小耳にはさんだ話
ミートスパゲッティに納豆をトッピングするとめちゃくちゃうまい、という話を小耳にはさんだのだが、本当だろうか。
この話を聞いて、すぐに試そうと近くのコンビニへ駆け込んだものの、ミートスパゲッティが売り切れていた。違うコンビニにはしごしたはいいけれど、そこにはミートスパゲッティも納豆もなかった。小粒納豆は売っていたが、ミートスパゲッティにのせる納豆はひきわりでなくてはいけないらしい。変に真面目なわたしはそこで小粒納豆には逃げたくなかった。
3軒目のコンビニ。一日でこれほどコンビニをはしごした日はない。またもやミートスパゲッティが売っていなかった。イライラする。イライラしすぎて泣きたくなる。ひきわり納豆はあった。だけど肝心のミートスパゲッティがない。だんだんミートスパゲッティが恨めしくなる。
ミートスパゲッティも、納豆も、だいすきなのに、その二つのアイテムが全く揃わない。悔しくてたまらない。スーパーに行けば揃いそうだけど、わたしはもう3軒目のコンビニでは、大好物のボンゴレビアンコを発見してしまい、そちらに逃げてしまった。なんと心の弱い人間なのだ。ボンゴレビアンコを食べたら「ボンゴレビアンコブーム」が来てしまい、いつの間にかミートスパゲッティと納豆をコラボして食べるミッションを忘れてしまっていた。
それから、長い長い長いときが経った。
最近、サイゼリヤで久しぶりにミートスパゲッティを食べて、やっと思い出した。半熟卵をトッピングしたのだが、ふと「あ、そういえば、わたしミートスパゲッティにひきわり納豆をトッピングしたいんだった」と記憶が蘇った。
サイゼリヤのミートスパゲッティはとてもおいしい。このミートスパゲッティに納豆をのせたら、ものすごくおいしくなるのではないか。ひきわり納豆を持ち込んでトッピングしたら怒られるだろうか?と思いつつも、一応わたしには一般常識もあるし、人目も気になるし、何より臆病だから納豆を持ち込んでもそれを出すこともなくサイゼリヤのミートスパゲッティにしっかりと向き合うだろう。
となれば、仕方ない。スーパーでひきわり納豆と冷凍のミートスパゲッティを買うか。もしくはミートソースのレトルトと乾燥スパゲッティ、そしてひきわり納豆を買うか。
いや、どうせ家でスパゲッティを茹でるなら、可能ならばモスバーガーのミートソースを使ってみたい。いままで食べたミートソースのなかではモスバーガーのミートソースが一番おいしい。無理だろうか。ミートソースだけ売ってもらうことはできないだろうか。でも、きっとモスバーガーの店内に入ってしまったら、わたしは大好物のモスチーズバーガーを注文して悦に浸るまま、ミートスパゲッティと納豆のことは一切忘れてしまうだろう。
だとすれば、スーパーで冷凍ミートスパゲッティと納豆を調達するのが現実的なのかもしれない。よく考えたら、レトルトを温めてスパゲッティをちょうどいい固さに茹でるのさえ、いまはちょっと面倒くさい。冷凍のミートスパゲッティならレンジでチンして、ひきわり納豆をトッピングするだけですぐに食べられる。
コンビニにも冷凍されたミートスパゲッティは売っているが、ミートスパゲッティに関してはもうコンビニを信じない。もうあんな想いはしたくない。
明日こそ、絶対にミートスパゲッティにひきわり納豆をトッピングしてやる。そして、ミートソースにひきわり納豆をよく絡ませたら。あああ。うわあ。どんな味がするんだろう。