第28節 V・ファーレン長崎戦 レビュー
試合前にG大阪対広島の試合の結果により、この試合に勝てば得失点差で首位に立つことが分かっていた。だが、選手たちは特にそれを気にすることなく試合に臨めたと言う。
そんな意見の選手が多いなか、小林は『自分自身にプレッシャーをかけた。勝てば首位と意識してプレーした。』と言う。その理由は『この場所は絶対に渡したくない。』とのこと。
『最後に一番上にいないと何も評価されない。』(家長)からこそ、これからも勝利に貪欲になっていかなければならない。
さて、今回のラインナップはこちら。
①『チームとして使い分けることができていけばいい。』(家長)4−4−2で望んだフロンターレ。そこから生み出した”違い”。
②『お前らが点を取ってこいというメッセージだったと思う。結果を出せたのはよかった。』(小林)。結果を出した2トップ。しかし勢いがなくなってしまった後半。
では。
①『チームとして使い分けることができていけばいい。』(家長)4−4−2で望んだフロンターレ。そこから生み出した”違い”。
いつもの4−2−3−1というシステムとはまた違った良さがある4−4−2。何と言っても中村憲剛と大島僚太というコンビのボランチがどう試合を作るのかはかなりポイントになった。
実際、中村を1列下げることにより、前線でのスペースを作ることができる。それは彼に対して付くマークがいなくなるためだ。ただ、良いことばかりではないのがサッカー。
中村を下げることで攻撃の迫力が少し弱まってしまう場面がある。
ただ、『ケンゴ(中村憲剛)とリョウタ(大島僚太)でああいう形だったので、ある程度ボールは握れるかなというところ。』とは鬼木監督。
中盤を支配できたのはゲームを優位に進められたのではないだろうか。
長崎は後ろで構えている時間が多く、そこをどう引き出してスペースを開けさせるのか。そして、今回の肝でもあったサイドのスペースをどう使っていくのかというのはこの試合でポイントになった。
先ほど書いた通り、中村がボランチに落ちることにとって、前線のスペースが空く。そこで誰がどうボールを引き出して受けにいくのか。
今回は元々クサビのパスを積極的に受けに行ける小林と知念、そして家長が前線にいた。それに加えて登里がサイドや中央でプレーできたことも大きな収穫であった。
本人も『ランニングのところや、相手の間で受けるところを意識した。』と言っていて、実際に小林の得点が決まった41分には、その登里が中村からのパスを受けてチャンスメイクをしていた。
登里は以前の試合でもサイドハーフとして投入されたが、中央でボールを受けたり、スペースを埋めるなどかなりの仕事をしていた。
このようなプレーがどう次に繋がってくるのかというと、31分に中村がエウシーニョにフライスルーを出したシーンだ。
あのシーンはサイドハーフである家長と登里が中央にスライドしていたため、サイドバックであるエウシーニョと車屋が両サイドにできた大きなスペースを自由に使うことができた。
そしてその使ったスペースは”ニアゾーン”であった。
近頃の試合では地での”ニアゾーン”を狙うタイプの崩しが多かったが、空で”ニアゾーン”を付くことができればその手前の守備陣形を”飛ばして”崩せた。中村のあのプレーはたった1回でも状況を打開することができる。
先制点を奪うまでは『間で誰が受けるのかとか、単純に背後を狙う回数が少なかった。』(鬼木監督)が、徐々に選手たちが『かなり狙うようになって自分達のリズムになって』きたことが勝利を手繰り寄せた。
湘南戦から中2日でアウェイということで中々修正がしにくい環境であったが、それでもアウェイで勝てたこと、そしてこの3連戦を無敗で乗り越えたこと。これはチームを成長させてくれるに違いない。
②『お前らが点を取ってこいというメッセージだったと思う。結果を出せたのはよかった。』(小林)。結果を出した2トップ。しかし勢いがなくなってしまった後半。
前節、”得点”という目に見える形で結果を出せなかった小林と知念。スタジアムで観戦していたが、あの環境ということもあり、賛否両論の声が彼らに降りかかった。
ただ、それでも今節鬼木監督は彼らをスタメンにし、それに加えていつもと違う4−4−2を試してきた。
これには中村も『前節チャンスで外したユウ(小林悠)と知念の2人がスタメンに入ったのは、決めてくれというオニさん(鬼木達監督)のメッセージだと思う。』と言う。
一方で鬼木監督も『ゴールを取るんじゃないかなという雰囲気を出してやっていましたので、二人とも思い切って使うことが出来ました。』と振り返る。
結果的には起用した2人が得点を奪いチームを勝利に導いた。
今回は中村がトップ下の位置にいなかったため、この2人が落ちて受けるという作業しなければならないが、小林と知念はどちらもボールを収められるため、特にそこの部分で問題が生じることはなかった。
そして、クロスを積極的に狙えるのがこの2トップの強みだ。知念に関してはストロングポイントであるため、グランダー性のクロスよりも浮いているクロスの方が得点が入りやすくなる。
自然的に小林の方にマークが付くのは当たり前で、そこで空いたスペースを知念が受けにいくなどしていたので、2トップの関係性は良好であった。
知念の先制点はセットプレーから生まれたが、これは『スカウティング通り』(大島)で、思ったところを突くことができた。
家長は『なにより、知念がしっかりと点を取ったことが良かった。』と若きストライカーが決めたことがこの試合での大きな収穫と振り返っている。
しかし、前半は2得点を奪い好調な入り方をしたが、後半は沈黙の状態が続いてしまった。
当の知念も『後半はあまりうまくいかなかった。そこ(2トップのところ)でボールが入ってもミスをしてしまい、流れが悪くなってしまった。』自らの出来を評価する。
確かに、ボールが収まるシーンは少なかったかのように感じられるが、それでも収めたり、叩いたりというシーンは多く、そこからチャンスを作り出せていた。
ただ、そこの部分でのズレが生じてしまうと攻撃のリズムが崩れてしまう。そういう部分があったので、後半【追加点】を挙げることができなかった。
中村も『後半に3点目を取れたら一番よかったが。』と言いつつ、2人のフォワードが得点を奪ったことに関しては『チームにとってもプラスになったと思う。』と前向きに捉えていた。
残り試合が少なくなっていることから、時間の問題にすることはできない。だからこそ、可能な限りの修正をしていかなければならない。
ミスは確実に0にはできないが減らすことはできる。それをフロンターレのフォワードができないわけがない。そして、このコンビが組まれる際には、この試合で浮かび上がった反省点や課題を修正して試合に臨んで欲しいところだ。
(RYUJI.I)
参照:
・DAZN
サッカーライターを目指し投稿中。 更新頻度は異なりますが、思ったことを投稿していければ。 川崎フロンターレを応援しています。