバティブ)では、500万円の所得税と、500万円 x 20%ちょっとの税金を払うことになりますが、仮想通貨の場合は給与所得500万+雑所得500万円でその年の年収は1,000万円というになるので、所得税はもちろん、住民税や社会保険料も跳ね上がります。

筆者の友人にも、仮想通貨をそれなりに持っている人もいますが、上記の処理を懸念して、利確しないで持っている、という方もいます。利益が3千万円とかを超えると、税額が55%とかに跳ね上がり、またその翌年の社会保険や税金も上がり、かなり人生設計に影響が出るからです。

無理に量を増やさず、ビットコインであれば0.05 〜0.3くらいの金額でポジションを建て、少量ずつ利確したり、その辺を注意しながら保有するのが良いかと思います。

5) リピート型自動売買

レベル: 初級〜中級
メリット: コンスタントに利益が得られる、自動売買なので自分で操作しなくてよい
デメリット: かなりの期間、少なくない含み損に耐える必要がある、自分で設定する場合はIT知識が必須

以前に、以下のnoteでこの手法の考え方やプログラムの書き方、運用方法を説明していますが、やはりリピート型の自動売買もセッティングと資金管理さえ間違えなければ、有効な投資技法だと思っています。

こちらは、プログラムの作り方や運用の方法を説明していますので、以前の記事を読んでいただければと思います。

【MT4】今更、MT4でリピート売買プログラムを書く(1/4、基礎編)

レバレッジを掛けず、資金量に対して無理のないサイズで運用すれば、長期間に渡って日々の利益が取れる、着実な方法ではあります。

上のnoteではプログラムを作ってレンタルサーバで走らせていますが、実際は「トラリピ」とか「ループイフダン」といった、「リピートXX」とか「ループXX」といったサービスを提供しているFX業者に申し込み、そこでFXを対象にリピートすれば、特に大きな手間や設備がなくても実行可能な方法です。

ただし、こちらも資金管理やレバレッジ率を適切にやらないと、暴落時に損切りに掛かって資金を減らすこともあるので、上の記事の初回にあるコツや注意点はぜひご一読ください。

その他の技法


これ以外にも、似たような銘柄の動きのズレを捉えるサヤ取り、たとえば似たような動きの豪ドルとNZドルを片方を買いで、もう片方を売りで持ち、その差額の増減から利益を得ます。

何が楽しいのか? と思われるかもしれませんが、価格差は増減するので、差が5円くらいに開いた時に高い方の豪ドルを1万ドル分売り、安い方のNZドルを同量の買いで持ちます。

そのうち価格差が縮まってきて、たとえば1円くらいになると、5円-1円=4円の1万ドル分で、4万円の利益が出ます。

両建てなので、劇的に利益は出ませんが、暴落の時も買いポジションは大赤字でも、売りポジションは大黒字になるので、大幅な含み損を抱えて眠れない夜を過ごす、ということはなくなります。

もっとも、こちらも調子に乗ってレバレッジを掛けすぎると、一瞬の大きな下げとかでロスカットに掛かってしまうので、多くても5倍、できれば3倍程度でやることをお勧めします。

また、その応用でFXの業者ごとのスワップポイント(毎日の利息のようなもの)の差で両建てするスワップポイント・サヤ取りという手法もあります。

多くの場合、買いでスワップポイントが付き、売りで取られるので、スワップの高い業者で買い、スワップの安い業者で売りを建てます。

そうすると、片方の業者で1日80円もらい、もう片方で1日60円払い、差し引き20円が利益になります。同じ通貨で両建てしているので、最初にスプレッドで少し損しますが、ノーリスクで利益が得られる、という方法です。

また仮想通貨の業者間の提示価格の僅かな差を捉える業者間サヤ取り(いわゆるアービトレージ)などありますが、手間の割に利益は少なく、出金時の手数料の方が高い場合も多いので、ある程度、資金のある方向きの方法です。

まとめ

どのような考え方やモデルで利益を得られるか、少しはイメージを掴んでいただけたでしょうか。

このような方法で、地合や社会情勢、運にもよりますが、私自身が投下資金に対して毎年10〜40%程度の利益を上げている方法です。

何だ、そんなものか、自分は早く億り人になりたいのにダメじゃん、と思われる方もいるかもしれません。

しかし予期せぬ事象=リスクだらけのグローバルマネーの世界で、利益をあげることは容易なことではありません。まして利益を上げ続けることはもっと難易度が上がります。

まずは爆死しないこと、資金を失って退場することにならないよう、「負けない」ことを最優先で投資に取り組むべきだと考えています。

上記の方法はあくまで一例で、私自身のスタイルに過ぎません。

また説明はあくまで概要レベルであり、それぞれの方法については、時には苦しい経験をしながら得てきた、自分だけのコツや技法、そして相場観や感覚があります。

これを読んでいる方々が、上のようなやり方を参考に、それぞれのスタイルや技法を身に付けて、コンスタントに市場から利益を得て、そしてより自由度の高い人生を送ることを心から願っています。

それぞれの技法の詳細なやり方については、もし興味のある方がいるようであれば、いずれまた書いてみたいと思います。

※言うまでもありませんが、投資はご自身の判断と責任で行ってください。本稿は参考情報として提供するものであり、特定の銘柄や市場全般の今後の動きを予測するものではありません。この情報を元に読者の方が行ったいかなる結果についても、筆者は責任は負えません。

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