自分なりの小説の企画書の書き方の備忘録
前書き&挨拶
どうも、はじめましての方ははじめまして。こんにちはの方はこんにちは。
普段は仕事でイラストや漫画を描いている、清水義鷹と申します。
趣味では一次創作(オリジナル)の同人誌とか作っています。
私の事に関する詳しい事はサイトの方を見て頂ければわかると思うので、名刺代わりにリンクをぺたり。
普段、企画書やプロットを立てて、17万文字越えの小説とかを普通に書いています(「個人製作なのに企画書って……」と思うと思いますが、あると便利です)。
最近、「小説とか書きたいのだけど、いつも最後まで書き切れない」「プロットの立て方が分からない」という方の話をよく聞いていたので、自分が小説を書く時にやっているノウハウって役に立つんじゃないかな?と思い、記事を書いています。
私自身、専門学校で漫画のストーリィとかの勉強はしましたが、小説については独学なので、あくまでも「自分はこうすると書きやすいよ」という一案にしかならないのですが、誰かのお役に立てましたら光栄です。
普段どんな小説を書いているのか?
私は普段、趣味でライトノベルを書いて創作オンリー(COMITIAとか関西コミティアとか)に出したりしています。
一般的な長編小説の分量が10万文字とか言われている中で、17万文字とか20万文字とか結構長めの小説を書いています。
(文庫サイズにすると確実に背幅2cmを超えます)
今はメインではライトノベルを書いていますが、元々はミステリを書いていました。ミステリといっても、新本格的なちょっとピーキーなやつです。
普段どういう手順で小説を書いているのか?
手順としては以下の通りです。
1.企画書を書く。
2.執筆する。
すっごくシンプルなんですが、手順にしちゃうとこんな感じですね。
企画書ってどういう風に書いているのか?
私の企画書はこんな感じです。
この作品は結局、第8稿まで企画書を書き直して、第5稿バージョンでゴーサインが出ました。
この第5稿の企画書の内容通りに書いているわけでは決してないですが(※理由はプロットに関する話題のところでわかるかと)、だいたいこんな感じですね。
ここからは、企画書にどんなことを書いているのかを解説していきたいと思います。
基本的にライトノベルを書く場合ですが、たぶんフォーマットを調整すればなんにでも使えるんじゃないかなぁ……。
自己流、企画書の書き方
フォーマットは電撃文庫の応募フォーマット(A4ヨコに文字数42×34行)で書いています。
(印刷した時、行間とかがいちばん見やすいので……)
タイトル案
読んで字のごとく、タイトルの案です。
自分はタイトルは最初に決めちゃう派なので、最初に決めます。決めないとなんだか落ち着かないので……そわそわしちゃうと、そのそわそわ具合が本編に出るような気がするので、ビシっと決めておきます。
書いてから決める派の方は、とりあえず仮タイトルでもいいからつけておいた方が、創作仲間に話す時に話しやすいと思います。
あと、タイトルが仮でもあったほうが「自分は今、『(タイトル)』の原稿を書いている!」という作家感が出て楽しい気がします。笑
投稿先/対象読者
私は公募には出したことがないのですが、投稿先がある場合はここに書いておきます。枚数や、フォーマットとかを失念した時に確認ができるので。
対象読者は、その作品をどんな読者が読むのか、ですね。
ふんわり決める場合(高校生くらいの男女~とか)と、かっちり決める場合(30代のファンタジーを読む女性~とか)があります。
私はふんわり決める場合が多いのですが、かっちり決めれば決めるほどその層に刺さる確率は高くなってくるので、ニッチなテーマのものを書く時にはかっちり決めた方がいいと思います。
(これまで見た企画書には、一点集中で「〇〇(実在の友人)さん」と書いてある場合もあったので、そういうのもアリだと思います。その場合、一般受けするかは微妙ですが)
参考作品(似た雰囲気の作品)
