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詩集|歌詞になる前の短編集

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メロディに詩をのせるとき、物語を削っていきます。削られる前の物語を短編集にしてみました。 どんな演奏にのせるかは、ご自由に想像してください。出来上がった歌詞も載せません。曲をど…
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2024年10月の記事一覧

悲しみに暮れた夜に(詩)

悲しみに暮れた夜に(詩)

悲しみに暮れた夜には
チャーリーチャップリンに
会った方が いいぜ
彼は今もビルの陰で
乞食たちとバイオリンを弾いてる

その音を聞けば 君の悲しみを
そっと脱がせてくれるはずさ

君は部屋でうずくまってる
髪をといて早く外に出た方がいいね
耳をすませば聞こえる
街の喧騒にまぎれて

君の悲しみを 全部
僕に押し付けて くれないか
君の痛みを 全部
僕が食べて あげたいと思ってる

夜明けの海を

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オリジナル曲|虚ろな人

あの娘は脚がないから
綺麗な景色を知らない
だから伝えようとした
草原の夜明けを

桃色と紺が滲んで
風が抜けるのを映す
そいつを柵にもたれて
一人眺めてたのさと

あの娘はそれが嘘だと
知りながらキラキラと笑って
だけど本当はあまり
僕に興味はない

あの娘は耳がないから
愛の言葉を知らない
だからあの娘を抱きしめて
好きだよってつぶやく
この胸の震えが少しでも
あの娘に伝わればと
あの娘は僕の
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ベース・ギター(詩)

ベース・ギター(詩)

ミュージックマン・スティングレイ
恋人のセックスフレンドから買った
僕の黒いベース
7万円だった
それを手に入れた夜
悔しくて泣いた
だから今もレッチリが嫌いだ
フリーにもしも会えたなら
彼を殴り殺すんじゃないだろうか
いい迷惑だろうけど

結局僕がパンクバンドを組むことはなかった
今時パンクは流行らないって
その時周りにいた人たちは
ピアスだらけの僕を
指差して笑ってた
家に入り浸っていた売春婦

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独裁者の愛(詩)

独裁者の愛(詩)

ヘイトスピーチを掻き分け
夢に見た公園を目指す
赤いベンチには
幼い頃に恋をした彼女が座っている

罵声の中、僕たちが鐘を鳴らすと
誰もがファック・ユーと叫んだ

君が投げたブーケを手にしたのは
真紅のドレスを着た若い女
百合の花を引き裂き
僕たちに中指を立てている

今日の夕食は何にしようか
できれば君の料理が食べたい
オムレツみたいな簡単なものでいい
とにかく君が作ったものが食べたい

窓の外

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青空と静脈(詩)

青空と静脈(詩)

誰もいない美しい土地へ
いつか二人で行きたいと思ってた
途方に暮れた男と女に
逃げる先はそんな所しかないから

真夜中零時過ぎの並木通りにある宝石店へ
男はバッグにバール一つ入れて出て行った

航空券と小さなバッグを片手に
男と女はいつもの街を飛び出した
青空の下でサトウキビ畑が見たくて
そこで寄り添い二人で死にたくて

トラックの荷台で彼らは手を繋ぎ寝転んだ

僕のそばにいてほしいと泣いた男を

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エレクトリック(詩)

エレクトリック(詩)

ラジオから80年代のハードロックが流れた。
ディストーションはノイズみたいで、向日葵みたいに咲いた暴力。
つまり、どうでもいいんだ。

エレクトリックにしかない華がある。
言葉にするのは難しいから、チェ・ゲバラの写真にキスをしよう。

僕のことを分かってもらいたいかと聞かれたら、そうでもないねと答える。
今、自己愛と世界平和のために文字を書いている。
ジョン・レノンみたいにクソったれで、何がしたい

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二分間(詩)

二分間(詩)

ゴッドファーザーに憧れた男が背中を刺された。
最後の言葉はアイ・ラブ・ユー。
彼には愛する人なんていなかったのに。

刺した男は帰り道に想った。
愛しい売春婦。
今夜、君を助けに行く。

緑色の雨が降り始めた。
アスファルトが優しい色に染まる。
絵になる風景だけど、画家は気にも留めず通り過ぎた。

ライフ・イズ・ビューティフル。
チャップリンが街の片隅でバイオリンをひいている。
乞食たちは聴き入っ

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昼休み(詩)

昼休み(詩)

青空にまっすぐ伸びた飛行機雲をトンビがくぐりぬけた後、公園が爆発した。
ビアホールでラッキーストライクに夢中の人たちの中、髭の男は2杯目のビールを頼んでいる。

港に立った白い波はすぐに消えた。
船をゆったりと揺らして。

こんにちは

初老の紳士が泣いている女の子に声をかける。
女の子は彼に連れ去られた。

青空に流れ星がもう一つ。
さあ、次は君がさらわれる。