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Talking with Experts 植物民俗研究家 前田知里氏

琉球薬草探究会では、薬草を日々の暮らしの中でより身近に感じてもらうため、各分野の専門家の方々に植物に関するエピソードをお聞きしていきます。

第6回目は、奈良県在住で植物をこよなく愛する植物民俗研究家の前田知里さん。

オランダの大学院でアグロエコロジーを専攻し、ヒマラヤで農薬、化学肥料を使わない伝統農法の調査されていました。アジアの山村集落を訪ね歩いているうちに、保存食や料理、伝統医療へと関心が広がりました。

山村では百姓から暮らしを学び、衣食住がすべて植物に支えられていることや、ローカルヒーラーと呼ばれる呪術師や産婆さんなど、医療に頼れない代わりに、村にいる人が担い手となりそれぞれの役割を勤めていることに感銘を受けます。

同じ植物でも国によってそれぞれ使い方が変わります。
好きな植物とのお付き合いとしては、薬草サウナがおすすめの前田さん。
東南アジアの薬草を使用したサウナは香りのリラックス効果や、産後や病後のエアのためにレメディとして入る方も多数おられるようです。
レモングラスやホーリーバジル、コブミカンなどの香りが広がる薬草サウナを体験してみたいです。

2020年のコロナがきっかけで、奈良県天理市にて、茅葺古民家をコツコツとセルフリノベし、植物民族と食の実践スペースとして、「里山文庫」をオープンされます。

推古天皇が「薬狩り」を行ったという漢方の聖地・奈良を拠点に発信する立場へ。

薬草や植物の実用性や癒しを学ぶ場を提供し、開催するワークショップには全国からの参加者が集います。
薬草の文化を新しい感覚で伝えてゆくことを大事にされている前田さん。
植物は薬にもなりますが、日常の中で、お茶、お香、入浴など自分自身でアレンジし、固定概念をなくすことで植物を楽しむ暮らしを提案されています。
里山文庫では火鍋とお香のワークショップが人気のようです。

里山文庫を運営する中で、ご近所の方から西山塚古墳の麓にある古民家の活用について相談されます。
どのように運営してゆくのが良いのか?と意見を募ったところ民泊という声が多かったことが始まりで、参加型セルフリノベーションで宿「cofunia」として再生されます。

「五感・五行」をコンセプトにした客室や宿泊プログラムで、感性を刺激する旅を提供されています。

人が関わることで景観が維持されてきた古来の里山の風景のように、現代における新しい共生の形を探求し、地域の暮らしに根付いた共存を願いながら活動を続けておられます。

支援 沖縄県、公益財団法人 沖縄県文化振興会
令和6年度沖縄文化芸術の創造発信支援事業  
琉球の薬草を楽しむ暮らし」推進事業