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血糖降下薬の話は産業革命から

糖尿病治療薬として最近よく見かける処方がSGLT2阻害薬です。
発売されてから数年たちますが、糖尿病治療薬としての立ち位置をしっかり確立しています。

SGLT(Sodium GLucose co-Transporter:ナトリウムグルコース共役輸送体)とは腎臓にあるトランスポーターです。
尿と一緒に排泄されてくる糖を、再吸収するためのシステムです。
糖を再吸収することで血糖値を維持し、体の機能(恒常性)を維持することができます。
腎臓にあるSGLTを阻害すれば血糖値をさげることができます。

今回の記事で私がとりあげたいのは、SGLT2阻害薬の名前の由来です。
必ず語尾に「〜フロジン」と付きます。
でもそこではない。
だいたいの血糖降下薬の名前には「グリ」という名前がついています。

たとえばSGLT2阻害薬でいえば「カナグリフロジン」や「イプラグリフロジン」などなど。
DPP-4阻害薬という種類の血糖降下薬もありますが、これらも「シタグリプチン」や「ビルダグリプチン」といった具合です。

今回はそこが気になったので調べてみました。
するとまたしても薬の壮大な歴史にふれることになってしまいました……

骨の折れる作業です。
でもこの作業をやることで、知識が定着しやすくなります。
自分の体験となるからです。

SGLT2阻害薬までたどりつくには、まずは産業革命までさかのぼらなければなりませんでした(白目)
じつは血糖降下薬の起源は産業革命時に大量に合成された染料にあったからです。

産業革命後は機械化が進み、効率よく織物が生産されるようになりました。
織物を染めるために大量の染料が必要となりました。
すると多くの化学会社が染料の合成に着手しはじめます。
当時は金もうけのために染料の合成が盛んに行われていたようです。

そしてドイツのバイエル社は染料のプロントジルに抗菌作用があることを見出しました。
これが人類が最初に手にした抗菌薬、サルファ剤です。
話はここからスタートします。

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