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2024.7 Research trip on herbs🌱久米島

旧暦6月25日行われる6月ウマチーと久米島紬の取材のため、7月29日から3日間、久米島に滞在しました。

6月ウマチー は収穫の喜びと感謝を表す稲大祭(いねたいさい)であり、集落ごとに行われいました。

兼城地域のウマチーの記録が無いということで、撮影の依頼を受けました。

ヌルドゥンチ
イービヌメー

兼城地域の方々と共に、500年以上続く新里家ノロの祭祀を拝見させていただきました。

久米島のノロを統率する高級巫女(君南風)が行う祭祀は、具志川城跡と宇江城跡で交代で行われています。偶数年の今年は宇江城跡で行われました。
かつて沖縄が琉球王国だったころ、国内各地域には王府より任命されたノロと呼ばれる女性神職が置かれ、各地域の祭祀をつかさどっていました。久米島の君南風は、王族に事あるごと首里城(琉球王の居城)へ登城することが許された数少ない上級ノロの1人でした。


5月ウマチーはシンプルな白衣装
6月ウマチーはカラフルな衣装でご神事をする
ヤブランのミチャブイ

祭祀の際に頭につける「ミチャブイ」は、旧暦6月21日に奥武島で採取したヤブランが使用されています。以前は宇根地区のノロが作成していました。現在は、君南風地区の婦人会の方が用意をされています。
「ミチャブイを被ると、緊張感が生まれる」と、君南風のノロはおっしゃいました。猛暑による疲労の心配もあり、祭祀の内容は省略され、短時間で行われました。(撮影禁止)

その他の地区のノロのミチャブイは当日に採取したホウビカンジュが使用されていました。
本年はその他の地域のノロの参加はありませんでした。

ホウビカンジュのミチャブイ

祭祀で使用される勾玉は久米島博物館で展示され、神事の際に、運び出されています。勾玉を運ぶのは女性の役割とされていました。

16世期に拝領したとされる勾玉は、役割を果たし続ける生きている勾玉とし、展示されています。
ウマチー の開始年度は未定で、時代により内容は変化しています。
戦後に始まった神社神道の影響による祝詞の奉納は、近年、話し合いの上、なくなりました。

現在、ノロの高齢化により各地の祀りの存続が危ぶまれています。責任重大な役割を継いで欲しいとは簡単に言えない、という心遣いに対しては尊重するしかないと思います。

ユイマール館(久米島紬の里)

ユイマール館


重要文化財に指定された伝統工芸品を、染色から製織まで一貫生産し、自給自足を中心とした暮らしともに生産を続けています。

島の植物を使用した染色


泥染用の土

生産者がまとまって協同組合事業を興した点が、生産の順調な伸びにつながったとお話しされた理事長の松元様。


高価な久米島紬の帯

全国から織子が久米島に移住するなど久米島紬のさらなる活性化を目指した諸事業が期待されています。

【久米島調査日】2024年7月29日〜31日
【調査の目的】久米島の6月ウマチーに使用される植物
       現代に伝承される久米島紬
【調査者】須田ひとみ 藤野菜々恵
【場所】久米島 
【写真】須田郡司


支援 沖縄県、公益財団法人 沖縄県文化振興会
令和6年度沖縄文化芸術の創造発信支援事業  
「琉球の薬草を楽しむ暮らし」推進事業

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