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New Album の出発点②
さて20曲ほど目指すといっても、数はなんとなくの目安で、沢山ある中からピックアップできるようにする状態にしたかったのかもしれません。いざその時の気分だったり、ストーリーを作れるような曲順(サブスク時代に曲順に意味があるのか、はさておいて。)にできるようにです。
前回の記事で、「10代の頃の自分が絶対に繰り返し聴くであろうアルバム」と書きましたが、それならばその頃に聴いていた楽曲たちの制作のポリシー、手法を踏襲することも大事になってきます。それは程度の問題もある訳ですが、当時の楽曲の焼き直しをしたい訳ではないので、本物の808やDX7をStuderのテープに録っていって、、、ということでは無く、せめてマインドや制作手順は踏襲していこう、と。ツールは今のツールの方が断然使いやすい訳ですから。
Michael Jacksonの「Dangerous」製作時の話をBill Pottrellのインタビューで読みましたが、4人のプロデューサーに同時に何ヶ月も作業させて30曲ほど完成させ、その中から10曲なりをアルバムに収録した、とありました。80〜90年代のハリウッドではこうした話は珍しくなく、最終的にレコードレーベルの重役会議で収録曲を決めていったようです。Steve Lukatherも同じような事を自著で書いていますので、Totoも例外では無かったのでしょう。(日本でもTM Networkなどはこういう作り方だったようです。)
個人的な意見ですが、こういう流れで出来たアルバム(楽曲達)の方が出来が良く、長く聴かれる音楽になると思っています。「アーティスト、バンド本人達の意見や主張が蔑ろになる」という批判も当たっていると思いますが、本を書く作家さんや漫画家に優秀な編集者がいるように、第三者的な視点が作品にはどうしても必要になってくるように思います。そういった他者の視点によって作品が少し揉まれた方が普遍性を持ちえるのではないでしょうか?
時として有名なミュージシャンのソロアルバムがとてもつまらないのはこういった点にあるのではないかな、と。「やりたい事やりました」結果あまり面白くない作品に仕上がってしまうという。。(もちろん作曲能力の差もありますね。)
Steve Lukatherは時々当時のレーベルの仕事ぶりを悪く言ったりしていますが、(色々な恨みもあるのでしょう。)潤沢な予算とそれに伴うプレッシャーというのは確実に彼の作品を良い「売り物」へと昇華させていますし、長年メジャーレーベルに在籍していたことで、そういった「売れ線」の感覚(センスですかね)、を自然と身につけていったのではないかと感じます。
もちろんこうした考え方は今の音楽の作り方とは正反対なのは知っています。パッと閃いたものをどんどん打ち込んでいって、さっと仕上げてネットで発表できる現在は、そうした鮮度の高い音がクールに思われている事に異論はありません。
話がおおいに脱線しましたが(笑)、そういった80'~90'sの手法の断片でも良いので、作品を揉んでいくつもりでひとまず僕の周りの音楽人達に聴いてもらえる、まとまった数のプリプロダクションを用意するのが第一段階の作業となりました。
基本的にはプリプロダクションはほとんどアレンジも含めて完成形を目指す必要もありましたので、というのも恐らくバンドでスタジオに入ってアレンジを詰めていく予算と時間は無いことは明白でしたので、頭の中で組み立ていき、どんどん打ち込んでは弾いていく、という事の繰り返しとなりました。