パンドラ江別、2020年の総括。盛り上がった理由。もっとやりたかったこと。
年の瀬ですね。
鈴木ジャックと申します。
起業家みたいなことやったり企業や個人のビジネスのコンサル(うさん臭くないやつ)なんかをやっています。
よろしくお願いします。
もりもり盛り上がるパンドラ江別
2020年は某ウイルスによりいろいろ大変な状況ですが、そんな中でもパンドラ江別は売上を伸ばしてきました。
ついには北海道新聞の取材を受けたり。
地元の新聞「まんまる新聞」で取り上げていただいた際は、マネジメント担当という肩書きの裏方でありながら私のコメントまで記事に掲載していただいたりも。
これは結構すごいことだと思っています。
もちろん間借りさせていただいている「SUNABACO EBETSU」にもたくさんお世話になっていたりしますし、江別・大麻という地で出会う様々な人の手助けがあってのことで、自分たちの力じゃない部分もたくさんあります。
そこを差し引いても「自分がいなかったら絶対にパンドラ江別は成り立っていない」と言えるくらいのサポートをしてきました。そしてしっかりと結果に繋げてきたという自信があります。
なので今日は胸を張ってこのnoteを公開させていただこうと思っています。
昨今の未曾有のウイルス災害による情勢は多くの飲食店にとって逆風以外の何物でもないです。
このタイミングだからこそ潰れてしまうお店も非常に多く、街を歩いていても「あれ、ついこの間までここにはあの店が入っていたのに。。。」という光景に遭遇することはもはや当たり前の日常になってしまいました。
とは言っても「自分の店がどうしようもなくつぶれる」というのは店をやるものにとって自分の人生の一部が切り捨てられてしまったかのような辛いものでもあります。(経験済)
できることなら存続して盛り上げていきたいですよね。
なので、今回2020年の最後にパンドラ江別がこの情勢において盛り上がった理由と「もっとこんなことがやりたかった!」ということを書きます。
これからの新しい時代、新しい生活様式の中で、変わっていくものと変わらないものがあります。
しかしそれがなかなか読めず、今後どう立ち回っていけばいいか迷いが生じている人もいることでしょう。
このnoteは私がパンドラ麻生の失敗を見つめなおし、パンドラ江別の成功を「麻生での失敗の延長線上にあるもの」として考え、自らの手でアップデートを施していく中で訪れた「未曾有の危機」を乗り切るために何を意識して行動したのか?いかにしてパンドラ江別を盛り上げたのか?その詳細を惜しみなく公開するものであります。
手に取ったあなたの参考になるかもしれんし、ならないかもしれん。
ちなみに、麻生店を潰してしまった鈴木がなぜ江別店にジョインしてるのか?という話を軽くしますが、もうこれは「なんとなく手伝って面倒見てたらいつの間にか。」という感じです。
拾った捨て猫を「元気になるまで」と世話してたらいつの間にか情が移って気づいたら飼ってしまっていた感じに似ているかもしれませんね。
何より「もったいない」と思ってしまいました。
私はパンドラ江別のオープン当時、江別店がキッチンを間借りさせていただいているプログラミングスクール「SUNABACO EBETSU」に通う1期生でもありました。
そこで初めて飲食店を仕掛け、手探りで漕ぎ出そうとしている店長のあべっちさん。
どうやら迷いや不安がとても大きいように感じました。
「どうせ定期的に顔を出すのに、せっかくパンドラ麻生で失敗した経験があるのに、黙って見過ごすのもなんだかなぁ。」
「必要とされるのであれば。。。顔を出すタイミングでアドバイスをするくらい。。。その程度なら手を差し伸べない理由もない。」
ということで「よかったら面倒見ますよ」と名乗り出たのが始まりでした。
でも私はコンサルじみたものは基本的にインターネットを活用した物販ビジネスなどでしかやったことがありません。
あとは「従業員が腐って経営が傾いた介護施設」の人事のコンサルで組織を再構築して売り上げアップさせたことがあるくらいか。。。(これはドヤァ)
ともあれ飲食店のコンサルじみたことは一度もしたことがありませんので、ネット物販みたいに「言う通りにやってもらえば素人でもほぼ確実に結果が出ます」と言い切れるものではなかったのです。
なんならパンドラ麻生店は潰れましたしねw
だけど、パンドラ江別は盛り上がってしまいました。
さて前置きが長くなってしまいましたがここからが本題です。
盛り上がった理由1: 間借りとは「コラボ」であり「タイアップ」しなければいけない。と考えた
