第26節 北海道コンサドーレ札幌戦 レビュー
前半20分までは『何点取られてもおかしくないような入り』(鬼木監督)だったが、蓋を開けてみれば7−0。
ガラリと雰囲気を変えた川崎サッカー。
風向きはなぜ変化したのか…。
さて、今回のラインナップはこちら。
①『アキくん(家長昭博)のゴールがきっかけになった。』(小林)
試合のターニングポイントである28分の先制点。生まれた理由は”奪い取る力”
②『自分たちのやりたいサッカーは、あそこからつないでいくサッカー。』(車屋)
札幌のハイプレッシャーをもいなした本来の形。”体現”する力。
では。
①『アキくん(家長昭博)のゴールがきっかけになった。』(小林)
試合のターニングポイントである28分の先制点。生まれた理由は”奪い取る力”
試合の入りはとても硬く、中々、中央を仕留めることが出来ていなかった。ただ、札幌もパスを通させまいと前線からのプレッシャーを惜しみなくかけてきていた。
そこを通過すれば景色は晴れるが、チーム全体が「ボール」と「人」にきていたため、次のプレーに移行するのが多少ストレスになっていた部分はあったに違いない。
ただ、札幌の守備の仕方から相手ウィングバックの早坂や菅がどうしても体力的にキツくなってくるのは把握できてたはずだ。なので、エウシーニョやこの日チームでは久しぶりとなるサイドバックで出場した車屋が仕掛け回数は多かった。
しかし、『立ち上がりバタついてしまったのは大きな反省点。』と谷口が言うように立ち上がりの守備は少し不安材料が多かった。
谷口自身も『個人的にも致命的になりかねないミスもあった。』と猛省しており、一方で中村は『あそこで失点していたらどうなったからはわからない。』と言う。
以前であれば、相手のストロングである”高さ”で簡単に失点し、どんどん崩れていっていたのかもしれない。そこでチームとして粘れたことは大きかった。
そしてこの試合を語るなら絶対につようなワードである「奪う力」。これは以前からレビューに出している言葉だが、この試合ではこの言葉が強く関係している。
実際に家長のゴールは中村が前からボールを奪って生まれている。
その後も奪い取っては相手ゴールに迫るということを繰り返してた。
いつもより、カウンターが多い形になったが、カウンターを織り交ぜることの大切さは以前からも強調していて、このような形で得点を大量に奪えたのはチームにとっても収穫になった。
小林や鬼木監督が同じようなことを言っていたが、『ミスが起きているシーンは横パスとか後ろ向きなパス』(鬼木監督)であったので、ベクトルを前に向けることだけをチームとして揃えるということだった。
だが、鬼木監督はこのボールを奪う作業を最初から狙っていたと振り返る。それでも『最初、結果として現れなかった。』。ただ、『いいところは後半続けた結果がこうなったと思います。』と継続が大切だということを改めて感じていた。
『前からプレッシャーをかけて守備ではめて、奪ったあとすぐシュートに持っていく形ができていた。』(谷口)
元々試合とボールを支配するスタイルだが、やはりどうしても相手ボールの時間帯は出てきてしまう。そこで大切なのが、”ハメる”ことだ。ただ単純にボールを奪いにいくのではなく、しっかりと奪い取れる”状況”を作ってから奪いにいくこと。ここが出来ているのか出来ていないのかではボール奪取率は大きく変わってくる。
そして、もう一つこの試合で良かった点がある。それが谷口が言う、『奪ったあとすぐシュートに持っていく形』である。
決定率で言えばあまり良いとは言えないかもしれないが、前が空いてるのであればカウンターを最後まで完結させれる。それを迷うことなく出来ていた。
優勝争いから離れないためにもフロンターレは魅力をさらに深め勝ち続けていく。
②『自分たちのやりたいサッカーは、あそこからつないでいくサッカー。』(車屋)
札幌のハイプレッシャーをもいなした本来の形。”体現”する力。
メンタル的に言えば、鹿島アントラーズにルヴァン杯で惨敗し、早々に敗退してしまったので、多少きつい部分はあったに違いない。
それでも全くその雰囲気を出さないのがプロである。
『うちと対戦するときは立ち上がりプレスをかけてくる。』(エウシーニョ)と言うように、「対川崎対策」のように前線から強いプレスをかけてくるチームは体感で増加しているように感じる。
それでもやることは変わらない。
繋いで崩して攻略する。
言葉にすれば単純なことではあるが、やってみると中々難しい。しかし、それでも折れずにやり続けれた。
『取られても問題ないし、それをやらないことが一番問題。』とは車屋の言葉。チャレンジしないことが問題であり、それは敗北を意味する。
パスを奪われるのを恐れてパスを出さないのはフロンターレではなくなってしまう。
昨季はこのサッカーでタイトルを獲得出来た。ならば、形をすぐ変える必要はなく、むしろ自信を持って、昨季よりもチームのサッカーをアップデートすれば良い。
家長も車屋と同じようなことを言っており、『みんな集中していないことでミスをしていたわけではなくて、やろうとしてミスをしていた。ポジティブなミスだったと思うし、あまりチームとして崩れる雰囲気もなかった。』と振り返る。
実際に試合を見ていてもチームとしてたった一回のピンチに直面したとしても、きちんと守り抜いていた。先ほどの項目でも触れたが、やはり、以前であれば崩れていたのかもしれない。しかし、結果的に崩れずに失点を”0”で抑えられたことは、成長と言える。
完封で抑えたことについても『得失点で効いてくると思う。得失点が効いてくるのは、去年経験している。』(車屋)と言っていて、結果的には総得点や得失点差で首位広島に近づくことができた。
言葉で言えば、何もかもが簡単に聞こえるが、本当にこのサッカーは難易度が高い。しかし、それでも”体現”出来る選手がこのチームにはたくさんいる。
だから、チームは強くなっていく。
この試合でリーグ戦初出場した下田は『フロンターレではボールをしっかり止める、蹴るとか、前を見ておくことが求められていて、高いレベルのなかでそういった部分を学べている。』と言っている。
ただ、誰が試合に出ても”体現”出来るからこそ、このチームのサッカーが崩れることはない。
(RYUJI.I)
参照:
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