単熟語の覚え方を書き出せる限り書いてみた
1.はじめに
英語科講師として常日頃から授業で伝えていることがある。
それは「単熟語以外の側面はどうにかしてあげるし、単熟語の習得に繋がるような話や、単熟語を覚えなきゃと思わせてはあげられるように頑張るけど、最終的に頑張るのは君たちだよ。」というものだ。
ただ、ただただ「頑張れ!」と言い続ければ、生徒さんが「頑張る」のかと言うと、そういう訳でもないだろう。
講師としてはそのhow toを教えなければならないと思う。
ただ授業には「時間」という大きな制約があるので、そのhow toを伝えきれない。
そのような「伝えきれないけど伝えたいこと」を伝えるためにnoteを始めたのだから、この場で今日はこれを伝えようと思う。
「単熟語の覚え方」である。
2.単熟語の覚え方
①長文中で覚える
多分これが1番「正統派」の覚え方なのだろう。同じ長文を何度も読み返すことで、そこに出てくる単熟語を覚える、というやり方だ。
僕のイメージだと、これは「言語能力」が高い人が行っている手段で、その語がどういった文脈で使われるか、まで覚えることもできるので極めて正しい方法だと思う。僕が重視しているコロケーションまで覚えられるし。
ただ、僕のように「その方法では覚えられない生徒さん」というのはどうしても居るように思う。そのような方の「言語能力」が低い、というのではなく、まぁ向き不向きの問題なのであろう。少し遠回りはするかもしれないが仕方がない。「急がば回れ」という言葉もあるぐらいだし。
あとは上記方法で語彙習得に励んでいる方の中には「日英の一致」が行われていないケースがある。例えば貴方が帰国子女などであり、First Languageが英語である、などであれば良いのだが、そうでもないと、日本語も英語も中途半端な力で留まってしまっている方も多く見受けられるので気を付けたい。
この方法で語彙を習得していくのであれば、オススメの単語帳、熟語帳は以下のシリーズになるだろう。レベルは各々の現状と目標に合わせたい。
また以下に記載の勉強法とセットで行うと語彙習得が早くなるように思う。この「①長文中で覚える」方法を使って語彙習得をされる方は、以下の記事もお読み頂くと良いように思う。
②書いてor声に出して 覚える
兎に角、書いて覚える、声に出して 覚える、という人も居るだろう。
これも反対はしないが、どうせ書いたり、声に出して読むのであれば、「日本語⇒英語⇒日本語⇒英語[…]」という順で行う方が良いのではないか、と思う。例えば「本 book 本 book 本 book[…]」のように。
というのも「本 本 本 本」や「book book book book」と続けて書いたり読んだりしたところで、日英の接続はできるのかが甚だ疑わしいからである。
勿論、僕は「語彙習得」というのは「人の数だけの方法論がある」と考えている。なので、今、この方法で上手くいっているのであれば、何も変える必要はない。
ただ上手くいっていないのであれば、僕からのsuggestionは上記の通りである。
書いて覚えたい人には以下のようなものがオススメだ。
またこの方法で覚えている方の中には「覚えた気になっている」ケースが多い気がする。本当に覚えたかどうかは以下に記載の「③赤シートで隠して覚える」内で言及している方法で確認すべきだとは思う。
因みに僕は、大学生のころ、サボって語彙のテストまでに時間がないときはこの「書いてor声に出して 覚える」という方法を採用していた。結構効果はあったが、物凄く一時的で、テストが終わった翌日にはほぼ全て忘れていたことは黙っておく。
③赤シートで隠して覚える
これは僕自身が大学受験時、及び大学でポーランド語を学んでいたときに行っていた方法だ。語彙習得の方法というものは「慣れ」「不慣れ」も大きく関わってくる気がするので、今後も僕は少なくとも無知の言語の語彙習得を行う際にはこの方法で行うことになるのだろう。
