そこに人がいたということ
立川の昭和記念公園で行われる蚤の市
私の毎年の楽しみだ。
11月の蚤の市へ訪れると
「あ、秋が来たな」
そんな気持ちになるのです。
「傷は、そこに人が生きた証ですから」
アンティークに触れると
いつか目にしたこの一節を思い出す。
私よりもずっとずっと昔に産まれて
私が知らない景色の中で日々を過ごして
今、ここにいる。
記載されている年代を見て、
この子は一体どんな日々を過ごしていたんだろう
引き出しの上段だけが
緩くなっているということは
きっと、生活の中でよく使うものを
取りやすい位置に入れていたのかな?
これだけ長い年月を過ごしているにも関わらず
傷があまりなく、綺麗な状態
けれど木目の色が濃くなって風合いを帯びている
とても几帳面な方が使用されていたのかな?
蚤の市という名の通り
しばらく使用をされていなかったのかな?
というような物まで、
目にしたアンティークから
過ごした日々を想像して、見て回ると
不思議なことに
「懐かしい」
私にはなぜかそう思える。
秋は寂しさではなく懐かしさを感じさせてくれる
そんな物事に溢れているんだ
物も人も、傷を付かずに日々を過ごすことを
避けることはできないのだろうけど
傷はそこに人が生きた証
そんな言葉を知ることができた私は幸せだ
だって、それだけで
どんな物事に対しても、
暖かさを、知れるような気がするから。