他の方が書いた企画書にはあまり見たことないんですが、私はこの項目は絶対書くようにしています。
というのも、なんとなく書いて既存の作品に似てしまうのを避けるためです。
似た雰囲気の作品をあげた上で「この作品からどうやってイメージを離すか」を考えます。
(でないと、私の場合は確実に既存の作品に引きずられるので。無意識で引きずられるのが一番やばいと思うので、どうやって離すのかめちゃくちゃ考えます。知恵熱が出そうになるほど)
例えば、「刀を使ったバトルもの」で自分が似ているなと思う作品が『BLEACH』だった場合、どうやって『BLEACH』から離すか考えます。
(和風じゃなくて洋風にする、現代じゃなくてSFにする、などなど……)
「どこが似ていて」「どこが違うのか」をしっかり意識すると、自分のオリジナルな作品になると思います。
ここをおぼろげにしていた場合、「パクり」とか呼ばれちゃうので企画書の中で一番がんばって考えている部分です。
もともと、発想として既存の作品を自分なりにアレンジする、というのはすごく面白くなる場合があるいい方法だと思います。
(『ワンピース』をアレンジして、「海賊の可愛い女の子が屈強な男たちを従えて冒険する」とか、なんか面白い作品ができそうですよね!)
描写ルール
一人称なのか、三人称なのか、描写のルールを決めておくところです。
あとは、描写によるギミックがあればここに書いておきます。
(ミステリで言う叙述トリック的な)
三人称でも、三人称神の視点なのかどうなのか……ということを決めておかないと大変なことになるので、描写の人称はちゃんと決めています。
物語を一言で表したキャッチコピー
「一言でどんな話なのか?」です。
これがはっきりしているほど、分かりやすい話になると思います。
できるだけ、余分なところをそぎ落として「どんな話なのか?」を考えます。
(『ワンピース』なら「主人公が海賊王を目指す話」だし、『鬼滅の刃』なら「鬼を退治する話」になるんだと思います)
ここを一言で言い表せないうちは、どんな話なのか自分でわかっていないので執筆のターンに行くのは控えています。
主人公の目的/それを阻む障害
主人公の目標(物語が終わる条件)と、それを阻む障害(敵)です。
これを決めないまま書いてしまうと、「一体、主人公は何のために戦ってるんだ……?」となってしまったりするので。
主人公の目的達成を阻む障害(敵)は、人間でなくてもいいと思います。
自然災害とか……その障害が大きければ大きいほど、ドラマは盛り上がるんじゃないかなと。
(あまりにも大きい障害を出すと、その解決方法をどうするかで悩んだりもしますが)
世界観
読んで字のごとく、その世界がどういう世界なのか、です。
あんまりくどくど書くと、小説を書く前に満足してしまうので適度に書いています。
用語集
特殊用語のまとめです。
あんまり特殊用語を出し過ぎると、自分でもよくわからなくなるのですが、特殊用語を出してこそのラノベ! という感じもしますので。
あと、この特殊用語リストは実際に小説を書いている時に「説明しなければならないリスト」にもなるので、作っておくと重宝します。
登場キャラクター
みんな大好き、キャラクター設定!
あんまりくどくど書くと、小説を書く前に満足してしまうので、適度に書いています。
私の場合、外見描写とか、内面の設定に加えて、環境の設定を決めておきます。この地点で決まっていることはたいてい書いておきます。
書いておかないと、忘れるので……笑
あと、主要キャラには「物語開始→終了までの変化」を決めます。
キャラが変わって行くその様が、物語のキモだと思うので。
プロット
みんな大好き、プロット!
プロットに関しては、「プロット書く派」と「書かない派」の方がいると思いますが、私は「だいたい決めておく派」です。
私の場合、小説は「脳内TRPG」なので、きっちり決めておくとアドリブが入らなくなっちゃって全然楽しくないんですよね……。
最低限、通過するイベントは決めておいて、キャラを配置して、はじめ!
