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第一種衛生管理者所持者向け!3日間で済む衛生工学衛生管理者講習~受講申請・受講内容・免許申請まで~
はじめに
私は2022年6月14~16日の3日間、衛生工学衛生管理者講習を受講してきました。
この講習を受けるにあたりネット検索したところ、第一種衛生管理者を所有している者が
衛生工学衛生管理者を取得しようとすると4日間の講習を受けなければならないとの情報があり
3日間講習もあるという事の記載がありませんでしたので、下記において
私が受講した3日間講習について記しておこうと思います。
※保健師・薬剤師の資格により無試験で第一種衛生管理者免許を取得された方はこの講習を受ける事は出来ないようです。
受講前の私の状況
2022年3月30日 第一種衛生管理者 取得
どこで受講できるのか?
私の場合は東京都港区にある「関東安全衛生サービスセンター」で受講した。
他にも、北海道、東北、中部、近畿、中国四国、九州に安全衛生サービスセンターがあるので
そちらでも受講できると思われる。
受講料と受講科目、講習日数は?
区分が4つあり、それぞれによって受講料が異なる。
区分①理学士・工学士
学校教育法による大学又は高等専門学校において、工学又は理学に関する課程を修めて卒業した者もしくは
大学改革支援・学位授与機構により学士(工学又は理学)の学位を授与された者(当該課程を修めた者に限る)
受講料:132,000円
受講科目:1.労働基準法
2.労働安全衛生法
3.労働衛生工学に関する知識(実習含む)
4.職業性疾病の管理に関する知識
5.労働生理に関する知識
講習日数:5日間
区分②(第一種衛生管理者の方)
第一種衛生管理者免許試験に合格した者(保健師・薬剤師の資格による免許取得者は対象外)もしくは
学校教育法による大学において保健衛生に関する学科を専攻して卒業した者であって、労働衛生に関する講座又は科目を修めた者(指定された大学学科のみ)
受講料:99,000円
受講科目:1.労働衛生工学に関する知識(実習含む)
2.職業性疾病の管理に関する知識
講習日数:3日間
区分③労衛コンサル(保健衛生)
労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)に合格した者
受講料:79,000円
受講科目:1.労働基準法
2.労働衛生工学に関する知識(実習含む)
講習日数:3日間
区分④労衛コンサル(労衛)・作業環境
労働衛生コンサルタント試験(労働衛生工学)に合格した者もしくは
作業環境測定士となる資格を有する者(試験に合格又は試験免除された者で、指定の講習を修了した者)
受講料:53,900円
受講科目:1.労働基準法
2.職業性疾病の管理に関する知識
3.労働生理に関する知識
講習日数:2日間
定員は?
20名。
私が受講した時は14名の受講者がいた。
(内2名は安全衛生サービスセンターの職員であった。)
受講申し込み手続きは?
東京会場の場合は、関東労働安全サービスセンターのwebページに申し込み方法が記載されている。
webページ内の「詳細・申込書(PDF 820KB)」を印刷して
所持している第一種衛生管理者免許証の両面コピーを添え、以下の送付先へ送る。
〒105‐0014
東京都港区芝1‐15‐5
リオテック芝ビル5階 中災防 関東センター
※縦30㎜×24㎜の証明写真が1枚必要となる。
その後、申込み受付と共に講習料金の支払い用紙が手紙で届くので、指定の口座に振り込む。
振り込みが完了すると受講票、交通案内が送付されてくる。
労働衛生工学の実習は何をやるの?
