オーロラ観測でカナダへ①
10年以上ぶりにカナダのアサバスカに来ています。day2が終わったところ。8/30朝5時です。ISSの「電子の豪雨」現象の下では、一体どんなオーロラが光っているのでしょうか。オーロラの立体視観測から逆にISS電子豪雨のメカニズムに迫ろうと、東大の学生Yさんの研究指導も兼ねて、カナダに一緒に来て仕事をしている、という日記風の観測ログです。
day1
成田空港に午後3時に集合して、学生Yと荷物の確認。JALは第2ターミナル。成田からの飛行機が1時間遅れて、シアトルに到着。本格的にシステムダウンしていた。2時間で乗り換えて、アラスカ航空でエドモントンへ。入国も荷物検査も最低限だった。
エドモントンでは夕方5時半にハーツでレンタカーを借りて、牛や馬がたくさんいるのどかで果てしない風景を北に走り、途中でスーパーに寄ってラッキョウなどを買って、まだ明るいうち、夜の8時に目的地のアサバスカ観測所へ到着。塩川さんと学生4人と合流。よく考えると、すさまじい現地集合である。学生YがeSIMでナビってくれて助かりました。
ひとまずカップ麺で休憩して、すぐに立体視カメラその1をセッティング。そうしながら、マーチンに観測所での住み方を教わる。ドラえもんのどらやきをあげた。セッティングの必須アイテムを学生と手分けして分散していたことと、暗い中での組み立てなどのせいで混乱があったが、なんとか初日から観測を開始。配線は翌日の課題とした。夜12時ごろに外に出て、淡いオーロラと記念写真。疲れて、夜の1時にはベッドに。この観測所にはシャワーもあり、寝泊まりできる。塩川さんと相部屋。
day2
朝8時ごろに目が覚めて、マーチンと一旦お別れ。この辺りにはビーバーもいるし、ハリネズミもいる。あとはマーチンの部屋を使っていいとのことで、部屋を移動。学生Yと観測準備を開始。簡単に食べて、配線をやり直したりしながら、アサバスカ大学のほうに設置するためのカメラ機材を整理しているうち、そのためのラズパイが不調に。また、day1の観測が途中から変だったことを確認。私は古いEMCCDのhdd交換を済ませた。あとで、タイミングLEDを直して、魔改造シータの撤収も試みるつもり。忘れぬよう。昼12時ごろに豪華なサンドイッチ。塩川さんの観測計画、さすがである。
午後1時にアサバスカ大学へ出発。25 km離れた観測地点なので、オーロラの立体視観測をするため。風光明媚な川沿いのスーパー・インディペンデントでお土産をゲット。この記事のヘッダー写真は、その川です。午後2時にアサバスカ大学に到着。リスがいる。サスカトゥーン・ベリーがおいしいらしい。初対面の氷河研究者ラジュさんに色々と助けてもらって、新しいドームに立体視カメラその2を設置。
不調のラズパイをあきらめて、念のため持ってきていた予備のラズパイを導入。しかし、観測ソフトが思うように動かず、その場で直すことをあきらめて夕方6時に観測所へ戻った。戻ってから、ストレージとなるssdをぶら下げるのを忘れたことに学生が気づいた。グッジョブである。そういえば仮止めした雲台とクランプも忘れてきた。ディスプレイかhdmiダミーをぶら下げておいたほうが、遠隔操作で画面を飛ばすときにバグらないので、それもやったほうがいい。これらを理由に、また明日も大学へ行くことに。
18時のパスタを作って食べる会のあとは、明るいうちに、観測所に新型のカメラその3の設置をしようと苦労を重ねたが、最終的にはうまく行かないまま天文薄明に突入。仕方なし、とアサバスカ大学に置いてきたカメラのラズパイに入り、観測できるようにリモートで直すことができた。一歩ずつの前進。
だめだったことの主な原因として、mipiケーブルが死んでいたことがわかり、念のためと出発前にもらっていた予備のケーブルと交換。一度組み立てたカメラその3は、結局またバラバラにして振り出しに戻った。そうして必死に行ったり来たりしているうちに、カメラその3は正常に組み上げた。朝の1時を過ぎ、カレーを作って食べる会が開始。ラッキョウが役にたった。みなさん疲れが取れるはず。
オーロラ観測という非日常から、ふと現実に戻り、火星の打ち合わせという仕事をギリギリ思いだし、遅刻して後半だけリモート参加できました。ISSとのコンジャンクションの朝4時まで、2地点からの立体観測できていることを確認してから、ベッドに横になり、今に至る。日本のメールに、ほぼほぼ回答できる余裕はなく、皆様しばらくお待ち下さい。
次の集合のサンドイッチを作って食べる会は13時。このように、ほぼ日本時間で過ごして行けば、常に時差ぼけがないらしい。確かに。今から7時間は寝られる。
(day3へ続く)