という感じで書いているので。
まったく決めておかないとだらだら書いてしまうし、きっちり決めておくとアドリブきかなくてつまんないし……となるので、ある程度アドリブのきくように「最初のイベント」「中間のイベント」「最後のオチ」は考えて、合間はアドリブで埋めていく感じです。
その辺りは、TRPGのGMとかをやっていた経験があるからなのかもしれません。
知り合いの物書きの方は「きっちり決める派」で、会話の流れなども細かくプロットに書いていました。
(だから、プロットの段階で総文字数やら執筆ペースが決まる、という方でした。猛者かな……?)
そういうのもアリだと思います!(私は逆立ちしたってできないけど!笑)
それでも、「こうなってこうなってこうなる」という流れはきっちり決めます。
オチを考えないで書くと、最後まで完走できる確率ががくっと下がると思うので……。
執筆作業って樹海を彷徨うようなものだと思っているので、「地図(プロット)」があるのとないのでは全然違うと思います。
プロットを作るか作らないかというのは、作品ジャンルにもよって違うっぽいのですが、ことライトノベルとミステリに関しては作っておいた方がいいような気がしています。
企画書ができたら……人に見せるターン!
企画書ができたら、必ず人に見せます。見せまくってます。
一人で考えていると、視点が固まってしまって気づかない矛盾点とか、説明が足りていないところとかが絶対にあるので、人に見せるのはすごく大切だと思います。
最初は、誰彼構わず見せるのではなくて、創作仲間とかに見せるのがいいと思います。
見せられた相手があまり感想を言い慣れていない場合は「指摘ポイント」ばかり言ってくる傾向にあるので、ある程度気心知れた相手に見せるのがいいのではないかなぁ、と。
「指摘ポイント」も言ってくれて、なおかつ「いいねポイント」も言ってくれる方に見せた方が心が折れなくていいです。
小説を書く前に心が折れていたら、ぶっちゃけもったいないですし!
もしかしたら、その企画書から生まれる作品は傑作かもしれないのに!
慣れてきたら、家族や普段小説を読まない人にも見せてみるといいと思います。
意外と、そのジャンルを読む人にとっては当たり前の設定でも、全く読まない人にとってはわからない設定とかもあるので。
(余談ですが、私は母や祖母にも読んでもらうようにしていて、年代によってさまざまな感想が帰って来るので「へぇ~、勉強になる~」と思っています)
人に見せまくっていると、だんだん多少辛辣な感想がきても大丈夫な鋼のメンタルになってきます(たぶん)。
そんなに鋼のメンタルにもならなかった方、大丈夫です、企画書を作っただけで、十分すごいです(多分、普通の人あんまりやらないです)。
執筆のターン!
企画書ができていれば、自分の中で書きたいもののイメージが固まっていると思うので、意外とさらっと執筆できると思います。
私が企画書を作る、一番の目的は「自分の中のイメージを固めること」です。
脳内で考えてるだけでなく、一旦アウトプットして冷静になることで「ここ考えてなかったとこだ!」という気付きを得る、というのが一番大きな目的です。
自分の書きたいもののイメージって、わかってるようでわからないものなので。それを洗い出す作業が、企画書なんじゃないかなと思います。
おわりに
というわけで、自分なりの小説の企画書の書き方の備忘録でした。
私は一次創作大好きなので、世の中の書き手さんの発表する創作作品が増えればいいなぁ、といつも考えています。
「小説書きたいけど……」と思っている方に、少しでもこの記事が役立てばいいなと思います。
「創作は楽しいので、みんな、やればいいよぉ!」と声を高らかに叫びたいです。
しかし、生みの苦しみはそれなりにあります。
でも、それ以上に完成した時の喜びがあるから、創作ってやめられないんですよね。
それでは、また今度、「漫画こうやって描いてる」とかのノウハウもどきをアップするかもしれません。
私の書き残したものが、誰かの役に立ちますように……。
最後に、BOOTHのリンクをぺたり(宣伝か!笑)
漫画も描いてますので、よろしくです。