局所排気装置の性能測定実習である。
囲い式フードの物と外付け式フードの物の運転状況をスモークテスターで確認した後、
開口面の吸引風速値を計測し、以下の値を計算によって求める。
スモークテスターはガラス管の物と電気式の2つがある。
1.囲い式フードの性能測定実習
囲い式フードの性能測定実習は開口面が全開の場合と半開の場合の2パターンを測定し計算する。
①制御風速Vc(単位:m/s)
②平均風速Vm(単位:m/s)
③排気量Q(単位:㎥/min) Q=60×開口面面積A×Vm
④補正係数k k=Vm/Vc
①~④を求めて
有機溶剤取扱い時の法定制御風速0.4m/s以上であるかと
ガス状特定化学物質取扱い時の法定制御風速0.5m/s以上であるかを確認し、
それ以上であれば「良」と記入、以下であれば「否」と記入する。
2.外付け式フードの性能測定実習
外付け式フードの性能測定実習はフランジ無しとフランジ有りの2パターン計測する。
吸引風速の値を測定した後、以下①②の値を求める。
①平均風速Vm(単位:m/s)
②排気量Q(単位:㎥/min) Q=60×開口面面積A×Vm
次に制御風速を測定(フードに向かう気流が0.5m/sになる位置)を求める。
風速測定機を用い、開口面から1㎝ずつ位置を後退させながら計測する。
私の時は、フランジ無しの場合10㎝、フランジ有りの場合11㎝であった。
→コロナ禍ゆえ講習会場のドアが全開だったので、結果が正しいかは怪しい。
配布物
局所排気・プッシュプル型換気装置及び空気清浄装置の標準設計と保守管理
1・2日目に使用するが、試験に出る重要ポイントは無い。
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やさしい局排設計教室
1・2日目に使用する副教材的な本。
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労働衛生のしおり
全日で使用するが、試験に出る重要ポイントは無い。
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衛生管理 上 第一種用
3日目の職業性疾病の管理で主に使用する。
職業性疾病の管理の重要ポイントは
講師の方が当日に配布するパワーポイントをまとめた冊子に記載がある。
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衛生工学衛生管理者講習資料
労働衛生工学に関する知識1~4の講習で表示されるパワーポイントが
まとめられている。試験の重要ポイントは全てここに記載されている。
1・2日目に使用する。
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職業性疾病の管理に関する知識の冊子
3日目に配布される。ここの内容が試験に出る。
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講習スケジュールは?
私の受講したスケジュールは以下の通り。
1日目・2日目 労働衛生工学1~4
3日目 職業性疾病の管理
2日目の最後に「労働衛生工学」の試験(試験時間50分、問題数20問)があり、
3日目の最後に「職業性疾病の管理」の試験(試験時間25分、問題数10問)があった。
「労働衛生工学」の試験では主に「局所排気装置」について出題される。
受講受付は午前8時30分~午前9時00分。
受講受付にて受講票に毎日、出席確認のハンコが押印されるので忘れぬよう気を付ける事。
具体的なスケジュールは以下参照。
【1日目】労働衛生工学1・2
08:30~09:00 受講受付
09:00~09:30 オリエンテーション
09:30~12:30 労働衛生工学に関する知識1(5分休憩2回)
12:30~13:30 休憩
13:30~14:15 労働衛生工学に関する知識1
14:15~18:30 労働衛生工学に関する知識2(5分休憩3回)
【2日目】労働衛生工学2~4
08:30~09:00 受講受付
09:00~10:45 労働衛生工学に関する知識2
09:45~10:50 5分休憩
10:50~12:30 労働衛生工学に関する知識(実習)
12:30~13:30 休憩
13:30~15:25 労働衛生工学に関する知識3(5分休憩1回)
15:25~16:50 労働衛生工学に関する知識4(5分休憩1回)
16:50~17:20 休憩及び自習
17:20~18:10 試験1(労働衛生工学)
【3日目】職業性疾病の管理
08:30~09:00 受講受付
09:00~12:15 職業性疾病の管理に関する知識(5分休憩2回)
12:15~13:15 休憩
13:15~16:30 職業性疾病の管理に関する知識(5分休憩3回)
16:30~17:00 休憩及び自習
17:00~17:25 試験2(職業性疾病の管理)
講習小話
ランチについて
私は講習中のランチや夜ご飯は会場近くにある「浜松屋食堂」でとっていました。
まるで孤独のグルメに出てくるようなレトロで良さげな定食屋で、
「こういうので良いんだよ」というような魅力的なメニュー。
以下に食べログのリンクを貼りますので、良かったら行ってみてください。
喫煙について
港区の条例により路上喫煙は禁止されています。
愛煙者の方々の為に、会場近くの喫煙スペースを記しておきます。
①ファミリーマート南山第一京浜芝点
会場から徒歩3~5分ほどで到着。
店内に独立した喫煙ルームあり。
ただ、喫煙ルームのみの利用は許可されていないので食後のコーヒーでも買って一服のお供にしませう。
②ドトール シーバンス ア・モール店
シーバンス ア・モールという複合商業施設内の1階にあるドトール。
店内に独立した喫煙ルーム有り。(喫煙ルーム内の飲食は禁止)
徒歩10分ほどかかる。昼休みのリーマンで喫煙ルームはパンッパンである。
しかしミラノサンドが食べられるので一考の価値有り。
③ホテルで吸うという案
私は講習中、会場から徒歩5分くらいのアパホテル〈三田駅前〉の喫煙可能室に宿泊していたので2日目の昼休みはホテルへ帰り、部屋の中で昼食をとって喫煙していた日もあった。
宿泊する場合はこれも良いかもしれない。
https://www.apahotel.com/hotel/syutoken/tokyo/mita-ekimae/
喫煙している私を見て友人は言いました。
『衛生管理者なんだから自分の体の衛生管理もしろよ。』と。
おっしゃる通り。しかし、ストレスがね・・・
たばこ税もお国の為になると思って納めてるしやな・・・(言い訳)
合格基準は?