たまに居るのが「赤シートで隠してテストをして、間違ったところに付箋を貼って次へ!」という方法を取っている方。これは僕は見ていて「大丈夫かなぁ?」と不安になる。というのも、付箋を貼ったりするということは、裏を返せば、1回その語の意味を答えられればその付箋を外す、ということに繋がり得ると思っているからだ。1回偶然、短期記憶で覚えた気になったものを「本当に覚えられている」のだろうか?「覚えた気になる」というのが1番怖いな、と感じている。
ではどうすれば良いか?以下の方法が僕が実際に学生の頃に行っていた方法だ。鵜呑みにするというよりは、参考にしてくれれば幸いだ。
【1】赤シートで隠してテストを行う際に、間違えたら5語分前に戻る。そうすると僕たちは予想以上に馬鹿なので、また同じ語を間違える。もし同じ語を間違えてしまったらまた5語分戻る。これを繰り返す。こうしている間に、無意識のうちに何周もすることになり、覚えることができるようになる、という算段だ。
【2】100語で1セットとして、1セット行う中で、日本語の助詞(「で」や「を」など)まで込みで、3回までの間違いに留めることができればその1セットはクリアー、留めることができなければまた翌日行う。
このような方法論を僕はとっていた。この方法で行うと、思っている以上に時間がかかると思う。
「文法よりも何よりも1番大事な語彙習得」に「かなりの時間」がかかるのは「当然」かと思う。気分転換に好きなカフェや、音楽を聴きながら行うのは当然問題ないだろう。是非頑張って欲しい。
ただこの方法において気を付けたいことは、上記「①長文中で覚える」とは異なり、単熟語の習得と日英の接続においては悪くないかもしれないが、コロケーションやその語を使うことのできる場面を習得できないことだ。
この方法で覚えた方は、是非大学生になってから、上記「①長文中で覚える」に記載の内容を参考にコロケーションやその語の使用場面を確認したり、アウトプットに繋げてほしい。
④単語カードで覚える
単語カードで覚える方も居るだろう。カードで語彙習得を行うにしても、上記「③赤シートで隠して覚える」に記載のアドバイスは応用できると思うので、是非一読願いたい。
有名どころである『システム英単語』や『英単語ターゲット1900』には、既に印字されたカードが売っていることも知っておきたい。
⑤単語帳や熟語帳に書き込んで覚える
単語帳や熟語帳に使用例や、勉強中に気付いたこと、単語帳であれば接頭辞や接尾辞の意味、熟語帳であれば前置詞の持つイメージなどを書き込むのもアリだと思う。
ただ、これも結局「本当に覚えたのかどうか確認すること」は必要だと思うので、確認方法としては上記「③赤シートで隠して覚える」を参照して下さい。
接頭辞や接尾辞について書かれているものは例えば以下のようなものがある。
また前置詞毎のイメージを知りたい、ということであれば、例えば以下のものなどはどうだろうか?
この方法で語彙習得を行う際に、オススメの方法があるとすれば、それは単語であれば「接頭辞」や「接尾辞」、熟語であれば「前置詞」に着目して「無理やり」ストーリー立てて「~という意味だからこの単語は・・・という意味なのか、なるほど!」というような作業をすると良いように思う。
別に受験生として勉強していく分には、その「ストーリー」が間違っていても良いと思う。兎に角、忘れにくくすることが目的なのでね。教える側は気をつけなければならないと思うが。
3.おわりに
以上が僕が今考えることのできる「単熟語の覚え方」なのかなと思う。ここに書いていないものとして、アプリで覚える、などというものもあるが、そこに関しては以下の記事の4.を参考にして頂けると良いかと思う。
上記の記事は僕の記事の中で1番アクセス数が多く(現時点で3593件)僕の中でも1番大切なものなのだが、これを書いたのが17か月前。
しかし面白いのが、今見て見ると、少し今の僕が思っているのとは異なる点もある。(大筋は同じなので気にしないで下さい)
生徒に「頑張れ!」と言うのなら、僕も「頑張って」いかなければならないと、考えている。
もう夏が終わります。気が抜けない日々の始まりです。是非、お互いに「夢」に向かって頑張っていきましょう。