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留学生の差別的取り扱いに反対し、 すべての困窮学生に届く支援を要望する大学教員声明

以下の声明に賛成される方は、サイトの下部にあるgoogleフォームに署名をお願いします。大学教員をおもな対象とした署名活動ですが、他のお立場の方でも署名していただける方はお願いします。

署名〆切:6月9日(火)まで
 声明文のPDF版はこちらからダウンロードできます。

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留学生の差別的取り扱いに反対し、 すべての困窮学生に届く支援を要望する大学教員声明

 5月20日付で文部科学省のホームページに掲載された“「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』の創設” は、新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けて大学等での修学の継続が困難になっている学生約43万人を対象に現金を給付するとし、対象学生には「※留学生を含む」とはっきり記載されています。

 しかし「申請の手引」5ページには、留学生のみに「前年度の成績評価係数が2.30以上であること」という条件が課されています 。これは成績上位三割にあたると推定され、文科省は「いずれ母国に帰る留学生が多い中、日本に将来貢献するような有為な人材に限る要件を定めた」と説明したと新聞各社が報じています 。

 この給付は、そもそも緊急事態に直面した社会で、困窮状態の学生の生命の救済に関わるものであるはずです。それがどうして、この困難な時期に、留学生だけが成績によって分断され、日本人学生と異なる差別的な取り扱いを受けなければならないのでしょうか。アルバイトなどの収入が断たれ、生活が苦しいのは留学生も同じはずです。

 私たち教員にとって、自分が向き合っている学生はみな「日本の大学で学んでいる学生」であり、学生に救済の手を差し伸べるのに国籍で区別することは考えられません。留学生30万人計画のもと、たくさんの外国人留学生が日本の大学で学んで巣立っていきました。卒業後どこの国に居住しているかを問わず、彼らが母国と日本との貴重な架け橋になってきたことは紛れもない事実です。今回の措置は、日本で学ぶという希望に満ちてやってきた学生たちに、日本は外国人の人権を軽視し、差別していると思わせ、失望させることになるのではないかと危惧します。

 文科省が5月22日に発表したQ&A6ページには、最終的には大学等が「実情に沿って総合的に判断」するものであって、留学生も「成績上位3割のみを対象とする」わけではないとしましたが 、一定の出席率や成績等の要件を満たすことを留学生のみに求めるという原則は変更されていないことに懸念が残ります。


 他方、留学生以外の学生も、「申請の手引き」5ページによれば(いま奨学金等を受けているか、受ける予定であるという)「支給対象者の要件(基準)」1⑥を満たしていなければならないという条件が付されており 、困窮する多くの学生が対象外となる可能性があります。いままさに困窮している学生に支援が届く仕組みを作っていただきたいと切望します。

以上の理由から、私たち教員は、以下の2点を要望します。

(1)留学生については「前年度の成績評価係数が2.30以上であること」という基準を撤廃し、他の条件も極力留学生以外の学生と同等にすること。
(2)留学生以外の学生についても「支援対象となる学生の要件」1⑥を条件から外すこと。

 2020年5月26日


呼びかけ人(五十音順)

有賀哲也   京都大学理学研究科教授 
石川亮太  立命館大学経営学部教員
伊田久美子  大阪府立大学名誉教授 
伊藤公雄   京都大学・大阪大学名誉教授
今田高俊   東京工業大学名誉教授 
落合恵美子  京都大学文学研究科教授
梶谷懐   神戸大学経済研究科教授
川上浩一   国立遺伝研究所教授・総合研究大学院大学教授
楠瀬佳子   京都精華大学名誉教授  
高誠晩   済州大学社会学科助教授
榊原千鶴  名古屋大学男女共同参画センター教授
佐藤哲彦   関西学院大学社会学部教授 
施利平   明治大学情報コミュニケーション学部教授 
園田節子   兵庫県立大学国際商経学部教授
高野雅夫  名古屋大学環境学研究科教授
高谷幸   大阪大学人間科学研究科准教授
武川正吾  明治学院大学社会学部教授 
田野大輔   甲南大学文学部教授
坪井秀人  国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学教授
轟博志  立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部教授
中野晃一   上智大学国際教養学部長・教授 
朴沙羅   ヘルシンキ大学講師
濱田麻矢   神戸大学人文学研究科教授
久野秀二   京都大学経済学研究科教授 
速水洋子   京都大学東南アジア地域研究研究所所長 
坂内博子   早稲田大学先進理工学部教授
日比嘉高   名古屋大学人文学研究科准教授
姫岡とし子  東京大学人文社会系研究科名誉教授
細田満和子  星槎大学教授・副学長
ポンサピタックサンティ・ピヤ  京都産業大学現代社会学部教授 
水谷雅彦   京都大学文学研究科教授 
三成美保   奈良女子大学副学長 
宮川恒   京都大学国際高等教育院長 
村上あかね  桃山学院大学社会学部准教授
村上克尚  東京大学総合文化研究科准教授
山極寿一   京都大学総長 
吉田純   京都大学人間環境学研究科教授 
吉見俊哉   東京大学情報学環教授  

問い合わせ先 濱田麻矢
       ryugakuseishien2020@gmail.com

以下よりご署名をお願いします。集められた署名は、このnoteに掲示するとともに、6月15日をめどに文部科学省に提出します。



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