「労働衛生工学」「職業性疾病の管理」試験の全体(30問)の正答率60%以上(18問)かつ
各々の科目の正答率50%以上。
なので最低「労働衛生工学」は10問、「職業性疾病の管理」は5問以上は正解しなければならない。
試験の概要と難易度は?
衛生管理者試験と同じく五者択一の選択式試験である。
講師の方が試験に出るであろう箇所は強調して説明してくれたり、マーカーでラインをひくようにと指示がある。
なので、居眠りをせず聞き漏らしの無いよう受講し、行き帰りの時間復習をすれば難しい試験では無い。
第一種衛生管理者の範囲+α程度の試験範囲であるので、所持者からすれば大した事は無い。
2日目の「労働衛生工学」試験では3問ほど計算問題があるので、電卓があった方が便利だ。
講師の方に言えば電卓を貸してくれるが、個数に限りがある為、持参した方が無難だ。
計算問題は何が出るの?
以下の様な問題が私が受講した時は出題された。
静圧を求める問題
1.フード入口①から吸引ダクトの途中のある点②までの圧力損失は300Paだった。
この点の速度圧は100Paだったが静圧はいくつか?
【参考】圧力損失=①の全圧-②の全圧
全圧=静圧+速度圧
圧力損失=(①の静圧+①の速度圧)-(②の静圧+②の速度圧)
①はフード入口なので 速度圧0 静圧0 全圧0
300=0-(静圧x+100)
静圧x=-100-300
静圧x=-400Pa
最小換気量を求める問題
2.トルエン(分子量92)を60%含有する塗料を1時間に5㎏消費する作業場で
トルエン蒸気の管理濃度20ppm以下にするための最小換気量は?
【参考】最小換気量=10^3×24.45×(物質の全量g×濃度%)/時間(分)×分子量×ppm
最小換気量=10^3×24.45×(5000×0.6)/60×92×20
=73,350,000/110400
=664.4㎥/min
速度圧を求める問題
3.ダクト内の平均風速が4m/sの時、ダクト内の速度圧はいくつか?
空気の密度は1.5㎏/㎥とする。
速度圧Pv=(空気密度/2)・平均風速V^2
Pv=(1.5/2)・4^2
=0.75×16
=12Pa
合否について
私が受講した時は、3日目の「職業性疾病の管理」の試験の記入が済んだ者から順次その場で採点され、合格者には即日で修了証が手渡された。
他の方々の受講記を拝見したところ、その場では合否は分からず、2週間後くらいにレターパックで修了証が届いた事例や、不合格だった場合に1週間後に電話連絡がくるとの情報もあった。その場合は無料で再講習を受講できるとの事。
免許申請について
修了証が手元に届いたら以下①~⑥を持参して自分の居住地の管轄の労働局(県ごとにある)の健康安全課へ行き免許申請を行う。
免許申請で必要な物
①衛生工学衛生管理者講習修了証(原本)
②免許申請書
下記の免許申請書関係の「免許申請書様式、所持免許申告欄様式」からダウンロード、印刷出来る。その他、労働基準監督署や労働局でも入手可能。第一種衛生管理者試験を受けた時に余分に貰っておくと楽。
記入は免許試験合格者等のための免許申請書等手続の手引きを参照願います。
③収入印紙1,500円分
→免許申請書の裏側に貼ります。郵便局で購入可能。
収入証紙では無く、収入印紙なのでお間違いなきよう。
収入印紙:国単位で発行されている印紙。
郵便局やコンビニ、旅券事務所で販売されているが、
コンビニには200円分の物しか無いので郵便局で購入する事。
労働安全衛生法による免許証の免許申請などで使用する。
収入証紙:県単位で発行されている証紙。
教習所や旅券事務所などで販売されており、
電気工事士免状や高圧ガス製造保安責任者免状などの
免許申請で使用する。
④返信用封筒
→この封筒で免許が簡易書留にて届く。
一般的な長形3号くらいの物で良いと思う。
⑤404円分の切手
→④の返信用封筒に貼っておく。
⑥所持している「労働安全衛生法による免許証」(原本)
→第一種衛生管理者を合格した時に送られてきた緑色の免許証。
免許申請の小技
免許申請時に提出する「衛生工学衛生管理者講習修了証」と「労働安全衛生法による免許証」の原本は何も言わないと回収されてしまう。
手元に残したい方は原本と共にそのコピー(免許証は裏表コピー)を持参し、原本証明を取ってもらい、それをもって免許申請すると修了証と免許証の原本を出さずに済む。
※免許証は穴開けされて返されます。