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第16節 北海道コンサドーレ札幌戦 レビュー
再開後、波に乗るためにも勝利が必須だった上位対決を制した川崎だったが、『3点目が取れていれば』と中村が言うように試合を決定づける”3点目”が中々決まらなかった。結果論だが、後半ロスタイムに都倉にゴールネットを揺らされ1点差に迫られてしまった。勝てたから良かったもののこれが引き分けになってしまっていたとするとやはり、”3点目”と言うモノがこの試合においていかに重要であったかを物語っている。
では、今回は2つに分けて解説していく。
<目次>
①『プレッシャーをかける場面とブロックを作る場面の使い分けは、縦の関係で常に声をかけ合っていた。』(谷口彰悟)”行く”時と”行かない”時のメリハリをしっかりと出せたこの試合。夏場のゲームをする上で大切になってくることとは。
**②『相手は人に来る守備だったので、スペースは空いていた。そこに顔を出してくれる前線の選手がいたら、そこにボールをつけること。そこからワンツーをうまくやれれば、リズムは出ると思っていた。』(大島僚太)『相手はマンツーマンで来ていたので、当てて入っていく動きがポイントになっていた。』(中村憲剛)
中盤の2人が語る「剥がす」大切さ。そして君臨した「なんでも屋 」守田英正。
以上の2つに分けていく。
①『プレッシャーをかける場面とブロックを作る場面の使い分けは、縦の関係で常に声をかけ合っていた。』(谷口彰悟)”行く”時と”行かない”時のメリハリをしっかりと出せたこの試合。夏場のゲームをする上で大切になってくることとは。
気温が本州より低いということもあったが、先日の天皇杯を除けば久しぶりのJリーグということで選手たちも最初から飛ばしているわけでなかった。なので、”出方次第”という状況が続いたが、札幌側が中々プレスをかけてこなかったのでそうすればペースはこちらが握れる。狭いエリアでのパスはもちろんのこと、サイドに空いたスペースを有効的に使ってワイドに試合を進めていた。
その中でクローズアップするのはプレスのタイミングだ。谷口のインタビューの通り、この試合では非常にメリハリがついた守備をしていた。この”メリハリ”が夏場を迎えるにあたり非常に鍵になってくる。鬼木監督は球際への守備を強調している。なので、ロストした後の切り替えが今の川崎の守備の耐久力を物語っていると言っても過言ではない。
この試合の支配率は、川崎が55%で札幌が45%であった。互いにスタイルという部分で言えば類似しているところがあるが、実際にはこちらが主導権を握っていたので相手が後ろで組み立てるシーンは少なかった。
その中で、相手に持たれた時の場合である。ディフェンスラインのビルドアップ時にはハメる形で待機したり、あるいは意図的に縦に付けさせた時に奪うという形もあった。これを長い時間続けることは物理的に不可能だが、小刻みに繰り返すことで平均的な精度は上がってくる。
そして、ボールを奪ってしまえばまたこちらの攻撃になるのでそうすれば中々奪われない。攻撃のための守備を忠実に体現しているのではないだろうか。鬼木監督を中断期間に取り組んできたことについては『守備のところで、力強くいくところ、前から行くところとしっかり構えるところと、そういう使い分けが徐々に出来てきたと思います。』と手応えを口にしていた。
今シーズン流れの中での失点は少ないが、セットプレーからの失点は非常に多い。セットプレーを与えないためにも前から奪うことは鍵になり、失点の予防には特効薬になるだろう。
札幌はウィングバックを含めサイドを使って真ん中で仕留めようとしてきていたため『自分たちのサイドハーフが下げらなくてはいけない場面が出てくる。そこでなるべく下がらないようにボールを奪えるようにするイメージはしていた。』(大島僚太)。チーム全体としてカウンターのケアは出来ていたが、当然奪いきれない場面も出てくる。クロスを入れられる場面もあったが、守備陣一丸となって守り抜いた。クロスを入れられてしまえば、高さをストロングポイントとしているチームにはやられてしまう。
