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「中高年ひきこもり」は他人事ではない!なりやすい人の特徴


会社経営の傍ら、心理カウンセリング・コンサルタント講演・コンプライアンスに基づく講義なども行っています、りゅうこころです。ryukokoro

親に反抗することもないまま、社会の規範に逆らうこともない従順な「いい子」に育って、この「いい子」であること自体が、ひきこもりのリスク要因なのです。なぜなら自分の心を押し殺して、親の意向に従ってばかりいる「いい子」を続けているうちに、「自分が何をしたいのか・何が好きで・何が嫌いなのか」つまり「自分の欲求」がわからなくなるからです。そしてわからなくなった結果、自分の世界に引き込もり社会との接触を断つようになる。

「従来のタイプの中高年ひきこもり」は、思春期から20代前半における挫折が長期化しもので、本人の資質や不適切な養育経験、いじめなどによるところが比較的大きいひきこもりでした。人づきあいが苦手で、コミュニケーション能力が低く、内向的で自己主張があまり強くない方に多く見られ、同調圧力のある学校や会社での生活になじめず、人間関係を築くこともむずかしいために孤立してしまうことが多いと考えられます。孤独が招くさびしい日々や息苦しい日々を送るうちにそれに耐えられずに不登校になり、あるいは会社へ行けなくなって、ひきこもってしまうケースが多々見られました。自我の確立がなされず、自分というものが曖昧なわけです。このような状態では自己主張はできません。「嫌です」というひとことも言えず、相手の申し出を断ることもできません。学校では、自己主張しない子・なんでも我慢する子とみなされて、いじめの標的にもされやすくなります。また、職場では、面倒な仕事を押しつけられても文句のひとつも言わずに黙々と仕事をこなす「都合のいい人」にされてしまいがちです。これでは仕事の量は増えるばかりで、やがて許容量を超えた時点で、心身ともに疲れはてて会社を辞めざるをえなくなり、そして、退職後にひきこもってしまうケースも見受けられます。ちなみに、相手に説得されやすい人はそうでない人よりもひきこもりやすいですし、また、何かトラブルがあったときに、悪いのは自分だと思いやすい人はそうでない人よりも、やはりひきこもりやすい傾向にあります。

一方、「新しいタイプ」は中高年ひきこもりに多く見られる特有のタイプで、貧困や雇用、親の介護などが原因やきっかけとなって、ひきこもってしまわれた方々です。そして、彼らの多くが一人前の社会人として働いてきたのです。内閣府の中高年のひきこもりに関する実態調査では「35歳での無職の経験」が53.2%と半数以上いました。しかも、「働いた経験」という項目では、「正社員として働いたことがある」人が73.9%に及んだのです。つまり、中高年のひきこもりの方々の多くは社会人として通用していたし、社会人として「まっとうに」生きてきた人たちなのです。では彼らがどのような要因で引きこもりになってしまったのか。

● 「自分の欠点や失敗を少しでも悪く言われると、ひどく動揺する」

● 「人といるとバカにされたり、軽く扱われたりしないか、不安になる」

● 「初対面の人とすぐに会話できる自信がない」

という回答が多く聞かれました。なぜこんな事を思うのかについてです。40代、50代ともなると、給料もそれなりに高額になるため、リストラの標的にされやすく、突然、解雇を言いわたされるケースも少なくありません。また、リストラには遭わなくても、職場での強烈ないじめや過酷な労働環境などに耐えられずに会社を辞めていく人もいます。最近では、郷里に住む親の介護のためにやむをえず退職する人も目立つようです。中高年の人が会社を辞めると、新しい職をみつけることは至難の業で、東京や大阪などの都市部でさえ、再就職先をみつけることがむずかしくなるのです。最初のうちは、それまでのキャリアで培った自分のスキルを少しは活かせるような職場を望んでいた人も、不採用通知の山を見ると、高望みはできないことを思い知るようになるのでしょう。食べていくために非正規やアルバイトで手を打つ方もいるわけです。しかし、たとえばアルバイトとしてコンビニやラーメン店などで働きはじめたとします。そこにはたいてい年下の上司がいます。20代の上司が、40代、50代の部下にえらそうに命令したり、怒鳴りつけているのを飲食店やコンビニなどで見たことがある方もいるかもしれません。中高年の部下は自分を必死で抑えているのでしょう、頭を下げ続けていたりするのです。ボロボロに傷つけられた心を抱えて働きつづけることにも、限界があります。

つまり、パート先で年下の上司に小突かれつづけたり、何度も面接で落とされたりしているうちに、「自分は自分でいい」という自己肯定感は低下していきます。しかも、無職になってしまったことで、「そんな自分でいいと社会に認められている」という確信は当然のこととして、徐々にゼロに近い状態に陥るでしょう。自己肯定感も、社会的に認められている感覚も両方を失い、生きるための「土台」であるアイデンティティが崩壊してしまったとき、人は絶望し、ひきこもらざるをえないのだと思います。さらに、最近の高齢化にともない、親の介護のためにやむをえず都会の会社を辞めて、Uターンをする人たちも増えています。そのような人たちはたいてい、自分のスキルをもってすれば、郷里でも仕事がみつかるだろうと思っています。ところが、地方の雇用状況は都市部よりもさらに厳しく、とくにハイスペックな人たちを雇うような会社は、地方へ行けば行くほど少なくなります。

結果、生活するために働いては馴染めず辞め、また働いては辞め、、、を繰り返している内に「社会不適合者」という烙印を押されてしまうのです。現代の引きこもりは「単なる甘え」だけが要因ではなく、社会から作られるべくして作られてしまった被害者だと、私は考えます。

りゅうこころでした。ryukokoro



重度のうつ病を経験し、立ち直った今発信できることがあります。サポートして戴けましたら子供達の育成に使わせていただきます。どうぞよろしくお願い致します。