カナダ留学のための高校選び〜客観的なデータ分析から言えること〜
留学を検討するに際して、日本の高校選びと違って、どこの高校に行ったらよいのかの目安がなくてお困りのことと思います。
まず、高校に留学すると言っても私立と公立の2つの選択があります。私立は公立の倍くらい費用がかかることから、公立の高校を選択しました。つぎにどの州にするかですが、教育レベルが高くて日本から比較的近くて便利なブリティッシュコロンビア(BC)州を選択しました。「BC州の中でどの高校に行くか」を考えるためには、A)どの学区にするかを決めてから、B)どの高校に行くかを必要があります。
そこで(A)のどの学区に行くかを検討した項目は以下の8点です。
費用
現地カナダ人の高校卒業率
高校卒業3年以内の総合研究大学への進学率
州卒業試験の成績
学区の治安
留学生が占める割合と日本人の数
ホームステイが学区手配か否か
日本人のサポートスタッフの有無
つづいて(B)のどの高校に行くかを検討した項目は以下の3点です。
高校卒業3年以内の総合研究大学への進学率(とくにUBC)
州卒業試験の成績
主要教科(英数理社)のコース数
留学フェアでは学区担当者や留学エージェントが勧めてくる学区や高校があります。それは現地のカナダ人も同様に、我が子を行かせたいと思っている学区や高校なのでしょうか。また、どの高校に行っても大学進学率は変わらないという説明があります。本当に彼らは集まってくる生徒の学力や進学率を気にしていないのでしょうか。本当にそうなのでしょうか。本記事はそんな疑問に答えるための我が家の検討の記録です。
本記事では、各種統計データをもとに客観的かつ独自に分析した結果をご紹介します。我が子の留学を成功させたい、学区担当者や留学エージェントの説明に客観的な裏付けが欲しいと思っている私達にとって、とても参考になると思います。
現地カナダ人の高校卒業率と卒業後の進路を考える
BC州政府が出している統計データを参考に、BC州の平均卒業率を上回っていた学区を表1にまとめました。なお、サンプル数が100未満の学区はデータに信憑性がないため含めていません。また、留学生は含まれていないデータなので、より学区のレベル感(現地の親の教育意識や生徒の学力レベル)を反映していると思われます。
ウエストバンクーバ学区が常にトップであることがわかります。それ以外の学区は年度によって順位が入れ替わるので、1位を20点、2位を19点といった具合に集計した結果を表2に示します。高校卒業率の高い学区から順に並べて、卒業後3年以内に主要3大学(ブリティッシュ・コロンビア大学、サイモン・フレーザー大学、ヴィクトリア大学)に進学した生徒の割合、バンクーバー市街地まで公共交通機関を利用した際の所要時間、費用、ホームステイの学区提供の有無について一覧にしました。
大学進学率はBC州政府が出している統計データを参照しています(リンクの下3桁は学区番号で041はバーナービー学区、043とすればコキットラム学区の情報が見られます)。ウエストバンクーバー学区やリッチモンド学区、バンクーバー学区、バーナビー学区は大学進学率が高く、ブリティッシュ・コロンビア大学への進学者も多いことがわかります。ただ、2010年に卒業した生徒を2013年まで3年間追跡した調査であり、若干古いことは注意が必要です(あいにく最近のデータは公表されていないようです)。
類似の指標として、BC州の統計データに州の卒業試験(Numeracy Assessment 10およびLiteracy Assessment 10/12)の結果があります。しかも、直近6年分のデータでとても参考になりそうです。そこで、バンクーバー近郊学区について、学区ごとの試験成績結果(学区の合計点SCOREを受験者数NUMBER_WRITERSで除して求めている)を図1にプロットしました。各試験の習熟度がProficientあるいはExtendingだった生徒の割合を横軸に、各試験の平均点の合計を縦軸にプロットしています。
表2で40%以上の大学進学率を示したウエストバンクーバー学区やリッチモンド学区、バンクーバー学区、バーナビー学区のプロットは右上にきました。一方、表2で大学進学率が20%に満たないアボッツフォード学区とメープルリッジ学区が左下にきました。成績良い学区ほど習熟度も高く、理にかなった結果です。
以上から、3つの傾向が見て取れます。
バンクーバー市街地に近い学区ほど高校卒業率が高く、卒業試験の成績も高く、いわゆる総合研究型大学への進学率も高い(BC州以外に進学した生徒の割合はデータがありませんが、同様の傾向があると推測されます)
バンクーバー市街地に近い学区ほど費用が高い
バンクーバー市街地に近い学区はホームステイを学区として提供していない
費用は10ヶ月分の授業料とホームステイ代です。他にサマーコースの受講料やその間のホームステイ代なども必要となります。それらは10ヶ月分の授業料とホームステイ代が高い学区では、同じく高額になることも確認できます。
したがって、冒頭にあげた費用、高校卒業率、大学進学率、試験成績には互いに関係し合っていることから、結局のところ、”どの学区を選ぶかはバンクーバー市街地にできるだけ近い学区でいくらまでなら費用負担ができるか次第という結論になります”。
学区の治安を考える
治安の悪いエリアがあると言うだけでなく、校内が荒れている学校もあるようです。留学エージェントのホームページ等には載っていないことで、大学進学率などにも影響する重要な要素です。
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