いかに、サイドの攻防を勝ち切るかも90分を通しての課題になってくる。まずは、サイドに入れさせないということ。そのためには前からの守備を徹底的にやり続けなくてはならないだろう。
②『相手は人に来る守備だったので、スペースは空いていた。そこに顔を出してくれる前線の選手がいたら、そこにボールをつけること。そこからワンツーをうまくやれれば、リズムは出ると思っていた。』(大島僚太)『相手はマンツーマンで来ていたので、当てて入っていく動きがポイントになっていた。』(中村憲剛)
中盤の2人が語る「剥がす」大切さ。そして君臨した「なんでも屋 」守田英正。
まず、特筆すべきは守田のパフォーマンスだろう。誰が見ても文句なしの存在感だった。このレビューを始めてからまだ2回ほどしか書いていないが、何度守田の名前を出したことか。彼のストロングポイントである球際の強さはこの試合でも目立っていて、カウンター時などには有効になった。また、彼は裁くことができる。パッと見のプレーは大島に似たようなプレーを何度も披露した。小林のゴールをアシストしたが、あの場面でも恐れずに自然と小林に付けることができた。『アシストできたのは、自分の中ではホッとしている。』(守田英正)とアシストという結果に満足していた。
エドゥアルド・ネットが移籍してスタメン座をほぼ手に入れることができた守田だが、この試合でのボランチコンビの出来を次のように言っていた。
『中盤はほぼ自分たちのペースでサッカーがやれたし、僕とリョウタくん(大島僚太)でうまくスペースを共有できた。』
このサッカーはボランチが最重要であり、ボランチが崩れてしまえば川崎のサッカーではなくなってしまいかねないレベルである。そういった中で、大島・守田のコンビはかなり相性が良いと言える。エドゥアルド・ネットとはまた違っていて、守田は細かいドリブルとパスで相手の守備陣形を崩すことができる。森谷や下田といった経験豊富な選手たちがいるなかでルーキーながらその気配すら感じさせない守田がスタメンに君臨している理由だろう。そして、守田は様々な仕事をこなしている。ボールの回収や潰し、そして裁く。中々の量のタスクだがそれを淡々とこなす姿はまさに「なんでも屋」である。
攻撃時に関しては解説が頻繁に言っていた通り、スペースが多く空いていた。それは『相手は人に来る守備だった』(大島僚太)からである。実際に、中盤で展開している際には両サイドが広く空いていたのでゲームの作り方としてもワイドに作れることができた。サイドに持ち込んでからは狭いエリアでの崩しが長く続いていたが結局、ゴールラインを割ることはできなかった。
サイドの展開としては、阿部と家長がインサイドハーフに近い位置に入って、サイドバックの2人が深い位置に入っていくことが多かった。ただパスを繋ぐのではなく『相手はマンツーマンで来ていたので、当てて入っていく動きがポイントになっていた。』(中村憲剛)と言うように出して動くことがこの試合では鍵になっていた。しかし、クロスを入れることができても合わず、硬い展開が続いてしまう。
そこで、繋いでいる中でのアクセントとしてエウシーニョが仕掛けた結果、あのような先制点が生まれた。得点シーンを振り返れば、相手ディフェンダーは寄せることなくエウシーニョにドリブルを許していた。仕掛けることで相手の重心は少なからず後ろにかかるのでそこをどのように利用していくのか。そこのところはチームとしてもっと絵を合わせていく必要がある。
『課題としては3点目を取り切るところ』(奈良竜樹)と選手たちが口を揃えて言うようにこの試合では”3点目”が決まらなかった。守って勝つよりも攻めて勝つスタイルである川崎サッカーだからこそ、このような発言が多くなるのだろう。そういった面で言えば攻撃面はまだまだであり、まだまだ改善できるはずだ。夏場の連戦に向けて選手たちは熱く次の戦いに備えている。
(RYUJI.I)
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