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なぜビートルズは「偉大なる素人」と形容されたのか
なぜ「偉大なる素人」としてビートルズが形容されたのか?
それは彼らの音楽が伝統的な音楽理論に縛られず、その「自由さ」や「直感的な創造性」によって革新的な作品を生み出したからです。彼らの作曲法には、型にはまらない独特なアプローチがあり、それが多くのミュージシャンや音楽ファンを驚かせました。
既存の音楽理論に頼らない作曲法
ビートルズのメンバー(特にジョン・レノンとポール・マッカートニー)は、正式な音楽教育を受けておらず、クラシック音楽や高度な音楽理論を知らない状態で楽曲を作りました。しかし、その代わりに耳で感じたメロディや和音を基に、自分たちの感覚を信じて曲を作り上げました。
独創的なコード進行
伝統的な音楽の理論から外れたコード進行を取り入れることが多かったです。例えば「Michelle」では、予測できないコードの変化が曲の美しさを生み出しています。彼らは理論ではなく、感覚や偶然から生まれた進行を使用しました。
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自由なアイデアの融合
様々なジャンル(ロックンロール、クラシック、インド音楽、ブルースなど)を独自の方法で組み合わせ、ジャンルにとらわれない音楽を生み出しました。特にジョージ・ハリスンが取り入れたインド音楽(「Norwegian Wood」や「Within You Without You」など)は、西洋音楽との融合の象徴と言えます。後にラーガロックというジャンルの源流になりました。
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特徴的な作曲法
セッションとコラボレーション
ポール・マッカートニーとジョン・レノンが互いにアイデアを持ち寄り、即興的に作曲することが多く、例として「A Day in the Life」では、ジョンが暗い雰囲気の冒頭部分を、ポールが明るいミドルパートを提供し、それを繋ぎ合わせました。この即興的な発想が彼らの多様な曲調を生み出しました。そしてこの曲はビートルズ最高傑作として評価されています。
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収録アルバム
(Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band)
シンプルだが印象的なメロディ
ビートルズの曲はシンプルなメロディが多いですが、感情を強く揺さぶるものが特徴です。例えば、「Yesterday」のような曲は、一度聴いただけで記憶に残るメロディラインを持っています。
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録音技術を活かした実験的音楽
彼らはスタジオを作曲ツールとして活用しました。たとえば、「Strawberry Fields Forever」では、2つの別々のテイクを繋ぎ合わせたり逆回転テープやテープループなどの技術を駆使し、サウンドそのものを新しい表現手法として取り入れました。
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感情を重視した歌詞と曲調の一致
ビートルズは曲のテーマに合ったメロディやアレンジを重視しました。たとえば「Eleanor Rigby」は孤独や悲しみを描いた歌詞に合わせ、ストリングスアンサンブルのアレンジを取り入れています。
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「素人」の枠を超えた革新性
「素人」とは言いつつも、ビートルズはその感覚を頼りに、他のプロミュージシャンやプロデューサー(ジョージ・マーティンなど)の助けを借りながら、その才能を最大限に発揮しました。彼らの作曲法は、音楽を理論や伝統に閉じ込めるのではなく、感覚を尊重することの重要性を示した点で、多くのアーティストに影響を与え続けています。
このように、形式にとらわれない「素人らしさ」と、それを超えた創造性が、彼らを「偉大なる素人」と呼ばせた所以といえます。
そして彼らの作曲法は現在のお手本となっており影響を受けていないミュージシャンは居ないと言っても過言ではありません。次回はそんなビートルズの作曲法を紹介したいと思います。