パンドラ江別はプログラミングスクール・コワーキングスペースである「SUNABACO」さんに間借りさせてもらってます。
「間借り」というと自分で物件を借りるよりも家賃が安くなるとか、お客さんが来る導線がすでにできているとか、どうしても「間借りさせてもらう側としてのメリット」に目が行きがちなんじゃないでしょうか。
そりゃ誰だってできるだけ有利な状況で店を始めたい。
リスクはできるだけ低い方がいい。
これは「生存したいという本能」があれば当たり前に考えることなんですよね。
しかし「間借り」とは「コラボ」です。
コラボとは一方的に与えてもらうことではなく「協力する」ということ。相互に作用するものでなければいけません。
そして「間借り」とは「タイアップ」です。
タイアップとは「一緒に向上する」ということ。自分だけが得をして盛り上がるのはタイアップではない。
「間借りさせてもらう自分たちが家主に何を返せるか?与えてもらうだけではなく、いかに与える側に回れるか?」ということが大切です。
確かにSUNABACOさんはしょぼい起業のカレー屋であるパンドラよりもずっとお金を持っていて大きく強い企業です。
ここで勘違いしてしまいがちなのは「お金持ってるんだから、モノを持ってるんだから、儲かってるんだから世話になってもいいだろう」ということ。
パンドラ麻生を沈めた「他責思考」を肥大させるエサとなる考え方です。
間借りさせてもらう側として絶対に持ってはいけないのです。
何故なら「他責思考」に陥ると誰も応援してくれなくなるからです。
あべっちさんには
「SUNABACOさんの集客による売り上げはありがたく頂戴しつつもそこにあぐらをかくな。決してそれだけに頼るな」
「パンドラ独自の集客をしてSUNABACOさんを盛り上げる手助けができるくらいにならないといけない」
「与えられた環境や設備に文句を言うな。足りないと思ったら可能な限り自分たちで何とかするべし」
などと口を酸っぱくして言い聞かせてきました。
もしパンドラ江別が「他責思考」をもって行動していたとしたらそれは即座に伝わっていただろうし、後述する江別店独自の施策「おごチケ」や「ファミチケ」「学チケ」についてもSUNABACOさんからはたくさん支援していただいているけど、そういう盛り上がりもなかったかもしれない。
いくらパンドラとSUNABACOさんの関係といえども煙たがられて見限られていたかもしれないわけです。
盛り上がった理由2: やるべきことを、やれるときに、やれるだけやった
パンドラ江別ではコンテンツを絶えずアップデートすることを心がけています。
常に新しいメニューを模索し、いいものがあれば即座にテストし、できるだけ早く準備を完了させて、最適なタイミングで滞りなくリリースできるようにする。
江別店独自の子ども食堂的な取り組みである「おごチケ」「ファミチケ」「学チケ」などの各種チケット施策もSUNABACOさんや不謹慎マンさんのアドバイスを得ながら突き進めてきました。
こういったアップデート、追加施策を途切れることなく実行するのって実は結構大変なんですけど、売れてるお店では当たり前にやってたりするんですよね。
そして売れるときにしっかりと調子に乗って、手を緩めず売り上げを最大化する。
例えばトッピングの「焦がしチーズ」は私がパンドラ麻生から持ち込んだ、今となってはパンドラ江別限定の超人気トッピングですが、テイクアウトに対応させるにはちょっと一工夫必要でした。
ルーに乗せたナチュラルチーズをバーナーで炙るため、当然プラスチックのテイクアウト容器の上で炙れば容器が溶けるわけですよね。だから工夫って言ってもスキレットで焦がしてヘラですくってルーの上に乗せるっていうたったそれだけのことなんですけど。
こんなの出来てしまえば超簡単なことであり、ごく当たり前の何の変哲もない話なんですが、あべっちさんはこれを軽ーく諦めようとしたわけです。
別にこんなこと諦めたからってその日に店が潰れるわけじゃないんですよ。
でも小さな「諦め」が本人も気づかないうちに「負け」という事実となって積み重っていくことで「負け癖」を作ります。
少々体育会系っぽくて暑苦しい話かもしれませんが「どうしたらできるか?」を最後の最後まで死ぬ気で考え抜くことはピンチの時に活路を見出す能力に直結します。
特に昨今の情勢においてはこれがかなり功を奏したといえます。
「外的要因で人が来なくなってきた。」という状況を目の前にして、
「こんな世の中だから仕方ない」と諦めるのか?
「こんな世の中でもカレーを売るにはどうしたらいいだろう」と頭を捻るのか?
