錠剤を砕いているときに考えていること
今日は施設専門の薬局で勤務でした。
1日中薬局の中にこもってひたすら調剤です。
外来患者なんて1日に2人くれば良い方です。
なので本当に工場の中でひたすら単調な作業を行うような薬局なのです。
施設の患者さんの多くは一包化の患者さんです。
ヒートのまま調剤して渡す人なんてほぼいません。
まれにいますが本当のごく稀です。
もちろん錠剤を粉砕することも多々あります。
嚥下に問題がある患者さんが多いのは事実で、粉砕指示の処方箋も多くあります。
施設の半分の患者が粉砕指示なんてこともありました。
ところで粉砕指示のある処方箋の調剤、つまり粉砕調剤は我々薬剤師の腕の見せどころと勝手に思っております。
なぜならば製剤学の考え方が必要になってくるからです。
粉砕調剤は製剤学の考えが重要になってくるのです。(個人的に)
たとえば錠剤を砕くために粉砕機に錠剤を入れます。
だいたいはミキサーみたいな粉砕機です。
錠剤をセットしたらあとは電源を入れると刃がまわるのでそれで錠剤が粉々になります。
ここで私は粉砕後の薬の安定性について考えます。
そして安定性を考える時にはだいたい熱力学の考え方を適応します。
ギブズの自由エネルギーです。
粉砕機を回せば回すほど錠剤は細く砕かれます。
細く砕かれた錠剤は粉状になり、表面積が増えます。
すると過剰な表面張力がはたらくためこれを解消するため表面積を小さくしようとします。
つまり粉同士が凝集しやすくなるのです。
粉同士が凝集しやすくなると分包機で分包するときにロスになります。
分包機の機械に付着しやすくなるため、想定した投与量にならないのです。
したがって粉砕機は回しすぎないようにします。
せいぜい私は2~3秒と決めています。
また表面積が増大すると湿気を吸う確率も高くなります。
とくに梅雨の時期は気を使います。
なのでなるべく錠剤はほどほどに粉砕と決めています。
また粉砕機は回せば回すほど、熱を発生しやすくなります。
熱が発生すると医薬品の主成分によっては融点が低い場合もあるため最悪の場合、分解反応が起こってしまいます。
主成分の分解が起こると治療に影響が起きるため、なるべく粉砕機から熱が発生しないように考慮します。
とまあこんな感じでいろいろ考えています。
他にもいろんなことを考えているのですが今日は眠たいのでこの辺にします。
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