留年と休学。熟成の一年
今年の四月は一味違う。
最初で最後であろう(ありたい)休学、留年の一年。
大学へ再発行された学生証を取りに行くと、職員が「留年」と油性のマジックペンで明瞭に書かれた小箱から僕の名前を探し出す。横には、履修登録に頭を抱え手助けを求めに来たであろう新一年生の姿が。
彼女らにはこれからどんな未来が待っているのだろう。
と考えるはずもなく、僕は受け取りを終えて、そそくさと学務係をあとにした。
同級生が既に働き始めていると思うと流石の私でも焦燥感を覚える。
「俺は俺の人生だ」と洗脳させるかの如く自らに言い聞かせるが、一人称で「俺」を使用している時点で僕に勝ち目はない。虚勢の二文字。
まぁ良い。私はこの20代を刹那的に過ごすと決めたのだ。「明日は明日の風が吹く」という決まり文句、これを額面通り受け止めて、僕は突き進みたい。
それに留年と休学が同時に懐に入る機会、そうあることではない。この際楽しむしかないのだ。今ある立ち位置を最大限に利用してやるほかないのだ。
僕の平凡で波風たたない、日常を記す。
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