それだけの違いで最終的にたどり着く先は全く違ったものになります。
盛り上がった理由3: 店長をひとりにしなかった
店をやっている以上、売れる日もあれば売れない日もあったりします。
ひとりカウンターの中で売れない現実と悶々と向き合うというのは精神的な負荷がすごいです。
そういうのはみんな自分で頭を使って足を使って泥臭く乗り切るものだと思いますが。。。
しかしあべっちさんはいろいろな事情があって、メンタル的にいろいろ抱えています。
「パンドラやりたい!」と名乗りをあげたのはいいものの、俺が書いたパンドラ麻生の閉店noteを読んで相当ビビったそうで、幸いなことに店を始める前に不謹慎マンさんにいろいろカミングアウトしてくれました。
なんにしろ事前にメンタルについてカミングアウトしてくれたのは本当にいいムーブでした。
基本的に不謹慎マングループのお店は店長格の人間に経営判断の大部分が任されていますが、個人的な事情も知っていられたらサポートの仕方はやはり変わってきます。
もちろん信頼って双方向のものだと思うので、麻生店の店長から打ち明けてもらえるだけの信頼を得られなかったことは自分にも責任があると重々承知してます。
ただ言えるなら言ってくれた方がありがたいし、わかっていれば周りでカバーすることもできて、よりうまくいくようにサポートできるという話なんですよね。
江別店ではここを外さなかった。麻生店で救いきれなかったことを克服したと思っています。
また、江別店には「チームパンドラ江別」とも呼べるメンバーが入れ替わり立ち替わりサポートしてきました。
みーさんのイラレフォトショを駆使した掲示物や広告デザインのサポート、Chunさんの電子決済やSNSアカウントなどの技術面のサポートが輝いています。その他、大勢のバイトメンバーにめちゃくちゃ助けられてきました。
これによりキャパの少ないあべっちさんの支援体制を整えることに成功しました。
それでもまだあべっちさんは悶々と一人で考え込んで一歩も前に進まなくなることが多々あるのですが、さすがにあべっちさん以外の脳みそがいくつもあるわけなので、ちょっとくらいあべっちさんのメンタルが破滅しても店としては回ってきたわけです。
盛り上がった理由4: 地域に溶け込むことができた
パンドラ江別は開店してから早い段階で「おごチケ」という施策を始めました。
モチーフになったのは奈良県の「げんきカレー」がやっているチケットシステムによる子ども食堂で、大人のお客さんやフォロワーの皆さんから出資を募って地域の子どもたちにカレーを無償で提供するというもの。
確か最初にアイデアを出してくれたのは不謹慎マンさんでした。
実際にパンドラ江別用に設計して、いざ始めてみるとSUNABACOさんはもちろんのこと地域の多くの皆さんが、そして全国の大人の皆さんが賛同してくださったので「おごチケ」は大きく大きく育っていきました。
ついにはおごチケ対象者の家族も食べられる「ファミチケ」や、バイトが無くなって困っている大学生を支援する「学チケ」なんていうのもやりました。
これらのチケット施策は「出資してもらって嬉しいな。」で済ませるようなものではないですし、ただカレーを無料でばらまくキャンペーンでもないです。
カレー屋の営業を通じて地域への貢献をし、地域の人たちとの交流をし、将来を担う子どもたちの教育の一助となるためのものです。
また、他にも「江別市都市と農村の交流センター えみくる」さんなど、地域の団体の皆さんとも交流させていただきました。
カレー屋は地域に溶け込むことができるのでどうせやるなら積極的に街に飛び出して多くの人と交流していきたいところですよね。
あべっちさんが店長に就任した時、一緒に商店街の店を一つ一つ訪ねて挨拶をして回るということを一番最初にやったんですが、最終的にあべっちさんは商店街のみんなと仲良くなれたようで本当によかったなと思っています。
2020年もっとやりたかったのは「ビラ配り」
次は「もっとこれができたらよかったな」という今後の課題的なものですね。
これはもう「ビラ配り」ですね。
麻生店の店長が集客に困っていた時に「朝、駅前でビラ配りしようよ」って勧めたことがあったんだけど、「目の前で捨てられたら悲しいじゃないですか」という理由で却下されていました。
江別店ではやっていきたかったんですが、その機会を作ることはできなかったですね。
私も二十歳くらいの頃に、某シンガーソングライターのローディーの仕事の一環としてやっていたことがあるんですが、ビラ配りって奥が深いと思います。
ただ自分の主張を乗せてビラを配るだけだと受け取る側にとっては「いらないゴミ」にすらなり得ると思うんですが、思わず受け取りたくなるようなビラ配りが実現できたら面白くないですか?
ビラ配りを通じてもっと色々なことができたはずです。
以上、もっとやりたかった心残りなことの紹介でした。
最後に
最後までこのnoteを読んでいただきありがとうございます。
突然ですが私、鈴木ジャックは2020年12月31日をもってパンドラ江別のマネージャーを退任します。
本当にありがとうございました。
今後もパンドラ江別をよろしくお願いします。