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美容師さんのデビュー制度について


こんにちはRyuhoです。

ぼくは神戸で小さな美容室を経営しつつ、メイクアップアーティストとしても活動中です。

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今回は「美容師さんのデビュー制度」についてお伝えしたいと思います。



業界の中で、今も昔も必ず議論になることがあります。

それは、「美容師さんのデビュー制度」についてです。

そしてその議論には終わりがありません。


議論が終わらない理由をはじめにお伝えすると、それには「答えがないから」です。

検証をするにしても想像以上に時間がかかります。

費やした時間に対して、キレイな答えが出るかどうかもわかりません。

業界的にも本当に難しいことです。


ちなみに、美容師さんは「デビュー」やら「スタイリストデビュー」と言いますが、おそらく一般の人はなんのことかわかりません。

「あー髪の毛が切れる人になったんやね」程度です。

ご年配の方だと、「先生になったんやね」「見習い卒業やね」そんな感じです。


しかし、われわれ美容師にとっては1つの大きなターニングポイントになりますよね。

つまり、組織を管理する側からすると、そのターニングポイントを「どこに作ってあげるか?」ということが非常に重要です。

そしてそれは、先ほどお伝えしたようにいつの時代も議論の題材として挙げられます。



■買い手市場から売り手市場に


では、美容師さんのデビュー制度について、これまでの美容師業界の流れを見ていきましょう。


ぼくが美容師さんになりたての頃(20年ぐらい前)は、全体的にスタイリストになるのにとても時間がかかった世代です。

その理由は、美容師業界のリクルートが「買い手市場」だったからです。

つまり、「美容師さんになりたい」という人がとても多く、美容師という職業に光が当たっていました。


「別に辞めたかったら辞めたらいい」

そんな時代でした。

当然、何事にも厳しく、上下関係はもちろんのこと、今回のテーマである「デビュー」についてもなかなかデビューをさせてもらえない時代でした。


しかし、その理由には、実は「デビューをされたら困る」という意味もありました。


その頃の美容室は、スタイリストとアシスタント何名かによるチーム(ユニット制と呼ばれていました)を組んで、1日サロンワークをするという時代です。

(ちなみにこれは、ぼくの記憶が確かであれば某有名ブランディングサロンによる発信で始まったことです)

このユニット制でお仕事をする場合、スタイリスト1名につき複数のアシスタントというチームでサロンワークをします。

つまり、大きな美容室の中でそのようなユニットがたくさんあり、小さな商店の集まりみたいな感じだったということです。

そしてその中で売上げをあげて、それが集まったものがサロン全体の売り上げになるということでした。


しかし、このユニット制でサロンワークをしようと思った場合、1つだけ確実に守らないといけないことがあります。

それは、アシスタントのほうがスタイリストよりも人数が多くないと成り立たないということです。


「スタイリストアシスタント」が通常の状態です。

「スタイリストアシスタント」もまだ成り立ちます。

「スタイリストアシスタント」は成り立ちません。


つまり、ぼくの時代はなぜスタイリストになるのが遅かったのかというと、スタイリストデビューをしてユニットから抜けられたら困るからです。

単純な理由です(笑)

もちろん全部が全部そうだということではありません。

しかし確実に言えるのは、サロンの状態によってコントロールされていたということはあきらかです。


とはいえその後、美容師業界は天井を叩いて下降していくこととなります。

つまり、「美容師さんになりたい」という人が減少していきます。

当たり前ですよね。上記のような環境では(笑)


では何が起きるかと言うと、まずはユニット制の崩壊です。

ここではじめて、スタイリストがお客様を最後まで1人で担当するという流れが出てきます。

俗にいう「マンツーマン」です。


そうなると、組織としては「アシスタントを長くやってもらうよりも早くスタイリストになってくれたほうが売上げを上げられる」ということで、早くスタイリストになってもらうという考え方にシフトします。

