あわしまマリンパークの思い出(後編)
再びの訪問
ほろ苦い結果に終わったオロシザメチャレンジ以降、私があわしまマリンパークを訪問する機会はなかった。そのうちレア深海魚が入ったらリベンジしよう、くらい気楽に構えていたのである。まさか二度目のあわしまが、お別れのための訪問になるとは思ってもみなかった。
先日公式から今月末までの閉園延期のお知らせが出たが、当初の予定は2月12日であった。たった3週間しか猶予がない。週5で働く人間からすれば、全くもって余裕がないスケジュールだ。しかも沼津は東京から地味に遠く、土日の混雑も必至の情勢である。平日早朝、始発で向かうしかない。悩んだ末、私は二度目の訪問を決めた。
当日は4時半に起き、予定通り始発で沼津を目指した。小田原行きのロマンスカーで爆睡し、東海道本線でも爆睡し、満員のバスに30分以上押し込められ、やっとの思いで淡島の地にたどり着いたのである。
大盛況のあわしま
前編でも触れたが、マリンパークに行くためには船に乗る必要がある。バス停から歩いてすぐのチケット売り場で入場券を購入すると、船の往復券が付いてくるので、それを船着き場で提示して淡島に渡るというシステムだ。
3年前は正直ほとんどお客さんがいなかったので、着いてすぐチケットを購入できたのだが…。今回は人、人、人。とんでもない長蛇の列がチケット売り場から伸びているではないか。予想通りとはいえ、実際に目にすると苦笑いが浮かぶ。並んでいる人の多くはラブライバーなようで、他の現場で会った人と偶然の再会、なんてイベントも起きていた。ちょっとしたオフ会だね。
最近の水族館ではチケット販売は券売機が主流であり、なんならネットで事前購入できたりもするのだが、そこは古き良き水族館。伝統の窓口販売スタイル、それも1つのみである。牛歩の末、到着からほぼ1時間後にようやくチケットを購入することができた。
3年ぶりのあわしまは、正直全く変わっていなかった。無論展示生物の違いはあるが、水槽のレイアウトや施設の外観など、ほぼかつてのままだ。違いがあるとすればその盛況ぶりだろう。アニメの聖地とされる場所には沢山の客が並び、グッズも飛ぶように売れている。カフェ、レストランにも待機の列だ。今までも閉園間際の水族館に駆け込んだことはあるが(京急油壷・志摩マリン・横浜おもしろ・丹後魚ッ知館)、熱気では一番だったかもしれない。
水族館オタク、そして撮影勢である私にとって、水族館が混雑することは非常に好ましくない。いい写真を撮るためにはどうしても一つの水槽に長時間張り付いて粘る必要があるが、混雑時にそんな迷惑行為をしてはいけない。結果消化不良になることしばしばである。
しかし、意外なことに今回のあわしまでは撮影が捗った。最大の理由は、主な客層が普段水族館に来ないであろうラブライバーだったことにあると思う。水族館オタクとそうでない人では、1つの水槽を見るのにかかる時間に大きな差がある。また、カップルやファミリー層も熱帯魚水槽などでは意外と長居する傾向にある。しかし、主目的が聖地巡りのラブライバー達は、淡島中に見るべき場所があるので、館内の見学にそこまで時間をかけていなかった。従って、水槽前が空くタイミングがそれなりにあったのである。ラッキー♪ 流石に二階の深海エリアは混んでいたが。
あわしまマリンパークの記録
ここからは、主に展示生物を中心にあわしまのことを記録として残しておくことにする。それなりに撮れた子だけ…
あわしまのこれから
あわしまマリンパークの伊藤支配人によれば、あくまで今回の閉園は一時的なものであり、新しい企業・オーナーを引き続き探しているという。閉園したからと言って、生き物達をすぐに他園に引き渡すことも難しい。終生飼育の原則に則り、飼い続けなければならない。当然エサ代や電気代はかかり続ける。厳しい道のりだとは思うが、なんとか復活して欲しいと願わずにはいられない。伝統的な日本の水族館が失われていくのは、大きな大きな損失である。
私自身、あわしまにやり残したことは多い。特に読み切れていない解説板が沢山あるのが心残りだ。後日Twitterで知ったが、トイレにも小ネタのように解説板が置かれているという。全く気付いていなかった。
また、バックヤードツアーも盛況すぎて見送ったが、本当は参加したかった。深海魚のはく製に触れるコーナーがあるらしく、あのオロシザメにも触れたんだとか。痛恨のリサーチ不足である。
閉園発表後の混雑から見て、多くの人に愛されている施設であることは間違いない。さすがに今月中にもう一度行くことはできないが、今度は再開を祝して突撃できる日が来ることを祈っている。私も微力ながら応援したい。