建築学生が考えるこれからのデザイン
こんにちは。建築学科に入学してから早二年。自分は建築のデザインをしたいと思って勉強を進めてきましたが、ふと、「デザイン」って何なのだろうか、と改めて考えます。
「綺麗な形のものを作ること?」
「色合いのコントロールや、素材についてのちしきがあること?」
それらも、デザインをする上で重要なスキルでしょう。ですが近年、建築・デザインにおいて求められる領域は、より拡大しているように感じます。
というのも、今デザインに求められるのは、既存の建築・社会に存在している既成概念を覆したり、物事の境界を溶かしていくような発想ではないかと感じるのです。
例えば 2021年に竣工した、伊東豊雄さんと竹中工務店の共同による「WITH HARAJUKU」は既存の都心部における建築の在り方とは一線を画す新規性を感じます。
まず大前提として、原宿という「若者の文化の中心」ともいえる都市
の中に住環境と商業空間の複合施設が大々的に作られたこと自体が珍しいと言えるでしょう。
というのも、以前の都市では、住空間・商業空間、労働空間の明確なゾーニングがなされており、殊商業空間、労働空間の中では効率性が重視された無駄のない建築計画が行われてきた背景があるからです。
一方、WITH HARAJUKU での大きなコンセプトの一つには「"溜まり場"」という言葉が掲げられていて、上記のような思想とは大きく違った意図があります。
コンセプトの通り、WITH HARAJUKU の商業スペースには広い廊下や吹き抜け、さらにはお金を払わなくとも座ってのんびりできるような広場が設けられており、これまでの都心には感じえなかった公共性を感じます。
このように、造形の美しさや奇抜さだけでなく、形を通した新しいコミュニティや交流、発見が生まれることも、今のデザイン領域で求められているのではないでしょうか。
ほかにも、Tokyo Toilet という事例では、TOTOが主体でこれまでの都内公衆トイレの不衛生で治安の悪いイメージを覆すことを目的に、建築家やデザイナーにデザインを依頼していたものもありますが、ここでも求めれるのは、綺麗な造形だけでなく、新しいトイレの機能や、上記の課題解決のための独自の案であるといえるでしょう
僕は建築を学ぶ中で、造形としてのデザインスキルはもちろん、それらを通して新たな価値を提案できる、或いは課題を発見できるようになるだけの社会の知識、経験、独自の視点を養っていきたいと思います。