そして、「買い手市場」から「売り手市場」に徐々にシフトしていくことによって、それはリクルーティングでもアピールの項目になります。


美容学生が、美容師さんとして働くことで気になることの1つに「どれぐらいでスタイリストになれるか?」ということがあります。

もちろん早いほうがいいからです。

しかしそのアピールも、だんだんとサロン間の競争が激しくなってしまい、「1年でデビューできます」といったサロンも出てきました。

本当かどうかはさておきです。


このように、約20年かけて流れは180度変わったのです。



■下積みの期間はあまり関係ない


ここで言いたいことは、「何が正解だったか?」ということではありません。

ぼくは、たしかに極端な形で両方を見てきました。


・デビューは早いほうがいい
・デビューは遅いほうがいい
・デビューが早いのはダメだ
・デビューが遅いのはダメだ

いろんな人がいろんなことを言ってきました。

その全てが正解だと思います。

ぼく個人的な意見も、どちらでもいいと思います。


最近では、「その人に合った期間で、、」というのもよく聞きますが、それがもちろんベストでしょう。

しかし、「その人に合った期間」というのはどうやってわかるのでしょうか?

そんなことは分かりっこないのです。

「あの人は早くスタイリストになりたいと言っているけど、早くないほうが合っていると思う」とか、誰かのモノサシでしかありません。


つまり、早くてもいいし遅くてもいいのです。


実は長い目で見ると、スタイリストとしてのその後に、下積みの期間はあまり関係ありません



■デビューしてからのほうが美容師人生は長い


しかし、組織としてはある程度の目安を決めないといけないと思います。

当然リクルーティングにも影響してきます。


とはいえ、これからはスタイリストになる期間を打ち出すよりも、「スタイリストになった後、どれだけサポートできるか?」を打ち出したほうがいいと思います。


これまでもそうでしたが、スタイリストになったあとに伸びなくなる美容師さんがとても多いです。

それは、売上げに限らず人間力も含めです。


もちろん理由はたくさんあります。

・スタイリストをゴールと設定していた
・満足してしまった
・教育の立場に回ってしまうので自分の練習ができない
・楽することを覚えてしまう(環境など)
・次の目標が立てずらい

など、他にもまだまだあるでしょう。


では、なぜスタイリストになってから伸びなくなるのでしょうか?

それは、サロンのカリキュラムのほとんどがスタイリストデビューで終わっているからです。

当然、そこに気づいて対処をしているサロンさんも見られます。

しかし、見ているとその部分がどこのサロンさんもかなり弱いです。


スタイリストになった後のほうが美容師人生は長く、乗り越える壁も多いです。

ぼくとしては、アシスタントのカリキュラムよりもスタイリストになったあとのカリキュラムのほうが充実していてもおかしくないと思います。

おかしくないというか、そうあるべきだと本気で思っています。


そして近い将来、そこを求めてくる美容学生さんも出てきます。

つまりサロンのリクルーティングも、スタイリストになった後のことを全面に出すほうが効果的だという流れになるでしょう。

「半年や1年でスタイリストデビューできます」は、もう美容学生には刺さりません。

それよりも、「スタイリストになった後、何をしてくれるのですか?」と美容学生さんが思う時代が来ます。

なので、組織を運営しているサロンさんは「スタイリスト〜その後」に力を入れるべきです。


リクルーティングにおいて、スタイリストになれるまでの期間はあまり重要ではなくなります。

美容学生に聞かれたら、「早くて1年〜遅くて5年ぐらい?」と範囲を広げて言ってもなんの支障もありません。

これだけ情報が入る時代です。

もう美容学生もわかってますって(笑)

ぼくたちが想像している以上にわかっていると思います。


なので、「でもうちのサロンはスタイリストになってからのカリキュラムが充実してます」と胸を張って言えたり提示してあげると、「おお」となりますよ。

つまり、スタイリストになるまでの年数で勝負するのではなく、スタイリストになった後のカリキュラムで勝負するのです。

土俵をズラす感じです。

ちなみに、そのほうが離職率も防ぎやすいんですよね。


もしよろしければリクルーティングの参考にしてみてください。

ではまた!

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Ryuho【リュウホ】
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