マーケティングの道標をリファレンスしながら、歴史をひもとき未来を考える。そのゲートウェイとしての note です。
自己紹介と本記事の目的
こんにちは。ウェブマーケティングを支援するSaaS事業やeコマース支援事業を展開する株式会社フィードフォース/リワイアで働く、トラッドマーケティングおじさんです。23年末までは、業界でも定性調査に拘りがあると評判だった株式会社ドゥ・ハウス(24年から株式会社エクスクリエに社名変更)に新卒から23年間勤めていました。
「トラッドマーケティング」なんて言葉は一般的ではないのですが、現職でウェブマーケティングに触れるたびに、前職のドゥ・ハウスで携わってきた商品開発のためのリサーチや、店頭販促・クチコミプロモーションなどのマーケティングとは非なるものでいて、似ているもの。だと実感しているので、これまで実践してきたマーケティングを「トラディショナル」なものとして分けて置いていきます。
その上で、異なるものだけど本質は似ているトラッドなマーケティングを現在のマーケティング活動に活かしていくことが私の目標のひとつですし、本記事の目的でもあります。そのために、マーケティングの歴史をひもときながら、現在や未来のマーケティングを考えていこうと思っています。それらの道標として以下をリファレンスしながら進めていきます。
マーケティングの父「フィリップ・コトラー」が整理を続ける「マーケティングx.0」
株式会社ドゥ・ハウスで学んだ「聞く力」の数々(前述の通り社名変更があり、この辺りのノウハウ・メソッドが継承されない危惧もあるのでテキストに残していきたいという想いもあり)
ちょっと古いドキュメントになりますが、私の拙著「生活者の声から新商品アイデアを生み出す」
この試みを1つの記事で整理するのは難しいので、本記事をゲートウェイとして今後複数の記事をこの note で書いていくつもりです。ぼちぼちと進めていくので、気長にお付き合いください (^^)
フィリップ・コトラーの「マーケティング x.0」でひもとくマーケティングの歴史
マーケティング 1.0 ── 製品中心:4Pのマーケティング
マーケティングの歴史をひもとけば、それの成立からまだ日が浅いことを知ることになるでしょう。今からおよそ60年前にマーケティングというビジネスと学問がはじまります。その当時、まだ市場には足りていないモノがたくさんありました。そんな時代に生まれた最古のマーケティングモデルが、「ジェローム・マッカーシー」が提唱し、今でも多くの人に知られている「4P」です。その時代をフィリップ・コトラーはマーケティング 1.0 と位置付けています。
モノが行き渡っていない環境下では製品のそものが価値となるので、Product、Price、Place、Promotion の4つの「P」を考えて製品を世に出すことがマーケティングの目的でした。マーケティングが成立した当初は製品中心、顧客や生活者は不在のマーケティングが展開されていました。後日、こうしたマーケティング 1.0 の時代を振り返りつつ、顧客・生活者の声を「聞く力」の大切さや聞く技術について整理したいと思います。
マーケティング 2.0 ── 顧客中心:STPのマーケティング
4Pの時代、マーケティング 1.0 を経て、社会に製品が行き渡りました。足りないモノがなくなり、競合企業・商品との競争がはじまった時代がマーケティング 2.0 のタームです。
この時代のマーケティングを象徴するのが、コトラーが提唱したマーケティングモデル「STP理論」です。競合の競争がはじまった市場を、Segmentation、Targeting、Positioning することで新商品を投下する市場を決めることがマーケティングの目的となりました。STP理論は現在のマーケティングにおいても実践技術として活用されていますが、コトラー自身が「細分化を繰り返すことでその余地がなくなってしまった」とのちに振り返る理論でもあります。
こうしたSTP理論の限界と、それが限界を迎える背景となった企業の顧客に対する姿勢について、後日記事にまとめたいと思います。
マーケティング 3.0 ── 人間中心:SXのマーケティング
STPのマーケティングを経て、市場を細分化することが難しくなるぐらい顧客の欲求が満たされた時代に、マーケティング 3.0 のタームがはじまります。この時代になり、コトラーはようやく「人間中心」のマーケティングがはじまったと整理します。
私がドゥ・ハウスで商品開発マーケティングの最前線にいたのもこのタームであり、個人的な感触では市場を食い潰していくマーケティングが終わりを迎え「持続可能なマーケティングへの移行(Sustainability Transformation)」がはじまったという実感を経たタイミングでもあります。
繰り返しますが、顧客の大きな欲求がだいたい満たされた環境において、顧客自身も気づいていないけど、指摘されると確かに感じる小さな不満足までマーケティングの力で見つけ、解消することが目的となりました。後日、このタームで取り組まれた、顧客の深い理解のためのさまざまなマーケティングについて整理して記事にしていきます。
マーケティング 4.0 ── デジタル中心:DXのマーケティング
マーケティング 3.0 の潮流は継続されながら、企業と顧客の環境に大きな変化が訪れた時代がマーケティング 4.0 のタームです。インターネットの誕生後、ブログ・SNSが次々と大衆化し進化したこの時代に、社会は未だかつてない情報の洪水に満たされるようになりました。モノだけでなく、ジョウホウも消費しきれないくらい膨大になりました。
リアルとデジタル、アトムとビットを同時並行でマーケティングに活用せざるを得ない環境下で、顧客の体験価値にとって何が一番のベネフィットにつながるのかを考えるのがこの時代のマーケティングだと私なりに整理しています。この時代に取り組まれたこと、取り組んだことを後日まとめたいと思います。
マーケティング 5.0 ── 人間のためのテクノロジー
マーケティング 5.0 のはじまりは 2020年。Covid-19(新型コロナウィルス)が世界でパンデミックを引き起こし、冷戦以後続いてきたグローバル資本主義経済を分断した新しい10年期のはじまりの年です。
世界中の多くの人が、発展し続けるテクノロジーを背景に、持続可能な社会が進んでいくと感じていた時代に、テクノロジーの力では対処できない問題が起こり、緊密に連帯していた社会がロックダウンされたことが引き金となって、疫病や気候変動・格差社会などの存在していたけれど、それまで多くの人が目を背けていた社会課題が一気に社会の表側に浮き出てきました。
このタームで、マーケティングはその視点をひとつ上の段階に上げ、現状最適ではなく全体最適のためのドライバーになるべきだと私は想い至りました。未来を考え、より良い未来を創るためのマーケテイングの取り組みを考えて、まとめていきます。
だいぶ長大になりますが、この道標に沿ってマーケティングの歴史をひもとき、今と未来のマーケティングを考えて整理することで、本記事の最初で記した目標に到達できるのではと考えています。
繰り返しになりますが、ゆっくりと進めていきますのでよろしければお付き合いください ( :