【2019】 第12節 名古屋グランパス戦 レビュー
金曜日であるにも関わらずチケットがソールドアウトになった等々力。
試合はお互い拮抗した試合を展開し、結果は1−1と勝ち点を分け合う形になった。1試合を通してクオリティーの高さを両チームとも発揮していて、周囲からは「素晴らしい試合」との評価まであった。こういった試合が増えていくことで様々な側面においてJリーグが発展していく糧になっていくはずだ。
さて、今回のラインナップはこちら。
①『このクオリティを突き詰めていく。そういうことを再確認した試合だった。』(中村憲剛)
1ヶ月ぶりにピッチに帰還した中村憲剛が感じたもの。
②『先制されて追いかける状況のなか、引き分けまで持っていけたのは最低限の結果だし、自分たちもいいゲームはできたと思う。』(ジェジエウ)
最低限の結果で終えられたチームとしての底力。
以上の2つです。それでは。
①『このクオリティを突き詰めていく。そういうことを再確認した試合だった。』(中村憲剛)
1ヶ月ぶりにピッチに帰還した中村憲剛が感じたもの。
怪我により1ヶ月ほど戦列から離れていた中村だったが、過密日程なども考慮してなのか復帰後、即スターティングメンバーに名を連ねた。
復帰後とあって試合勘に関しては多少難しいところがあるかもしれないが、『サッカー人としてすごくサッカーを楽しんだ試合。自分の仕事場はここなんだと感じることができた。』とまずは戦列に戻ってきたことに安堵していた。
ただ、中村はこう続ける。
『もっともっと質を上げていかないといけない。もっとボールを握らなくてはいけないし、崩さないといけない。引かずに前からボールを取れるシーンもたくさんあった。』
この試合の相手は風間前監督であり、どういうサッカーをしてくるのかというのはある程度理解していた部分はあるはずだ。知念は『いつもうちがやっているようなことをやられている感じ』と言っており、中々主導権が握りづらい試合であった。
だが、それをどう試合中に改善していくか。それが課題として突きつけられた試合だった。
その課題を解決しながらプレーはしていたが、『ワンチャンスをやられてしまった。』と鬼木監督が振り返るように、前半終了間際にマテウスに与えてしまったあの1点は試合を優位に進めていくためには絶対に与えたくない得点だった。
『重いハーフタイムだった。』と谷口が言うように、拮抗した雰囲気の中で与えたあの得点のダメージは相当大きなものだったに違いない。しかし、鬼木監督は采配で状況の打開を図る。
55分にレアンドロダミアンを、60分には齋藤を投入し、反撃体制を整える。
『90分の事を考えると、最後にパワーのある選手をどんどん送り込んで行きたいというのがありました。』(鬼木監督)
本来のゲームプランであれば、『勝っていても負けていても引き分けていても、彼の力が必要になる』(鬼木監督)ということでレアンドロダミアンを後ろの時間帯まで引っ張りたいという意思はあったのかもしれない。ただ、早い時間帯から攻撃的なレアンドロダミアンと齋藤を投入したことはチームにとって明らかにプラスの方向に働いた。
69分にはレアンドロダミアンのスーパーなゴールが決まり同点に追いついた。しかし、あと1点が足りなかった。
レアンドロダミアンが怪我をしてしまい、ピッチにはいたが、事実上の10人での戦いを強いられてしまったのに加え、負傷した選手が逆転をする上ではかなり痛かった。
ただ、それまでにも数回チャンスはあった。結果論だが、それを決めて入れば勝てている。そういう意味で冒頭で中村が言った言葉は今フロンターレがまた高めていかなければいけないことである。
結果は間違いなく出ている。だが、それで満足していいのかと。
追い求める先にあの景色は待っているはずだ。
②『先制されて追いかける状況のなか、引き分けまで持っていけたのは最低限の結果だし、自分たちもいいゲームはできたと思う。』(ジェジエウ)
最低限の結果で終えられたチームとしての底力。
先ほども書いたように似ている、近いスタイルであるところから、多少やりやすい部分に加えやりにくい部分もあった。ただ、そこを攻略するのがこの試合の”ミソ”でもあり、どういうふうに打開していくかを注視していた。
『お互いの特徴を出し合うなかで、うちが受けてしまったところがあるし、距離感がよくないときがあった。そこでボールを奪い返されるシーンがあった。』とは登里。
全体のバランスにおけるコンパクトさや選手間の距離が遠いなと思う場面は何回かあった。そこの部分で多くパスミスが出てしまったりして、相手に簡単にボールを奪われてしまうところがあった。
そして、中々上手くいかなかった要因として考えられるのが、「相手がパスを出すコース」にあると考えられるかもしれない。
丁度、この名古屋戦の次の日に横浜Fマリノス対ヴィッセル神戸の試合を見に行ったのだが、その試合を見ていて思ったことが、「パスコースの違い」だった。
日頃、フロンターレの試合を軸に見ているので特に違和感はないが、いざ他チームの試合を見て思うのは、「パスコースの選び方」で、フロンターレと名古屋に関してはかなり特殊というか細かい。
狭いエリアでもショートパスを繋ぎ、一般的にはマークがべったりとついているという状況でもきちんとパスを付けてくる。
知念が『いつもうちがやっているようなことをやられている感じ』と言っていたが、そういう部分はいつもと確実に異なってくるので、対応が難しかったに違いない。
特に相手のボランチは米本とシミッチということで攻略や対策をしようにも非常に手強い相手だった。
流れを持っていかれた原因である失点シーンに関しては『ライン設定やこぼれ球の反応を含め、ちょっとした隙を突かれてしまった。』と谷口が振り返るように、何か緩んだところをやられてしまった。
あの失点に関しては『これは今に始まったことじゃないし、ACLでもそういったギリギリの勝負をしてきている。その経験を生かさなければいけないし、能力の高いチームはああいうところでの一発がある。そこはシーズンを通して、チームとして学んでいかなければいけない部分だと思う。』とチームとしてまだ課題を克服できていない印象だった。
ただ、『そこでもう一回スイッチを入れて、パワーを出せたのは評価できる。』とネガティブにならずに、相手から1点を奪い返し、反撃ムードに持っていけたことはチームとしての底力を出せたに違いない。
上位対決というところで負けられない一戦かつ勝たなければいけない一戦でもあったが、そういう中で、しっかりと追いついて負けなかったことは『ポジティブに捉えている。』(長谷川竜也)
これから強いチームとの対戦が控えているが屈せずに自分たちがやるべきことをやって勝利を掴み取ってほしいところだ。
(RYUJI.I)
参照:
・DAZN
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