最後の母親孝行で俺は涙が止まらなかった after the story

俺は3、40分程、建物から出て涙をこぼし、IQOS ILUMAの「トロピカル・メンソール」を吸った。

その後は、また整理収納スペシャリストさんと片づけを再開した。

そうしていたら、もうこれは笑っちゃう程、安物感満載の新品フォトフレームを母は後生大事に持っていたことに俺は気付いたんだ。

それは、このサービス付き高齢者住宅に併設されているデイサービスの「クリスマス・パーティー」だか「お誕生日会」で、あんまり親しくもない御老人から頂いたものだ。

俺はそのダサくて安物感満載のフォトフレームを見て、自分だったら躊躇なく不燃ゴミとしてゴミ袋に叩き込むところだったけど、その3年以上前に死んだ親父の「最後の運転免許証」「運転経歴証明書」を縦に2枚入れたんだ。

「これ、ここに飾っとくね」

とだけ俺は認知症がちょっと入っちまってる母に言って、部屋の真ん中にある家具の上に置いた。

マジ、ダイソーとかセリアとかで売られているようなフォトフレームで安物なんだけど、母は人からもらった物を自分で捨てることができないから、俺はそうしたんだよ。

そしたらよぉー、今は老婆でしかない俺のママの目が、なんか水分で潤んでいたんだ……。

それ見て、俺、もう一度、IQOSを吸いに外に出た。

なんか、俺、もう参っちまったよ。

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