一番小さなカップ
トーシャ・シルバー著 「私を変えてください」より
トーシャがひいきにしているベトナム料理のレストランがある。初めて行ったときのことだ。
「お茶はいかかですか?」とウエイターに訊かれ、トーシャはお願いした。
ところがびっくりしたことに、彼が持ってきたのは特大サイズのポットと、親指より少し大きいくらいのなんとも小さなカップだった。
トーシャは「もっと大きなカップをいただけますか?」と訊いた。「でないと、永遠にここにいることになってしまうから」
彼は輝くばかりに微笑んだ。「じつは、それが目的なのです。私たち(ベトナム)の文化では、お茶は時間をかけるものです。もっとのんびりして、小さな一杯一杯を毎瞬楽しむものなのです。それからひとしずくずつ味わう。あなたかたの文化ではいつもあくせくとしている。私たちからすると違和感があります。とうぞゆっくりなさって、必要な時間をかけてください。お茶はそれを教えてくれます」
彼は愛情を込めて言ってくれた。トーシャも同意した。
最愛の神よ 私を変えてください。 この瞬間を、あるがまま余すところなく楽しめる者に。どうか急ぐのをやめ、余計な力を抜いて、今、この瞬間を受け入れられますように。
コーヒーくらい ゆっくり飲ませてくれよ って感じか。
「ゆっくりさせてくれよ」 って言ってるのは自分。「そんな時間ねぇよ」 ってせかすのも自分。
急いででる自分に気付いたら、「もうひとりの自分に意識を向ける」練習が必要だな。