格闘技は脳トレ〜知的戦略ゲームとしてのボクシング〜

格闘技は知的戦略ゲーム

格闘技が頭脳戦？意外に思うかもしれませんが、格闘技は実は、チェスや将棋と同様の戦略的思考を必要とするスポーツです。

元チェスプレーヤーからボクシングの世界チャンピオンになったディミトリー・ピログという選手をご存知でしょうか。頭脳派でディフェンスに長け、なんとプロでは無敗です。
またあの有名な起業家マーク・ザッカーバーグも柔術にハマっているらしいのです。

がむしゃらに戦うだけでは勝てない、それはその他多くのスポーツと同じです。

試合中、相手の次の動きを予測し、最適な反応を瞬時に決める。これは、日々の生活やビジネスで問題解決をする時の思考プロセスにとても似ています。しかも、瞬間瞬間で判断し反応しなければならない。打たれてばかりではどうしようもありません。なのでそうした思考力、判断力が総合的に求められ、格闘技IQとか戦闘IQとか呼んだりします。

つまり格闘技は、体を動かしながら思考力を鍛える、ユニークな趣味と言えます。

メンタル鍛錬と精神の安定に役立つ

格闘技で鍛えられるのは身体と思考力だけではありません。さらに心の鍛錬にも役立つと言われます。それはなぜでしょうか？

まず、格闘技には忍耐力と自己管理能力、リスク管理能力が必要とされます。それはある程度の厳しいトレーニングをこなす、というのもありますが相手とその場の状況に合わせて自分をうまくコントロールしながら動かないといけないため、自ずとそうした能力が養われていくといっていいでしょう。

例えば相手のパンチが飛んできているのにそれを無視して突っ込んでいく、あるいは相手がカウンターを狙っているのに同じパンチばかり繰り出してしまう。また相手のパンチが当たって痛い、とかここが弱点だというのが悟られてしまう。これらは格闘技においては回避しなければならない行動ですが、そうした本能と逆の行動をとるために忍耐力や自己管理能力、リスク管理能力などが半ば強制的に必要とされるため、続けるうちに自然と養われるものなのです。

さらに、格闘技を極めていくことで自信が養われます。うまく自分をコントロールする力を身に着け、身体も鍛えられることで自分を信頼し、様々な状況に対応できる自信が構築されていくと思います。ビジネスや日常で圧力をかけられる場面もあると思いますが、そうした状況にも強くなるはずです。

経験したことがないから、良い

格闘技は多くの人にとって経験したことのない経験です。学校で教わることもありませんし、近所の公園で誰かがやってるものでもないので（私はごく短い期間ですが公園でミット打ちとスパーリングをやっていたことがあります）触れる機会があまりないと思います。また、痛いとか怖いイメージもあってなかなか一歩踏み出しづらい競技かもしれません。

少しやってみたいけどやったことがない、ということはそれをやることで脳内に新たな神経ネットワークが形成され、刺激される可能性が高いです。今までやったいことのない動きですから、神経系が刺激され脳が活性されるはずです。

さらに、やったことがないということはレベルが0、ということなのでレベルが上がりやすいということです。最初は難しい技術も不要で、すぐにうまくなることが実感できると思います。なので少しやったらその他多くの未経験の人たちに対してものすごいアドバンテージが取れる、ということです。

例えばフック、相手の横からパンチが飛んでくる軌道を描くパンチですが、未経験の人は打てないと思います。ですが１~３か月もやればサンドバックの音が変わってくるのが実感できます。そうした時に達成感と自信が得られ、そして未経験の人と比べたアドバンテージでさらに自信が構築されると思います。

必殺のカウンター

最期に格闘技における最強の技を紹介します。それはカウンター、相手の打撃に自分の打撃を合わせる技です。

ボクシングのダウンやKOシーンの多くはこのカウンターで決まっています。打撃のラッシュで倒れるシーンも多いですが、その前にカウンターが決まっているケースが少なくありません。

カウンター、それは相手が防御の準備をしていないときに攻撃を当てるという意味で最強です。人間は来るとわかっているパンチでは倒れにくいです。（自分より体重や力の差が大きい相手だとそのようなこともありえます）歩いている電信柱にぶつかるとめちゃめちゃ痛いのは準備をしていない（無意識にせよ意識的にせよ）からです。

相手が技を繰り出しているときは防御の準備ができていないので、めちゃめちゃダメージが入り、場合によっては倒れてしまうわけです。

なので鋭い方は「別に相手が攻撃していなくても気づかれなければいいのでは？」と思ったかもしれません。その通りです。フェイントやコンビネーションで相手の裏をかいた攻撃を当てることができれば同様に大ダメージになります。

そうした技を当てるのはまさに芸術で、実践でそれを決めたときの快感と達成感は一度味わってみると超面白いです。

それでは！本日はこの辺で、書ききれないのでまた今度格闘技の話を書きたいと思います。