JpGU2020が終わり
Covid19の影響により初めてのオンライン開催となった地球物理系最大の学会JpGU。私は初日の日曜日から本日最終日、木曜日まで、事情があり、だましだまし参加していた感じなのですが、驚いてしまうようなことや、それによって考えさせられることが、とても多くて、誰もが何か発言したり、記録しておられずにはいられない、という感じでした。私も思い出しながらスマホで書いてみます。
事情と言うのは、本日の朝イチに、宇宙天気セッションの一部として、zoomで集まれる90分のスロットを学会に用意してもらっていて、その宇宙天気セッションの代表コンビーナが私だった、ということです。それで、無事に90分を乗り切れるのか、とても不安な状況が続いていたので、ちょいちょいログインしては、他のセッションがどう乗り切っているかを参考にしていた、という事情です。
技術的にインパクトとダメージの大きかった問題は、このzoomのほうではなく、iPosterというシステムです。ペーパーレスでポスター発表できるシステムを学会として導入したわけですが、これが、あまりにもひどい。たとえば編集中にデータが消失する事件が起こり続けていたのが最もクリティカルで、ほかにもマイナーな問題がたくさん。アクセス過多でサーバーが半日くらい落ちて何も見られない、なんてこともありました。そして、このiPosterこそが、今回のオンライン学会に参加した研究者たちが、実際の研究内容を具体的にシェアできる最重要のもの、つまり本体であり、中身であるわけで、まあ、そういった根本的なところで、決定的な破壊力がありました。
では、iPosterは、まあそんな風に残念な産物だったとして、それでもなお何日間もかけて、いったい何を学会活動として参加者がザワザワしていたのかというと、それぞれのセッションで何か好きなこと(ポスター紹介フラッシュトーク、招待講演、あるいはパネルディスカッション)をやりなさい、ただし最大90分だけね、というzoomチャンネルの寄せ集めをブラウザ越しに見ていく、というものでした。ただ、普通に90人くらいの研究者が1ヶ所に集まっていて、それぞれが10分くらいは宣伝や議論すべきことある(そうしないのなら、あまり意味はない)なかで、90分間、1チャンネルのzoomで情報交換しようというのは、やはり桁違いの無理があって、何をやっても中途半端な感じになります。しかしiPoster以外に、これしか用意されていない。宇宙天気セッションでは、将来計画に関する話題を4人に話してもらい、あと私からiPosterのレビューを、参加された方々にお伝えして、特にフィールドバックもなく90分が終わりました。オーディエンスの殆どは無言で顔出しもなく、シーンとしていました。
さて、そんな感じで、今回終わってみて、どう思ったかということなのですが、まず、この危機に、なんだか変な汗をかいて苦労して、でも前をみて真面目にセッション開催に取り組んだ。ということは、私にとって、とても貴重な経験になりました。実際に貴重な話も聴けました。やらないよりは、良かった。でも学生たちには、やはり申し訳ないです。今回のJpGUに感じる絶望と無力感。こういう試み自体は悪くない、旅費もかからず、時短になるメリットは非常に大きく、もっとうまく工夫を重ねて皆で意識的に努力することで、すぐ先の未来にはオンラインの学会も大いに有意義に楽しめるはずだ、とも思いました。
それから、学生のとき熱心に学会に参加していたときの出来事や会話を、懐かしく思い出してしまいました。じっと我慢して座って講演を聴いて、知性とかっこよさに打ちのめされ、その人が近くをうろうろしているスリル。「あ、新しいうちの学生、紹介するよ」的な突然の妙なファミリーの広がり。「今から、ちょっと抜けて、そばでも食べない?」きっかけの根本的な研究上の疑問の解決。「留学先?ちょうどいま暇そうにしているあの先生だよ。論文を説明してきなさい。私の友人だから」みたいにして決まる運命の留学先。「さっきのトークききましたけど、ちょっといいですか」と話しかけて、議論もつれて共同研究。
そういう「場外」な要素については、ゲーム要素の強いアバターとかVRが相性よい気がするので、そういうオンライン学会が出てくることを楽しみに思っています。書きたいことが、途中から変わってしまいましたが、今日は一旦ここで筆を置きます。