エピソード③：戦国最強の武将、最弱の死因

戦国時代、日本全国の武将たちは生きるか死ぬかの戦場でしのぎを削りました。その中でも「最強」と称えられた男がいます。天下の名将・上杉謙信です。しかし、彼の死因を聞くと、その「強さ」とのギャップに驚くことでしょう。

上杉謙信は、生涯にわたり幾度となく戦に勝利し、軍神とも呼ばれた武将です。彼は戦国最強の騎馬軍団を率い、ライバル武田信玄と何度も激戦を繰り広げました。「越後の龍」と恐れられた謙信は、敵軍を蹴散らすその強さゆえに、「戦場で討ち取られることは決してない」とまで言われていました。

しかし、彼の最期は、戦場ではなく、なんとも意外な場所で迎えます。

天正6年（1578年）、上杉謙信は新たな戦いに向け、出陣の準備を進めていました。天下統一の野望を抱き、いよいよ決戦の時を迎えようとしていたのです。そんなある日、彼は突然、トイレで倒れました。

そう、彼の死因は「トイレでの発作」だったのです。

最強の武将が戦場ではなく、便所で崩れ落ちる。これはあまりにも衝撃的な出来事でした。当時の記録によると、謙信は激しい胃痛を訴えた後、倒れ、そのまま息を引き取ったとされています。現代の医学で考えれば、脳卒中や心臓発作だった可能性が高いでしょう。

その死は、後世の人々に「いくら強くても、人間はあっけなく死ぬものだ」ということを教えてくれます。戦場で命を散らすことを覚悟していた武将が、まさかトイレで最期を迎えるとは誰が想像したでしょうか。

これにより、上杉家は後継者争いに突入し、やがて勢力を衰退させていきます。もし謙信がもう少し長生きしていたら、日本の歴史はどう変わっていたのか？ そんな「歴史のもしも」に思いを馳せずにはいられません。

戦国時代を生き抜いた最強の武将が迎えた、まさかの最期——これこそが、歴史の面白さなのではないでしょうか。