第22節 サガン鳥栖戦 レビュー
気候やピッチコンディションには恵まれた試合だったが、結果には恵まれなかった。
90分間ほとんど自分たちのペースで試合を進め、放ったシュートは25本。鳥栖が放ったシュートは2本でその差は23本と圧倒的に攻めていたというのが数字から読み取れる。
しかし、『サッカーは点を取らないと勝てない。』(谷口彰悟)
次に控える首位広島戦に切り替えて備えて欲しいところだ。
さて、今回のラインナップはこちら。
①『決めたら終わりの試合だった。他に喋ることがないぐらい。』(中村憲剛)攻め立てても決まらなかった得点。改善しなければならない”質”。
②融合していく齋藤学。そして『途中から出た選手それぞれチャンスがあった』と鈴木雄斗が振り返る確かな自信。
では。
①『決めたら終わりの試合だった。他に喋ることがないぐらい。』(中村憲剛)攻め立てても決まらなかった得点。改善しなければならない”質”。
サブタイトルの中村の言葉が物語るようにこの試合のフロンターレの決定力は少しひどいものがあった。
攻撃の仕方で言えば、多種多様に崩せていた。それは選手同士の組み立て方からもはっきり読み取れたが、それ以上に鳥栖の守備が明確な意図を持ってこの試合に挑んできた。
そこの部分をどうこじ開けていくのかというところで中々思うように行かなかった試合であった。
『相手も引いて守っていてなかなか難しい状況だと思っていた。』(鈴木雄斗)
そこの部分とは、【相手が引いている】である。
引く相手には比較的チームとしても抗体を持っている。ただ、得点が奪えなかった。
全体のシュート数は25本と多かったが、枠内シュートは9本。そういった部分で中村は『GKが当たっていたというよりは、自分たちが外していたというほうが正確。』と振り返る。
枠内シュートの割合は36%。崩せていない場合は話が少し異なるが今回は、自分たちが試合をコントロールしていて崩せているという状態であった。
『ゴール前のフィニッシュ以外の部分ではチャンスを多く作れていたし、ネガティブになる必要はない。ゴール前の落ち着き、おもいきりのどちらかがあれば決まっていたと思う。』(阿部浩之)
ワンタッチで繋いだり、ワンツーを狙ったりなど、この試合での崩し方は多彩であったがやはり、決めきらなくてはならない。
一番チームとして、してはならない負け方はチャンスも何も構築できず負けることである。その点で言えば、阿部の言う通り嫌な引き分けでなかった。
相手がカウンターを狙っているのであれば、攻め急ぐ必要はない。ただ、攻めに行く部分で守田は次のように述べている。
『ビルドアップのところで手間をかけすぎて攻撃が遅くなってしまうことだったりがあった。』
最終ラインでの組み立てに時間をかけるのはいいが、少し持ち運んだ際に、鳥栖のようなディフェンスをされてしまっていると中々、中央を打開することが出来ない。
そう言う意味で、この試合ではカウンターなどを織り交ぜるタイミングなどをチームとして増やしていきたかったところであった。
ただ、チームのやりたい事が共通認識としてわかっていたとしても、最終的に必要になってくるのは『自分たちのクオリティ』(谷口彰悟)。
数少ないチャンスをモノにしていかなければ連覇は難しくなってしまいかねない。だからこそ、その中で『良かった部分は続けていく』(家長昭博)のが最も正しい判断であることは間違いない。
②融合していく齋藤学。そして『途中から出た選手それぞれチャンスがあった』と鈴木雄斗が振り返る確かな自信。
81分に中村憲剛と代わって投入された齋藤。
1人でプレーする事ができる選手なのでかなりこのサッカーでの適応が難しいと思われているが、この試合は加入後で一番良かったのではないか。
86分にはエリア内でシュートを放ったが、これはポスト左に外れてしまった。
それでも、仕掛ける姿勢から中に当てるなど今までの齋藤とは又違ったプレーをしていた。
本人も『今まではなかなかチャンスに絡むことができていなかった。ただ、カットインしてシュートしたりした。』と手応えを感じていた。
齋藤はマリノスで10番を背負い、キャプテンマークを巻いていた選手だ。そして、日本代表にも選ばれている。そんな選手に期待しない人などいないだろう。
様々なことを言われているが、それは齋藤に対する期待値が高いということだ。
かつていたレナトは圧倒的なドリブルを武器にたった1人で試合を決めていた。ただ、齋藤には【自分も味方も生かして】という課題がある。
このチームに来た以上はこのサッカーで齋藤には生きて欲しいというところだ。
鬼木監督はその齋藤に対して『少し小さい怪我があった』ということ述べた後、『多少迷いがあった時期もありましたけど、今それはかなり吹っ切れて自分らしさを出してくれていると思います』と今現在の齋藤についてこう述べていた。
この試合では齋藤、鈴木、知念が途中交代で入って来た。
試合を見ていればわかるが途中交代で入って来た選手全員に『チャンスがあった』(鈴木雄斗)
特に鈴木は多くチャンスを作っていた。ただ、決めなければ勝つ事ができない。
夏場は気象条件や連戦などが多くなってくるため、より一層サブの選手の力が必要になってくる。
『僕たちみたいな選手が一発取って勝負を決めるようなチームになりたい。』と鈴木が言ったこの一言はとても強い決心が読み取れる。
まだ、8月も半分が終わったばかり。
これからの選手たちの【総合力】に期待したい。
(RYUJI.I)
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