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連載中無料小説|紬(長編恋愛小説)

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バンド仲間の死を契機に投げやりな生活を送っていた桐山奈月。大学病院の口腔外科で歯科医師として勤務していたが、女癖の悪さから学生に手を出しクビになる。奈月は流れ着いた精神病院の歯科…
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#恋愛

無料連載小説|紬 16話 チェーンスモーク

奈月先生はいつ酸素を取り入れるんだろうか。煙を吸って、吐いて、また吸って。喋っていない時…

白瀬隆
1か月前
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無料連載小説|紬 17話 向日葵

翌日の午後、喫煙所のベンチに座り、ひたいの汗を拭いながら純露を舐めていた。他の人に話しか…

白瀬隆
1か月前
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無料連載小説|紬 18話 痛み

「奈月さんは私のことをどれくらい知ってるんですか?」 曇りの日は向日葵がどこか寂しそうに…

白瀬隆
1か月前
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無料連載小説|紬 20話 フラッシュバック

「私には双子の妹がいました。麻穂っていいます。すごく優しい子で、どちらかというと彼女がお…

白瀬隆
1か月前
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無料連載小説|紬 22話 帰院とギター

 月曜日、いつものように仕事を抜け出し喫煙所に向かった。仕事を抜け出し、というより煙草を…

白瀬隆
1か月前
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無料連載小説|紬 23話 安定

 アリス・イン・チェインズを口ずさむ女。俺にとっては理想的な女だ。その理想の女が喫煙所の…

白瀬隆
1か月前
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無料連載小説|紬 25話 コーヒー

「普通初めて女の子を連れて行くならスタバとかオシャレなカフェじゃないんですか?」 紬から苦情が出た。確かに俺が連れてきた一軒家カフェは崩れかけている。だがスタバもこの喫煙可能のせいで壁までヤニでベタついた店でも、出てくるのはコーヒーだ。  向日葵もすっかり枯れて撤去された頃、金曜の晩に京介さんと飲んでいたら、紬から電話がかかって来た。 「奈月さん、明日お休みですよね?もし嫌じゃなかったら…」 紬が言葉に詰まっている。力仕事の手伝いだろうか。一応俺も歯科医だ。指を酷使し

無料連載小説|紬 27話 指輪

 指輪が欲しいとねだった日、私は「がぼーる」とかいうブランドの直営店に連れていかれた。カ…

白瀬隆
1か月前
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無料連載小説|紬 29話 ジャガー

 マーシャルのギターアンプの前にあるボックス席に俺たちは座った。瓶ビールを2本、缶である…

白瀬隆
1か月前
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無料連載小説|紬 30話 復学と罵声

「奈月さん、今日は10月1日ですよ!!」 今何時だ?午前6時。戦争とかは8月頃に終わったはず…

白瀬隆
1か月前
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無料連載小説|紬 31話 狂気

「久しぶりっすね。京介さんは最近体動かしてますか?」 「お前ほど激しくないからなぁ」 俺た…

白瀬隆
1か月前
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無料連載小説|紬 32話 ライセンス

 歯科医師免許ってやつはどこまでも便利だ。警察の事情聴取では、ありのままに動機を話し、「…

白瀬隆
1か月前
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無料連載小説|紬 33話 ネックレス

 俺は紬をいつもの店に呼び出し、3人で話をしていた。 「もう絶対あんなことしないでくださ…

白瀬隆
1か月前
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無料連載小説|紬 34話 理事長室

 入職時はこぼれ落ちそうな笑顔の下膨れだった理事長が、玉ねぎみたいにササくれた下膨れになっている。これがへの字口か。確かにへの字だ。 「桐山先生、警察の方から話は聞きました。小川さんのために大学生に暴行を加えたんですか?わざわざご友人と、義憤に駆られて」 おっさん、真面目に生きてきたボンクラが怒ろうがへとも思えないんだよ。あんた命までは取れないだろう?あんたがズボンを下ろさない限り俺は大丈夫だ。 「ええ。その後紬とは付き合うことになりましたよ。クビになるのは分かっていますから