暗い顔をするよりも、ハハハと笑えれば。
入院前に、母と姉がこちらに来ることが決まった後日談。
実家と私の家は、1200キロほど離れている。
ちなみに、東京駅から「日本最北端の地の碑」がある北海道・宗谷岬までの距離が、約1200キロらしい(Googleマップ調べ)。
我ながら、ずいぶん遠くに来たもんだ。
母と姉が家に遊びに来たのは、10年以上前のことだ。
その間に、私はマンションを購入したので、いつか遊びにおいでよとしきりに言っていた。
私の入院によって、奇しくもそれが叶ったことになる。
私の暮らす街は、観光名所もたくさんあるし、自然の多いエリアにもアクセスしやすく、本当に良い場所だ。
だから、私の入院に伴って来ることにはなったけれど、母と姉にはできるだけ楽しんでほしい。
実家(わりと田舎)の辺りにはないようなおいしいものを、たくさん味わってほしい。
そんな思いで、おいしいお店をあれこれメッセージで送っていた。
私の入院中、母が困らないように、自宅界隈のグルメマップも作っておいた。
姉は姉で、せっかくの遠出だからと母を連れ出し、洋服やバッグを見立ててくれていた。
そんなことをしているうちに、私が腎細胞ガンだとわかってからたくさん泣いていた母だったけれど…
もちろん、母の心の中にはいろいろな気持ちが渦巻いていると思うけれど、少しでも楽しいと思ってほしいのだ。
何年後かに、「入院するからRyuのところに行ったのに、旅行みたいになっちゃったよね」って一緒に笑いあいたいのだ。
人生には、本当にいろいろなことが起きる。
涙が止まらなかったり、「私の感情は死んだんか?」ってくらい無になってしまう時だってある。
でも、いつか人生のゴールテープを切るその日まで、暗い顔をするよりも、たくさん笑って過ごしたいと思う。
そんなことを考えていたら、ウルフルズの『笑えれば』を聴きたくなった。
「母とハハハと笑えれば」…などとくだらないことを思いついたところで、今日は筆を置こうと思う。