経口第3世代セフェムは効かない意味のない薬か?

経口第3世代セフェムは、吸収が悪くて血中濃度が上がらないから全く効かない意味のない薬だと言う方が、かなり、感染症に関して意識の高い方々の中にいらっしゃいます。推察するに、1)実際にさんざん使って全然効かなかったか?2)開業の先生から紹介された肺炎患者さんが経口3世代セフェムを飲んでることが多いのでそう感じられたか?3)あるいは、血中濃度のデータだけ見て、臨床効果、細菌学的効果のデータは信じるに値しないと評価されているか?のいづれかと、推察します。
結論から言うと経口第3世代はセフェムは使い方を誤らなければ効くし、誤れば効かない、と言うのが、私の臨床経験と、薬理、臨床データからの結論です。
経口第3世代セフェムは腸管から吸収が劣るだけに、起炎菌ごとのMIC, MBCと感染のフォーカスが効いてきます。メイアクトCDTR-PIは2錠(200mg)飲ませてCmaxが3ug/mL程度、10%が喀痰に移行して喀痰中濃度は0.3ug/mL, MICからみると肺炎球菌でかつかつ、H.influenzaeならかたいところです。肺炎に対する治験が論文化されたのが1992年なので、まだ、PRSPも、BLNARも問題になっていない頃の話しですから、今はもっと有用性が高まっています。小児の扁桃炎に関しては、溶連菌の除菌率は意外にもAMPCよりのメイアクトCDTR-PIの方が優っていました。
メイアクト、軽症肺炎ならいけますが、起炎菌とその人の全身的and/or局所的免疫力に依存します。Streptococcus属に、わるくはない、BLNAR H.influenzae には切れ味良いし、口腔内グラム陰性嫌気性菌にもそこそこいけます。
フロモックスCFPN-PIは最初よく効いたけど、売れ過ぎて、切れ味が落ちたので使わなくなリました。でも、尿中濃度は上がるので、緑膿菌以外の尿路感染には良いですよ。
尿路感染、感受性の大腸菌なら、ケフラールやオーグメンチンでいけるけど、ESBLが20%となると悩みますね。最近は、尿路は大腸菌狙いなら、セフェムと系統違うけど、ホスミシンFOM出すことが多いかしら。真面目に1g t.i.dで出すと、下痢する人がいるので、500mg t.i.dにしてもまあいけます。
セフゾンCFDNを気道感染に使うことは、まずありません。S.aureusの飛び火で、AMPCがダメな時は悪くないです。MRSAは無論ダメですけどね。
幸い、日本ではTMP/SMZ:ST合剤が使われることが少ないので、MRSA, Corynebacteriunにかなり感受性が残っています、定石としては、 ST+RFPのCombinationで使うことが多いです。
ST合剤は奥の手にとっておきたい、と言うのが本音です、
本題から逸れますが、口腔内連鎖球菌と口腔内グラム陰性嫌気性菌の混合感染の誤嚥性肺炎・肺化膿症、理論的にはサワシリン+フラジールでいいはずで、実際効くんだけど、患者さんの胃がもちません

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