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【たべもののこと】カンガルーのロースト(その1)

 創作ダイニング たべものであそんではいけません のおすすめ料理をひとつ挙げるとするなら、やはりカンガルーのお肉です。店内にはカンガルーのアートが飾ってありますし、オープン当初からの人気メニューでもあります。もちろん、味にも自信があるからこそおススメとして挙げることができます。

フロアにはカンガルーのポスターが鎮座。


 しかしながら、最初から完成された出来だったわけではありません。今回は、現在のスタイルになるまで、このお皿がどのような過程を経てきたのかを、カンガルー肉をとりまく現状をまじえ2回に分けて紹介していきたいと思います。


カンガルーのお肉とは


 カンガルーといえばオーストラリア。オーストラリアではカンガルーの頭数は人工よりも多いとされています。カンガルー肉はすべて狩猟によって賄われており、つまりすべてジビエということになります。日本人にはなじみがまったくないカンガルー肉ですが、なんと現地オーストラリアではスーパーに並んでいるほど一般的なお肉なんだとか。ひと昔前、日本では普通に鯨がスーパーで売られていましたが、それを見たときの外国人の気持ちを想像すると、似たようなものだったのかもしれません。

 さて、当店のお客さまからもたまに聞こえてくる「食べれるの?」という疑問が当然出てきますが、現地のスーパーでも売られていることから、「可能ではある」とは言えそうです。倫理的な意味での「食べていいの?」という質問にはなかなか答えることが難しいですが、現地において食品として一般的であるという事実が答えになるでしょう。

 そしてカンガルー肉には、ジビエだからこそのメリットが存在します。狩猟でのみ捕獲される、純粋な天然の動物のお肉は、自然界で餌を自力で得ていることから、餌由来の添加物や抗生物質に汚染されていません。さらに付け加えるならば、オーストラリアのカンガルー肉は近代的な専門工場で精肉されるため、衛生管理も行き届いています。

 そもそもオーストラリアは食肉の衛生管理について世界的に最も厳しい基準を設けており、したがってカンガルー肉は世界的に安全な食材ということができます。当店に届くカンガルー肉の入った段ボールにも、オーストラリア政府の刻印と品質保証のラベルが張られています。

カンガルー肉の栄養価

 さて、そんなカンガルー肉ですが、日本国内ではどうでしょうか。実は近年、ルーミートという名前でカンガルー肉が着目され始めています。とはいえ一部のアスリートや美容関係者が知るのみですが、彼らはその栄養価に着目しています。以下のURLに詳しい説明があるので、そちらをご覧いただくのがよいでしょう。この記事ではかいつまんでその栄養価を紹介します。

http://www.roomeat.co.jp/paroo/

 カンガルーのお肉は赤身がメインで、他の食肉と比較すると脂肪が少なくヘルシーと言えます。実際、当店でメインで扱うフィレ肉も脂の少ない赤身肉の特徴を持っています(後述するように、だからこそ調理は簡単ではありません)。

 またいわゆる不飽和脂肪酸の含有量も少なく、必須ミネラルである鉄分、亜鉛や、ビタミンB12、B6等のビタミンBグループが豊富に含まれています。またたんぱく質も非常に良質であるだけでなく、脂肪を燃焼したり、脂肪の蓄積を抑える働きのあるCLA(共役リノール酸)も豊富に含まれています。

 直接的な健康への影響として、ルーミートに非常に高い割合で含まれる多価不飽和脂肪酸がルーミート中心の食生活を実践している人々の生活習慣病(高血圧、心臓病、脳梗塞等)を予防する働きがあることが研究機関により示されています。

 つまり、低脂肪、高多価不飽和脂肪酸、低コレステロール、高蛋白の組み合わせがルーミートダイエットを成功させ、トータルな形で生活習慣病を予防していると考えられます。


 なんだか日曜9時に放送されていた健康番組のようになってしまいましたね。それほど栄養面で様々な効果が期待できるルーミートですが、そのすばらしさに比して国内での知名度はそれほどではありません。後述する調理の難しさや、食肉としてのとっつきにくさが原因かもしれません。
 
 次回はこちら。美味しく調理する方法をご紹介しています。





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