音楽のデザインをちゃんと見る:椎名林檎トリビュート「アダムとイヴの林檎」
第2回目の「音楽のデザインをちゃんと見る」のコーナー。見逃されがちなCDのアートワークなどをじっくり見てみようという試み。
前回はサカナクション「魚図鑑」。今回は椎名林檎トリビュートアルバム「アダムとイヴの林檎」。
椎名林檎トリビュート「アダムとイヴの林檎」
椎名林檎さんの20周年を記念して2018年5月23日に発売された。「世代を越える・ジャンルを越える・国境を越える・関係を越える」という4つのテーマで製作されたアルバム。
参加アーティストはtheウラシマ’S(亀田誠治プロデュース、Vo.草野マサムネ from SPITZ、Dr.鈴木英哉 from Mr.Children、Gt.喜多建介 from ASIAN KUNG-FU GENERATION、Ba.是永亮祐 from 雨のパレード)、宇多田ヒカル&小袋成彬、レキシ、MIKA、藤原さくら、田島貴男(ORIGINAL LOVE)、木村カエラ、三浦大知、RHYMESTER、AI、井上陽水、私立恵比寿中学、LiSA、松たか子という椎名林檎でしかなし得ない布陣。
アダムとイヴの林檎というタイトルの意味
タイトルはアダムとイヴ(参加アーティスト)達に歌われる林檎(の歌)という意味と、禁断の果実という2つの意味があるんじゃないかと思う。
歌詞カードに小説を忍ばせるという仕掛け
このアルバム、初回限定盤とかはないのだけど歌詞カードの中に誉田哲也さんという作家さんの短編小説が入っている。しかもタイトルが「歌舞伎町の女王−再開−」というもの。気になりすぎる。CDが売れなくなったこの時代でもCDを買いたくなるうまい仕掛け。
CDジャケット表のデザイン
ジャケットに描かれたアダムとイヴの林檎のイラストは我喜屋位瑳務さん(@gakism)さん作。デザインは椎名林檎さんの初期作品から担当しているCDジャケットデザイナー・木村豊さん。
ぱっと見3DCGかと思ったけど2次元のイラストみたい。直線と曲線が使って表現された柔らかいような幾何学的なような不思議な世界観。
「Adam」「Eve」「pomme」と(たぶん)あえて説明を付けた吹き出しと、(たぶん)あえて吹き出しの真ん中からずらした文字にはSNSなどでこのジャケットを見た人にひっかかりを与える力があるんじゃないかと思う。
林檎が齧った跡が付いているのにも「誰が齧ったんだろう?」とストーリーを想像させる。
CDジャケット裏のデザイン
裏ジャケットで表の林檎は蛇に喰われる。アダムとイヴはどこに行ったんだろう。この林檎を食べた蛇はどうなってしまうんだろう。想像してしまう。
曲名とアーティストのクレジットは中央揃え、一番下に配置された誉田哲也「歌舞伎町の女王−再開−」が目立つ。
歌詞カードのデザイン
ジャケットの中の歌詞カードは本のページのような素材。紙の色はオレンジ色。
シンメトリーや文字数にまでこだわる椎名林檎の歌詞がページいっぱい縦横無尽に、意味ありげに配置されている。
小説部分は余白少なめページいっぱいに印字されている。
歌詞カード裏・CDラベルのデザイン
歌詞カードの裏側は真っ白な背景に椎名林檎20周年のロゴ。ここをジャケ表の背景色と同じ色ではなく白にしたのはロゴをしっかり見せたかったからだと思う。CD本体のラベルは20周年の林檎マークを大きくプリントしたもの。20周年感満載。
CD置くとこはジャケ表の背景色と同じ色。
まとめ
というわけで今回は長年ファンを続けている椎名林檎さんのトリビュートアルバムのデザインをちゃんと見た。
わざわざこんな細かく見て文字に書き起こす人もいないと思うので完全に自己満足なテキストになってしまったけど、いいんです好きだから。いいんです。
スキとかフォローとかしてもらえたら僕は幸せです。