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#2 「初めての反抗」 松井愛莉

スタッフからの電話。

「竜秋さーん、ネタできたんですか?」
「いや、まだですけど、、?」
「早くしてくださいね」

ん?なんか後ろから声が聞こえる。
相方の萌だ。

なにしてるんだこいつら。

「あれ?今どこにいる?」
「どこって萌ちゃんとカラオケですけど」

人は必死でネタ書いてんのにお前らはカラオケかよ、、、、、!

僕は思わずネタ帳を放り投げて、
ノートを取りだした。


このノートに妄想を書いている時だけは
嫌な事は一切考えない!
現実逃避は最高で最強だ!
逃げろ!とにかく逃げるんだ!
妄想の世界へ!そう!ぼくの世界へ!
さぁ、今回僕の脳内で
好き放題されるヒロインは!!!


松井愛莉!お前だ!




「ねぇ!!!起きて!竜秋!」

「わっ!?!?!」

俺は、急な勢いで起こされた。

「おはよう。睡眠学習は出来たかね?」

70過ぎの古文の教師、石川が立っていた。

「あ…はい、すいません」

横でくすくすと愛莉が笑っている。

「なんだよお前」

「だって面白くて(笑)」

「起こせよ!気づいてるんだったら!」

「だって面白いもん!(笑)」

こいつは俺の幼なじみで大親友の女友達。
松井愛莉。愛莉とは保育園の頃からの
幼なじみで小中高と一緒だ。

「あ、今日たぶっちゃんの店に集合ね」

「え?なんで?」

「は!夏菜子の誕プレ買いに行くって決めてたじゃん!」

あ、そうだった。完全に忘れてた。
夏菜子の18歳の誕生日。
こうやってみんなで遊ぶことも無くなるのかな。
そう思うと、ちょっとだけ寂しい気もする。

そして、放課後。
俺と、愛莉は近所のショッピングモールに
夏菜子の誕プレを買いに行った。

愛莉は昔から俺が言うことに反対したことは無い。全て俺の事を頼ってくれる。

「竜秋、こっちとこっちどっちがいい?」

「左!」

「おっけ!こっちにしよ!」

本当に愛莉は、昔から俺の意見に反対したことがない。
というか、反抗したことすらない。
全部俺の言うことやりたいことを全部聞いてくれる。
しかも、文句もなしに全部聞いてくれる。

「ねぇ!喉乾いた!スタバ行こ!」

「うん、いいよ」

スタバに行ってもそうだ。

「竜秋、何飲む?」

「ダークモカチップフラペチーノ」

「OK!ふたりでひとつでいいでしょ?」

「うん」

こんなの毎回だ。
俺の好きなやつで毎回いい。って言ってくれる。
1回も違うのが飲みたいとか、違う遊びがしたいとか言われたことない。

「なぁ、お前さ好きなの飲んでいいよ」

「え?」

「いや、毎回俺の好みに合わせてくれるからさ」

「違うよ、私も好きだもん、好みが似てるんだよ」

「そうならいいけど」

やっぱり、愛莉は反抗しない。
俺は、愛莉に反抗して欲しいと思っていた。

「ねぇ、竜秋写真撮ろ!」

「やだよ、お前俺が写真嫌いなこと知ってんだろ。」

「やだ!撮ろ!」


あ、初めてだ。愛莉が俺に反抗した。
出会って今まで1回も反抗したことないのに
というか、愛莉は、俺が写真を撮られるのが嫌いなことは知っていたはず。
なのに、反抗した。

俺は嬉しくなって、写真を撮った。
愛莉は嬉しそうに

「初めてだ!」と喜んだ。

その帰り道、愛莉は俺にこんなことを聞いてきた。

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