ハレとケを体感し、Footballが身近な存在となった2010年
この話は3大会も前、2010年の南アフリカW杯へと遡る。
当時、横浜の大学へ通っていた僕は、モヤモヤした学生生活を過ごす中で「楽しいけど生ぬるい環境を変える必要があるなぁ」と思い留学を決意。観光マーケティングや地方分権に関心を持っていたため、スペインを留学先の候補に挙げた。
というのは、それっぽい後付け理由。留学するとしたら、僕には最初からスペインの選択肢しかなかった。大好きなアトレティコ・マドリードの試合を現地で観たかったから、そして、文化としてのfootballに触れてみたかったからである。
高校生からサッカー観戦にハマったものの、元野球部でサッカー経験はゼロ。サッカー不毛の田舎に生まれ育ったこともあり、身近なクラブもなかった。欧州サッカーに関する情報量はすごいけど、なんとなくサッカー知っている風の自分に対して、頭でっかちやなというコンプレックスを持っていた。
だからこそ、Footballを日々感じる生活をしてみたいなと思っていた。それを実現できるのは、このタイミングでのスペイン留学だけであった。
どちらかと言えば苦学生でスペイン語もさっぱりであったため、マドリードやバルセロナではなく、レオン大学という地方で留学生が行きやすい場所を選んだ。でも、”Football文化”という面については全く問題はなかった。バルへ行けばサッカー中継が流れている。各国から来る留学生たちと各国・推しクラブのユニを来てフットサルをする。(最初1ヶ月お世話になった)ホームステイ先のパパは奇遇にもアトレティで、試合がある日はワインを飲みながら一緒にテレビ観戦をする。三部相当に所属する「クルトゥラル・レオネサ」というチームもあった。… そうここはスペイン。”文化・生活としてのFootball”を感じる日々を過ごすことができた。
そしてやってきた南アフリカワールドカップ。
開幕に向けて盛り上がってきた頃に僕は気付く。南アフリカには行けないけれども、もしかしたら優勝する瞬間を、その国で体感できるのではないか…と。スペインが優勝するのではないか…と。
※スペインには国がいくつも存在するので代表に思い入れない、とか、カタルーニャの人は代表を応援しないとも言われていますが、このW杯くらいからは比較的、スペイン全土で応援されてきたと現地の人も言ってました。
2010年7月11日、決勝戦は、もはやバルなのかどうかも定かじゃないとにかく野外で留学生や地元の人たちと一緒に観ていた。116分にその時が来る。トーレスのふわりと浮かせたパスのこぼれ球をセスク・ファブレガスが拾いイニエスタへパスを出す。そして、ワントラップからボレーシュート。ゴールが決まった瞬間、だれ彼構わずみんなとハグしてハイタッチして大騒ぎ。そして120分が過ぎ、僕はスペイン代表がW杯で優勝する瞬間にスペインで立ち会うことができた。興奮であんまり良く覚えてないけど、とにかく深夜にみんなで街中を練り歩いて優勝を噛み締めていた。
二度と経験ができないかもしれない”ハレ”の日は最高やった。けれど"ケ"のFootballが根付いていたからこそ、それを数ヶ月だけやけど感じてきたからこそ、優勝の瞬間がよく心に残っているような気がしている。
現在、サッカー関係の仕事はしていないけど、地域の文脈を大事にしたまちづくりや新しく文化を築いていくような取り組みに関わり続けている。これはFootballを通じて、スペインで感じたことを大切にできているからやと思っている。
今もアトレティコ・マドリードの試合はDAZNで観ながら(2017年にはスタジアムにも行った)、2014年から石川県に住んでいたこともあって定期的に西部緑地公園陸上競技場へと足を運んでいる。ツエーゲンのJ1昇格そして、多様な文化を生み出してきた金沢という街にFootballという新しい文化が定着するのを楽しみにしながら。
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