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「懺悔」/テンギズ・アブラゼ

今日初めてジョージア映画「懺悔」を観てきました


そもそもジョージアという国の存在自体無知でした。グルジアと言われれば名前自体は知っていたけれどその場所についても知らなかった
ここですね↓

「ジョージア(グルジア)に、映画が誕生して今年で110年。紀元前から、ヨーロッパと東方諸国を結ぶ重要な地点として位置していたために他国から侵略を受け、激動の歴史に翻弄されながらも、守り続けた伝統や風習、風物といった民族文化を積極的に取り入れ、ギオルギ・シェンゲラヤ監督「放浪の画家ピロスマニ」(87)、オタール・イオセリアーニ「落葉」(66)といった世界に誇る数々の名作を生み出してきた。同じく、映画を通して社会の不条理を告発し続けたアブラゼ監督も、20世紀を代表する映画監督としてロシアのタルコフスキーやギリシャのアンゲロプロス監督らと並び、後世の映画人に影響を与えてきた。」

地理的に周辺のロシア、ヨーロッパ、中東の影響を受けながらもそれに抵抗し、引き裂かれながら独自の映画文化が育まれてきたんだと思います。そんな特異な土地なのでしょう。
アジアでもこういう複雑な地理に位置する国には独特な映画が生まれてくる傾向があるなと思っています。

そして映画自体の話、本当に稚拙な感想になりますが…

ある独裁者がもたらした血の闘争とその圧政の被害者・市井のある家族の悲劇

この独裁者を演じたアフタンディル・マハラゼが実にユーモラス。オペラも歌えるし、チャーミングでなんとも憎めないキャラクター。しかも回想明けには息子の役まで演じるという一人二役までこなす。この息子の役の後半の狂っていく様の芝居がまたすごい!人間が多面体で不条理な存在であることを体現し、余すところなく見せつけられた感じ。というかほぼほぼこの人の魅力で映画が牽引されていましたね。

とはいえドラマは時代を回想する形で大きく悲劇的に展開されて行きます。
詳しくは是非映画を観て感じていただきたいので伏せますが…

戦後73年アメリカ民主主義の恩恵を受けてきたここ日本にいるとなかなか実感しづらいことかもしれないけれど、世界中にばら撒かれたこうした悲劇の断片は今も間違いなく存在していて、そもそも潜在的に散乱しているものかと感じずにはいられない
ある意味、逃げることのできない‘呪い’のようなメッセージを受け取りました…

今の自分の状況に置き換えることは難しいけれど、こういう映画を見ることで少しでも世界を知ることは重要だなと思ってます

本当にこういう映画を観た後言葉にできない勉強不足な自分を恥じます
どこかで聞いたような言葉をツギハギしただけの文章のどこに僕なりの何かが残せるかわからずに書いています、というのが本音です

でも今このタイミングでこの映画を観れた、観たという時間を大切にするためにここに残しておきます

いつか時間を置いて見返したとき、その時の自分と比較する為にも。

久しぶりに重みのある映画に出会いました。

河合龍之介


【解説】
物語の舞台はソビエト連邦時代のスターリンによる恐怖政治を思わせる、架空の国の独裁政権時代。
そこに生きたある家族の悲劇と、生き残ったものたちによる告発と懺悔を描く一大叙事詩。
この映画の監督はグルジア映画界の巨匠、テンギズ・アブラゼ。
独裁政権の真の姿を鋭く見つめながらも、静かな語り口で怒りを表明している。
ソビエト連邦崩壊前の1980年代に公開されて話題になり、ペレストロイカの象徴となった。
1987年のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞。
極めて社会性の高いテーマを扱いながらも、 幻想的な映像で芸術性の高い作品に仕上がっている点が高く評価された。

【物語】
偉人として誰からも尊敬されていた市長(アフタンディル・マハラゼ)が死んだ。
人々がその死を悼む中、まるで故人を冒涜するかのごとく毎夜、その墓が暴かれる。
誰が?なぜ?
遂に逮捕された犯人が法廷で口を開く。
それは、狂気の独裁者に翻弄されたとある家族の物語であった。

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河合龍之介
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